経営の健全性・効率性について
当企業団では、経常収支比率による指標及び料金回収率の指標では100％以上の数値を示し、良好な状態を表している。また、累積欠損金比率の指標では、欠損金が生じていないことを表しており、企業債残高対給水収益比率の指標からは、企業債による外部からの借入金が無く、自己財源によって経営を行っていることを表している。その他に流動比率では、指標は徐々に減少傾向にあるものの、短期的な債務に対する支払い能力は、類似団体平均値と比較して高値を示し、また給水原価による指標では、類似団体平均値と比較し低く抑えられているなど、全体的な指標から健全な経営が続いていることを表している。さらに、施設利用率の指標では、類似団体平均値と比べ高値を示し、比較的施設に関しても効率的な運用が行われていることを表している。なお、有収率については、管路の経年化に伴う漏水が主な原因となり指標が減少傾向にあるものの、類似団体平均値と比較し依然高値を示している。しかし、今後は、老朽化が進んだ施設及び耐震性の低い施設を改良・更新していくため、多額の更新費用が見込まれており、資金及び純利益の減少傾向が進む中、経営の健全性を維持していくことが困難になっていくと予測される。また、改良・更新にかかる更新費用は、直接的には収益向上に結びつかず、経営を逼迫していく要因となるため、今後、経費の削減に努め、収益の向上を図っていくことが重要となっている。
老朽化の状況について
当企業団発足時に布設された管路が平成22年度に40年を経過したことにより、管路経年化率は今後も増加していくことが見込まれている。有形固定資産減価償却率は、ほぼ平均値であるものの、管路更新率については、全国平均値並びに類似団体平均値と比較しても低値となっている。このことは、水道施設の根幹である浄水場や配水場の基幹施設の耐震化事業を優先して実施した結果である。管路の更新については、平成24年度から災害時応急給水拠点となる市内小中学校への配水本管の更新を実施し、平成27年度に完了したところである。また、平成23年度からは老朽化した水管橋の更新を、平成27年度からは口径300mm以上の幹線となる配水本管の更新を計画的に推進しているところであり、導・送水管路についても更新計画を策定中である。今後においては、経年管路の増加に伴い、管路更新の必要性が高まる中、多額の更新費用を要することから、他施設の更新・改良に伴う投資との優先順位を考慮し、中長期的に見込んだ全体的な計画の見直しの検討が必要となる。
全体総括
今後、老朽化が進んだ施設及び耐震性の低い施設を早期に改良・更新していく必要性がある中、それに伴う更新費用の増加が見込まれるが、反対に収益については、節水型社会等の影響により、給水収益が減少傾向にあるなど厳しい経営環境が続いており、これは全国の多くの水道事業体が抱える共通の課題となっている。当企業団では今後、水道事業を維持していく上で、費用の抑制及び効率的な事業経営による財政的基盤の強化を図りつつ、必要な事業を推進していく予定である。また、災害等の不測の事態にも対応していく必要性があり、中長期的視野にたった計画を図りつつ、状況に応じた細やかな経営を進めていくことが重要であると考えている。
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2021年度