経営の健全性・効率性について
当企業団では、累積欠損金は発生しておらず、また資金不足の発生もありません。平成23年度に供給料金の引き下げ改定を行い、平成25年度までは計画的な赤字収支を発生していましたが、平成26年度からは薬品費や動力費等が増加していく中、経営努力により他経費を抑えることで経常収支比率は100%を超え、黒字収支となりました。料金回収率は100%を上回っており、繰出基準に基づく繰出金以外の繰入はないため、経営に必要な経費を料金で賄うことができていると言えます。また、創設事業のために借入れした企業債は、順次償還が終了し、企業債残高は逓減しています。費用の縮減策に加え、当時の高利率な企業債を低利率なものに借換えすることができたこと等から経常費用を大きく抑えることができ、給水原価は年々低下しています。当企業団の管路施設は、経路がまとまっており、送水管路からの漏水はほぼないため、99.9%と高い有収率であり、施設の稼働が収益としっかり結びついているものと思われます。一方で管内人口の流出や景気の低迷、節水型機器の普及等により供給水量が年々減少していることから、施設利用率は42.76%であり、類似団体平均(60.69%)を下回り、施設能力に対して余裕があるものの施設の効率性は低い状況となっています。
老朽化の状況について
当企業団の保有する有形固定資産についての減価償却率は、全国平均や類似団体平均(51.44%)並の52.53%となっており、平均的な水準と思われます。しかし、今後は多くの施設について老朽化が進み、施設の維持修繕費の増大あるいは更新が必要となることが予想されます。また、現在、法定耐用年数を迎えた管路施設はないことから管路経年化率、管路更新率とも0%となっていますが、昭和58年頃から布設した管路についても近い将来、同様に耐用年数を迎えることとなるため、今後は、中長期的な視点に立ち、施設の延命化や管理費用等の低減を図りながら、更新投資計画等を立てる必要があります。
全体総括
経営の状況としては、累積欠損金もなく、平成23年度に供給料金の引き下げ改定を行い、平成25年度までは計画的な赤字の発生となったものの、費用の縮減対策や企業債の借換等により、現在、経常収支比率は100%を超え、黒字経営となっています。施設の状況としては、管路施設からの漏水はほぼなく、有収率は99.9%であり、施設の稼働が収益に直結しているものと思われますが、施設利用率は42.76%であり、類似団体平均(60.69%)を下回り、施設能力に対し余裕がある一方、効率性は低い状況となっています。今後も地域人口の減少等による供給水量の減少、また、老朽化した施設の維持修繕や更新に要する費用の増大が見込まれるため、中長期的な視点に立ち、施設の延命化や管理費用等のライフサイクルコストを低減し、一層の事業の合理化、効率化に努める必要があります。