経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、上昇傾向にあるものの類似団体と比較して低い。これまでも、施設の統廃合や浄水場運転管理業務委託、窓口収納業務委託など民間委託に取り組んできたが、今後もさらなる経費削減が必要である。料金回収率も類似団体と比較して低いが、セグメント別では、酒田地区上水道は107.9%(H27)であり、供給単価が給水原価を上回っている。一方で、八幡簡易水道は20.4%、飛島簡易水道は9.1%と低く、地理的条件により不採算となる地区の影響により全体の数値が悪化している状況である。流動比率は、H26年度に大きく低下しているが、会計制度改正により翌年度償還分企業債及び賞与引当金が流動負債に計上されたためである。企業債残高対給水収益比率は、償還が進み低下してきている。今後、施設の設備更新に多くの経費が必要となることから、適正な投資規模と財源の確保の検討が必要である。施設利用率は、配水量の減少に伴い低下している。今後の水需要の動向を踏まえ、長期的な視点での施設の統廃合やダウンサイジング、さらには広域連携など、危機管理を含めた上で施設規模のあり方を検討していく必要がある。有収率は、類似団体と比較して高く推移している。今後も継続して不明水量の分析を行い漏水の早期発見に努力していく。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は、資産別の比較では機械及び装置の減価償却率が最も高い。中でも導水部門は減価償却が終了しているほか、取水部門についても高い減価償却率となっている。水需要が減少する中、主要施設である小牧浄水場のあり方について、広域連携を含めて検討する必要がある。管路経年化率及び管路更新率は、類似団体と比較して低いが、今後昭和50年代に整備された管路の経年化が進むことから、計画的な更新が必要となる。現在、総延長1,047kmに対して、年間5~6kmの更新を進めているが、アセットマネジメントによる検討結果を踏まえ、管路の長寿命化や更新の平準化を進めるとともに、老朽度、重要度に応じて計画的に更新、耐震化する必要がある。
全体総括
給水収益が減少する一方で、施設整備、更新に多くの費用が必要になることから、健全な事業運営に必要となる財源確保が厳しい状況が予想される。今後、徹底した経費削減を行うことはもちろんのこと、適正な原価と料金水準及び料金体系の検討が必要である。本市では、中長期的な視点に基づく計画的な経営に取り組むため、「新・酒田市水道事業基本計画~新しい水道ビジョンと経営戦略~」を策定した。この計画は、厚生労働省が示した「新水道ビジョン」及び総務省が策定を求めている「公営企業の経営戦略」の内容を併せ持つものとして策定し、H28年度からH37年度までの10年間を計画期間として取り組んでいく。