経営の健全性・効率性について
(1)健全性について経常収支比率が100%未満であり、全国平均及び類似団体平均値よりも下回っているため、健全度は悪いと考えます。これは、政策的に個排使用料を公共下水道使用料と同額で設定していることが要因の一つであり、公共下水道処理区域境界部(公共利用者と個排利用者とが隣接する地域)等における市民の公平感を維持する必要性を重視したものです。会計上は公共下水道を含む下水道事業会計(経常収支比率108%)のうち1%程度の小さい支出構成比となることや非現金収支(減価償却費、長期前受金戻入など)を除く、収益収支と資本収支を合わせたトータル収支では黒字となることなどから、下水道事業会計全体的な経営への影響は少ないですが、公共下水道使用料の改定検討の際には資産の長寿命化の可能性や個排使用料の適正な料金設定について検討・整理する必要があると考えます。(2)効率性について施設利用率については、統計上の浄化槽処理能力を定め、H27決算統計から算定を開始しました。指標値は全国平均及び類似団体平均を下回っており、さらに利用を推進したいところですが、少人数世帯化や節水型設備の普及などが反映されているものと想定されます。今後については、より一層、将来を見据えた適正規模の浄化槽整備に心がける必要があるものと考えます。※H26の⑤経費回収率と⑥汚水処理原価は他との差異が大きくなっています。これは当該年のみ繰出基準を考慮した経費分類により、計上したことが要因であり、経営分析上の実質的な経費回収率及び汚水処理原価はそれぞれ56.84%、197.94円と算定されます。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率が比較的低く、老朽化が未だ進んでいない状況です。維持管理を適切に行い、長寿命化を図ることが重要であると考えます。
全体総括
公共下水道を補完する形で整備が進められる個別排水処理施設は、下水道事業会計全体に与える影響は小さいものの経営の健全性及び効率性に課題を残しているため、市民が納得できるような形での維持・改善を図りたいと考えます。また、個別排水処理施設整備事業についても公共下水道事業と合わせて経営戦略を策定し、健全な事業運営を図る必要があると考えます。