経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は平均より低い数値で推移しているが100%は保っている状態である。平成22年度に一時的に100%を割っているのは退職手当引当金を一括計上したことによるものである。平成23年度以降、収支が比較的良好な状態を保っている要因は、平成24年度の利根町統合による、給水収益増や人件費の抑制等、様々な経営改善に取り組み、費用削減を行ったことや、加入金等のその他の営業収益が消費税増税前の駆け込みによる増収があったことによるものである。しかし今後は、営業収益の減少が予測されることから、100%以上を維持していくためには、より一層の経営改善努力を図る必要がある。⑤料金回収率、⑥給水原価が平均より悪い結果となっているが、これは経常費用の約50%を占める受水費が給水原価の上昇、料金回収率の低下に影響している。しかし、近年の事務の効率化による人員削減、委託の見直し等の経営改善努力により、H22から比較すると改善傾向にある。今後の展望としては、固定的にかかる経費が多く、経費節減を進めてきたことからも、大幅な改善は難しいと考えられる。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率、②管路経年化率は類似団体平均と比較して同様な推移を辿っているが、明確な数値基準がないことからも判断が難しい。来年度に法定耐用年数を迎える管路が45kmありピークを迎えている。その後8年間は20km台となり、それ以降平均して毎年40km増加していくことを考えると、他の施設更新工事と共に、計画的に石綿管、経年管の布設替工事を実施していく必要がある。③管路更新率は平均を大きく下回っている状況であるが、大きな要因としては依然として配水管の新設工事を行っていることが挙げられる。区域面積が広く人口密度が比較的低いので、疎らに住宅地が点在している地域などでは配水管が布設されていないため、要望箇所の布設工事も年々進めている。今後も財政状況を見ながら配水場更新工事、配水管布設替・新設工事を実施していく必要がある。
全体総括
単年度の収支は毎年度平均を下回っているものの、施設、水を有効的に使用して、最低水準は保ちながら運営できており、企業債残高も少なく、現金も一定以上貯められていることが分かる。これは大量更新時期・水需要の低下による給水収益の落ち込みを予想し、財政内容を改善した結果と言える。しかしながら、管路経年化率は毎年上昇し、管路更新率は依然低い状態であり、更に今後、耐用年数を迎える管路が多くあるため、配水場更新工事、要望に伴う配水管布設工事を行いながらも、布設替工事を行い更新率も伸ばして行かなければならない。また、自己財源のみではすべての工事を行うことは出来ないため、国庫補助金の制度を積極的に活用しながら、財政状況を注視して、自己資金と資金調達のバランスを取って起債の計画を立てる必要がある。