経営の健全性・効率性について
当企業団では、創設期からの漁川浄水場に加え、拡張事業の完成により、平成27年4月から千歳川浄水場での用水供給を開始しました。施設系統により供給先やコストが異なることから、料金を系統別に設定しています。これに伴い、平成27年度以降の各指標について、26年度までと比べて大きく変動しています。「①経常収支比率」は、漁川系施設関連の修繕費・減価償却費等経常費用の増により、28年度より低下していますが、29年度も100%を上回っており、経常利益を確保できています。「②累積欠損金比率」が27年度で算出されたのは、減損損失の計上によるものです。ただし、無償減資による欠損金の補填を行ったことから、現在、累積欠損金はありません。「③流動比率」は、拡張事業で借入れした企業債の各年度償還額が多大なため、29年度も全国平均を下回っているものの、100%を上回っており、短期的な債務に対する支払いに問題はありません。「④企業債残高対給水収益比率」が全国平均を大きく上回っているのは、拡張事業の企業債における未償還額によるものです。29年度は企業債の借入額より償還額が大きかったことから、28年度より数値が改善されています。「⑤料金回収率」が29年度に100%を下回っているのは、千歳川系料金が、一部受水団体からの繰入を考慮して算定していることに加え、漁川系施設関連の経常費用が28年度よりも増えたためです。「⑥給水原価」が全国平均を大きく上回っているのは、千歳川系施設関連で、供用開始後数年しか経過していないことから、多額の減価償却費及び支払利息を計上しているためです。28年度より数値が増加しているのは、漁川系施設関連の経常費用の増によるものです。「⑦施設利用率」が、27年度以降ほぼ一定となっているのは、一日平均配水量がほぼ同量のためです。「⑧有収率」は、送水の残留塩素を確保するための排水作業等を行うことがあるため、年度毎に多少の増減があり、29年度も全国平均を下回っていますが、99%台を維持しております。
老朽化の状況について
「①有形固定資産減価償却率」は、千歳川系施設が供用開始後数年しか経過していないことから、全国平均を大きく下回っております。なお、漁川系施設は全国的な傾向と同様に老朽化が進んでいることから、計画的に更新を進めていきます。「②管路経年化率」は、創設事業により完成した漁川系施設の供用開始時期から、法定耐用年数40年を経過していないため、これまで0%でした。平成32年度からの計上となります。「③管路更新率」は、漁川系の管路更新による計上です。国庫補助事業として平成23年度から36年度までの計画期間で管路更新を行っております。29年度も更新工事を実施しましたが、旧ルートを迂回して布設していることから、実際に通水するのは当該迂回ルートが完成する35年度となる予定のため、29年度の管路更新率は未計上としております。なお、29年度末時点での漁川系管路の耐震化率は31.4%となっております。
全体総括
平成29年度は、引き続き経常収支で利益を計上しており、健全な経営を持続できていると言えます。しかし、平成30年4月に料金の減額改定を実施し、それに伴い給水収益が減少する一方、今後も漁川系老朽管の更新、千歳川系企業債の償還といった多額の資金支出が見込まれています。そのため、これらの支出に必要な資金を確保できるよう、民間委託の推進等効率的な事業運営を行い、可能な限り各種経費の削減に努めます。老朽化した管路や施設の更新については、適切なアセットマネジメントの取組みのもと、優先度を見極め、計画的に実施します。