経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は令和2年度に料金改定を行ったことにより、120%以上にまで上昇した。100%を上回っていることから、当該年度において、給水収益や一般会計からの繰入金等の収益で、維持管理費や支払利息等の費用を賄えている状況にある。今後施設の老朽化により修繕費等が増加することが想定されるため、経営戦略等の各計画に基づき、投資の効率化を図り、費用の削減に努め、健全経営の継続に努めてまいりたい。②累積欠損金比率については、本市においては継続して欠損金を計上していない状況であるものの、今後施設の老朽化等による更新投資が必要となることも想定されることから、継続して費用の節減に努める必要がある。③流動比率については令和元年度から大きく上昇したが、これは令和2年度に料金改定を実施したことや平成29年度に策定した基本計画に基づく事業の本格化に合わせて企業債の発行額を2億円増額させたこと等により、現金預金や未収金が増加となったことなどが要因と考えられる。なお、継続して100%以上を維持していることから、1年以内に現金化できる資産で、1年以内に支払わなければならない負債をまかなえている状況である。④企業債残高対給水収益比率については減少傾向にあり、令和2年度の料金改定の実施により300%を下回り、指標としては向上した。今後は施設の更新量の増加等により必要となる資金が増大する予定であるが、資金需要を見極め、安定的な企業経営が行えるよう尽力したい。⑤料金回収率について、近年修繕費等の費用が増加しているものの、令和2年度に実施した料金改定の効果等により継続して100%を上回っており、給水費用を給水収益でまかなえている状況にある。⑥給水原価について、過去5年度間一貫して類似平均団体より低い水準にあるが、令和2年度には修繕費等の増加により、給水原価が増加した。今後も投資の効率化や維持管理費の節減に努め、給水原価の減少に努めてまいりたい。⑦施設利用率は類似平均団体より高いことから、配水能力を有効に活用して配水を行っていることが読み取れる。今後も必要な配水量の状況を考慮しながら、施設の統廃合も検討し、効率的な経営に努めていく必要がある。⑧有収率については類似平均団体よりも低い状況が続いていたが、令和2年度には90%を上回った。令和2年度は新型コロナウイルスの影響により例年と異なる環境下における結果であり、改善要因が漏水修繕の対策が奏功したことによるものと一概に言い切れない面もあるものの、今後も漏水等の対策を継続して実施し、有収率の向上に努めてまいりたい。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率については、類似団体平均と同様に増加傾向にあり、その増加率は類似団体平均を上回っている。令和2年度から平成29年度に策定した基本計画に基づく事業が本格化したことで投資額が増大しており、増加傾向が継続するものと想定される。今後も人口推移等を勘案しながら、必要な施設を見極め、有効で効率的な投資を行っていく必要がある。②管路経年化率については、類似平均団体よりも低い水準にあり、現状では法定耐用年数を経過した管路は少ない状況にあるものの、管路の更新を継続して行い、施設の維持管理に努めていく必要がある。③管路更新率については平成23年度をもって石綿セメント管の改良がほぼ終了し、それ以後は浄配水場の設備更新に投資してきたことから、平均よりも低い水準にある。また、これは管路経年化率が類似平均団体よりも低い水準にあることとも関係しているが、今後急激に管路経年化率が上昇することも考えられることから、管路の経年状況を考慮しながら投資を検討していく必要がある。
全体総括
経営の健全性・効率性については、今後も健全で安定した経営を継続するため、投資の効率化や企業債の抑制等に努め費用の削減に努めていく必要がある。平成29年度に策定した基本計画等に基づき、効率的な投資を行うことで、安全で安心な水の供給の確保に努めていく。