経営の健全性・効率性について
(経営の健全性)経常収支比率は100%を上回るため、健全な経営が行われており、累積欠損金も着実に減少している。また、流動比率も平成26年度に大幅に減少したが、依然、平均値を上回っており、経営の健全性は保たれている。(債務残高)企業債残高対給水収益比率は平均値より低いが、企業債以外の債務である水資源機構割賦負担金残高を含んで指標を算出した場合は、決して低く(H26:300.48%)はない。近年、借入返済等により負債は圧縮されつつあるが、債務負担が比較的重いことが課題である。(料金水準)料金回収率は平均値を下回るものの、100%を上回るため、効率的な経営が行われている。(費用・施設等の効率性)水源を利根川等の遠方に求めていることから、導水管等の大規模な施設を保有せざるを得ず、減価償却費等の費用も掛かるため、給水原価が割高になっている。施設利用率は平均値とほぼ同水準であることから、施設は効率的である。ただし、大多喜ダム中止に伴う1日最大給水量(水利権)の減少(55,060→42,330m3)により、分母である年間総配水量が、施設が本来有する給水能力(55,060m3)よりも小さくなっていると考えられるため留意が必要である。
老朽化の状況について
給水開始年度(平成8年度)が比較的最近であることから、施設の老朽化はそれほど進んでいない。なお、有形固定資産減価償却率の平成26年度の指標が増加したのは、会計基準の見直しに伴い、補助金等により取得した固定資産をその取得価額から補助金等相当額を控除した額を帳簿価額とみなして、減価償却額を算出することができる「みなし償却制度」が廃止されたことにより、その移行処理で減価償却が増加したことによる。
全体総括
料金改定や水資源機構割賦負担金の繰上償還の実施等により、経営の健全性は平均的である。借入返済等により負債は圧縮されつつあるが、債務負担が比較的重いことが課題である。給水開始年度が比較的最近であることから、施設の老朽化はそれほど進んでいない。施設の効率性は平均的な状況であるが、1日最大給水量の見直しにより、施設が本来有する給水能力よりも最大給水量は低い状況であると考えられることから、施設の利用は必ずしも効率的ではない。