経営の健全性・効率性について
①経常収支比率については、同水準で推移しているものの、類似団体との乖離や今後の更新需要を踏まえると、経費の削減や有収率向上対策などにより、更なる経営改善に取り組む必要がある。③流動比率については、前年度に対し11.7%増加しているが、平成27年度における建設改良費の繰越を考慮すると、前年度と同水準である。④企業債残高対給水収益比率については、給水収益が減少基調にあるものの、企業債借入の抑制により、同水準で推移している。⑤料金回収率の低下と⑥給水原価の上昇については、有収水量の減少(前年度比△0.6%)が主たる要因であるが、類似団体との乖離や今後の更新需要を踏まえると、経費の削減や有収率向上対策などにより、更なる経営改善に取り組む必要がある。⑦施設利用率については、前年度より0.4%上昇したものの、今後の水需要の動向を踏まえると、減少基調は続くものと考えており、中長期的視点で、浄水場の統廃合を進めていく予定である。⑧有収率については、石綿セメント管などの老朽管からの漏水の増加により、平成25年度以降3期連続して年1%以上低下していることから、平成28年度において、路面音聴調査等の漏水調査を積極的に展開するなど、有収率向上に向けた取組みを進めている。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率については、上昇基調にあり、依然として保有資産の老朽化が進行している。中でも、浄水場の根幹を成す機械及び装置の減価償却率が80.49%となっており、浄水場設備の老朽化が顕著である。②管路経年化比率、③管路更新率については、浄水場設備更新との優先度や事業費の平準化、財源の確保に配慮し、前年度と同等規模の管路更新に係る投資を行った結果である。今後は、国の交付金等を活用し、更新投資を高めていく予定である。
全体総括
経営の健全性・効率性については、主要指標が類似団体平均を下回っており、その主たる要因は、水需要の減少と有収率の低下にあると考えている。特に、有収率に関しては、企業努力により向上できるものと認識しており、漏水調査や老朽管の更新による対策を積極的に進めることで、効率性の向上を図りたいと考えている。また、平成29年度をもって水道ビジョンの前期計画期間の満了を迎えることから、水需要の動向を踏まえ、投資計画や財政計画を見直すことにより、同ビジョンの改定を進める予定である。老朽化の状況については、浄水場設備の老朽化が著しい状況にあるが、平成27年度から主要浄水場の大規模更新を実施しており、この更新投資により、保有資産の減価償却率は改善される見込みである。一方、管路については、水道ビジョンの改定と併せて今後の更新需要を再点検し、中長期的な視点で改善に努めたいと考えている。