経営の健全性・効率性について
当市の水道事業においては毎年度経常収支比率100%を上回っており黒字の収支が続いている。また、施設の維持管理費や企業債の支払利息等の経常費用については、経常収益のおよそ97.6%を占める給水収益から賄えていることから、受益者負担を前提とした独立採算制をとる健全な経営が保たれている。料金回収率からみても、給水に係る費用は給水収益によって賄われていることから料金設定は適切であるといえるが、今後は、給水人口の減少等により給水収益が減少していく厳しい状況が続くことが予想されるため、更なる費用の見直しや適正規模の施設配置を考慮した更新投資等の財源の確保が求められるため、健全経営を続けて行くための改善点等の洗い出しに努めていくとともに、適正な料金設定についても視野におく必要がある。企業債の残高は、当市ではこれまで老朽管の更新を早急に進めてきたことから、その資金確保のために企業債の借入額が多くなっている。しかしながら今後は管路のみならず、施設全体の更新需要と給水収益のバランスを考慮の上、今後は借入額の検討をする必要がある。有収率は依然として類似団体及び全国平均値を大幅に下回る値であるため、給水収益に繋がらない水の行方についての原因究明と対策が急務となっている。今後も支出の平準化を図りながら収支のバランスを考慮した健全な経営と業務効率化を図っていき、経営の安定化を目指す方針である。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は依然として高い状況であり、施設の更新や管路の更新等が必要であるが、資金や必要性を勘案し実施していく必要がある。管路更新率については昨年度まで類似団体の平均を上回る値となっていたが、今年度に関しては新規布設事業の割合が高かったために、更新率は低くなった。管路経年化率は類似団体平均値を大きく下回っているが、有形固定資産減価償却率は上昇傾向にある。よって、管路以外の保有資産である浄水施設や配水施設等の施設の老朽化が進んでいることが考えられる。
全体総括
水道施設の多くが耐用年数を迎え始めている状況の中、その更新に際しては、管路、施設の老朽化の程度や、重要度、優先度及び更新に要する費用などの情報を総合的に検討し支出の平準化を図りながら進めて行く必要がある。今後も健全な水道事業経営を持続するために、効果的かつ効率的で、将来の財政見通しの下、計画的に実施できるよう努める必要がある。