経営の健全性・効率性について
①経常収支比率が100%を超え,②累積欠損金もないことから,おおむね健全な経営が行われているといえます。ただし,③流動比率については,類似団体より,約188ポイント低くなっており,支払能力を高める必要があります。また,④企業債残高対給水収益については,類似団体より,約151ポイント上回り約442%となっています。これは,料金収入の4年分を超える借金があり,財務状況が硬直していることを意味します。企業債残高の縮減を図るため,平成26年度から,企業債借入額を企業債償還額の90%とし,財政の健全化に努めています。⑤の料金回収率は100%を下回り,給水に係る費用が給水収益以外の収入で賄われている状況となっております。⑥の給水原価は上昇傾向にあり類似団体より約5ポイント高くなっております。財務状況を改善するため,一層の費用削減に取り組む必要があります。また,⑧の有収率は,上昇傾向にはありますが類似団体に比べ約1ポイント低い数値となっています。有収率を向上させ,水道施設から給水される水量が収益に結びつくよう,年次計画による漏水調査や,漏水の原因となりやすい鉛製給水管の解消を推進していきます。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率及び②管路経年化率は,数値が高いほど資産や管路の老朽化が進んでいることを示す指標であり,類似団体平均値を下回っているものの,年々老朽化が進んでおります。③管路更新率は,管路の更新ペースを示す指標であり,類似団体平均値を下回っております。現在,本市の進める管路更新が,アセットマネジメントで重要度・優先度が高いとされた,中心市街地に布設されている管路や事故影響度の大きい大口径管路を優先して実施しているため,更新率が伸び悩んでいます。今後の施設及び管路の更新は,法定耐用年数を基準とするのではなく,それぞれの老朽度やアセットマネジメントで設定した重要度・優先度を考慮した更新基準に基づき,長寿命化及び事業の平準化を図りながら,財源の確保に努め,計画的に実施していきます。
全体総括
現在は,企業債残高対給水収益比率が類似団体と比べ高い値となっているものの,経常収支比率は100%を超え,累積欠損金もないことからおおむね健全な経営が行われています。しかし,給水量は10年前と比べ8.3%減少しており,今後高まる更新需要においても安定した経営を持続していくために,令和2年度には料金改定を実施しました。一方で計画的な企業債の借入れにより料金改定による市民生活への影響を抑えるとともに,中長期的に企業債残高の低減を図ってまいります。また,アセットマネジメントを活用し実態に即した更新を計画的に実施するとともに,今年度に経営戦略を策定し,より一層の経営基盤強化に努めてまいります。