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地方財政ダッシュボード

静岡県熱海市の財政状況(2020年度)

🏠熱海市

地方公営企業の一覧

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収録データの年度

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総括表

人口の推移

財政比較分析表(2020年度)

財政力指数の分析欄

令和2年度の財政力指数は0.92であり類似団体平均値と比較し0.5ポイント上回っている。令和2年度の普通交付税算定において基準財政収入額は、固定資産税、地方消費税交付金が増加したが、市町村民税所得割、法人割が減少している。基準財政需要額は、社会福祉費や65歳以上の介護サービス受給者の増加により高齢者保健福祉費等が増加している。人口減少や高齢化(令和3.4.1現在48.3%)の問題を抱えており、大幅な市税収入の増加が期待できないため、収納率の向上のために、コンビニ収納や口座振替の加入勧奨、電子マネーによる支払いを検討する。

経常収支比率の分析欄

令和2年度の経常収支比率は89.9%で類似団体内平均値を3.4ポイント下回った。歳出の経常経費一般財源充当額の増加は、物件費が小児医療救急経費の増加、1市2町し尿等共同処理施設の供用開始による処理経費の増加等により前年度と比較し8.7%増加、繰出金が低所得者への介護保険料軽減繰出等により前年度と比較し3.8%増加したものである。経常経費一般財源充当額の減少は、公債費が前年度と比較し1.6%減少している。今後とも、市税等の自主財源の確保及び事務事業の見直しを行い経常経費の削減に努める。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

人口1人当たり人件費・物件費等決算額は、全国平均、静岡県平均、類似団体内平均値を上回っている。人件費は、会計年度任用職員制度が開始したこともあり前年度と比較し増加しているが、消防業務、廃棄物処理施設を単独で運営していることが主な要因である。今後もアウトソーシングの活用、再任用制度の活用を図り、職員数の適正管理を行いながら人件費の抑制に努める。物件費は、小児救急医療業務等の委託料が増加しているが、昨年度行った庁内パソコン購入経費の減少により若干の減少となった。今後も、経費削減のため適正な予算執行に努める。

ラスパイレス指数の分析欄

前年度と比較して0.8ポイント減少したが、引き続き高水準で推移している。これは管理、監督者の若年化、本市職員の経験年数別の在職階層の変動が顕著であり、類似団体内平均、全国平均等を依然として大きく上回っている。今後とも職員配置や給与水準の適正化に努める。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

人口減少の影響により人口千人当たりの職員数は、前年度と比較して0.13ポイント増加し、全国平均、静岡県平均、類似団体平均値を上回っている。数値が高い要因として、観光地特有の行政需要から消防やごみ処理業務に職員を確保する必要があることや、別荘を所有している市外納税者の対応などにより職員数が多くなっている。今後、公共施設等の統廃合を含め、より適切な職員の適正管理に努める。

実質公債費比率の分析欄

償還元金を上回らない額での地方債の借入に努めていることや、過去の大型建設事業の元利償還が終了したこと、投資的事業を抑制してきたことが、類似団体内平均値と比較し5.7ポイント下回っている要因である。今後は、平成30年度からの継続費事業に係る起債償還が始まることや公共施設の老朽化に伴う解体や修繕費が想定されるため、投資的事業を取捨選択し、地方債の新規発行額を計画的に行うように努める。

将来負担比率の分析欄

前年度に比べ4.5ポイント将来負担比率が減少しているのは、地方債残高の減少及び充当可能特定財源の増加により将来負担額が減少したためである。退職手当負担見込額の増加による将来負担額の増加要因はあるが、平成30年度からの継続費事業が完了に向かっていることから地方債発行額が償還額を下回り地方債の現在高が減少した。充当可能財源等の増加要因は財政調整基金等の特定財源充当が増加したためである。今後は、老朽化した公共施設の建替や大規模修繕の財源として起債の借入が見込まれるため、健全な財政運営に努める。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2020年度)

人件費の分析欄

人件費に係る経常収支比率は、前年度と比較して0.9ポイント増加となった。これは、退職者数の増加や会計年度任用職員制度の開始による増加である。また、類似団体内平均値と比較して3.2ポイント上回っている要因は、消防業務が市単独の運営であり職員数が多いためである。今後も、アウトソーシングの活用、再任用制度の活用を図り、職員数の適正管理を行い、人件費の抑制に努める。

物件費の分析欄

全国平均、静岡県平均、類似団体内平均値を上回っている。数値が高い主な要因として、観光地という土地柄、観光プロモーションに係る民間委託が多いことや消防業務、廃棄物処理施設を単独で運営していることが挙げられる。引き続き公共施設の指定管理者制度の導入を推進し、施設の統廃合も含め事務事業の見直しを図る。

扶助費の分析欄

前年度と比較して0.4ポイント増加となったが全国平均、静岡県平均、類似団体内平均値を下回っている。障害者自立支援給付費や公立認定こども園開設による社会保障費の増加が見られた。また、本市の令和3年4月1日現在の高齢化率は48.3%であり、高齢者に要する経費や生活保護費等の上昇が続くことが見込まれる。市民の健康増進による疾病予防の啓発等により上昇の抑制を図り、国の制度を活用し経費節減に努める。

その他の分析欄

前年度と比較して0.9ポイント増加し、令和2年度は類似団体内平均値を上回る結果となった。主な増加要因は前年度同様に繰出金である。繰出金のうち国民健康保険事業特別会計は被保険者数の減少に伴い繰出金が減少しているが、後期高齢者医療事業特別会計は団塊の世代が75歳になり被保険者の数が増加していることや、介護保険事業特別会計においては低所得者軽減分の繰出金が増加したためである。

補助費等の分析欄

前年度と比較して0.3ポイント増加したが、類似団体内平均値と比較し大幅に下回る値で推移している。これは、他団体と比較して一部事務組合等の組織に加入している数が少ないことが要因である。市単独で行う補助金等については、目的、必要性や効果等を精査し、廃止も含め検討する。

公債費の分析欄

前年度と比較して0.1ポイント増加となったが、類似団体内平均値を下回り減少傾向にある。これは、過去の大型公共事業の償還が終了したことや元金償還額を上回らない額の借入れに努めたことによる。しかし、平成30年度からの公共施設建設に係る継続費事業による元金償還がまもなく始まることや公共施設等総合管理計画に基づく投資的経費が増加することが想定されるため、借入れと償還のバランスを考慮し計画的な運用に努める。

公債費以外の分析欄

前年度比では4.7ポイント増加し、類似団体平均値と同水準となった。要因は、人件費、扶助費、補助費等が増加したためである。特に人件費は、観光地特有の行政需要から消防やごみ処理業務に職員を確保する必要があり、別荘を所有している市外納税者の対応経費を計上していることなどが、要因の一つである。今後も職員削減や、業務の委託化等を推進し経常経費の削減に努める。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2020年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

類似団体内平均値を上回ったのは商工費と消防費で、衛生費、土木費、教育費は前年度類似団体平均を上回っていたものが今年度は下回る結果となった。商工費、消防費が類似団体内平均値より高い要因としては、本市は基幹産業が観光業であることから人口規模以上の行政需要があることや、消防業務を単独で運営しているためである。総務費は、新型コロナウイルス感染症に係る特別定額給付金により大きく増加している。民生費は、後期高齢者医療事業特別会計、介護保険事業特別会計への繰出金により増加している。衛生費は、1市2町し尿共同処理施設建設事業が減少したが、小児救急医療業務委託、新清掃工場建設のための基金積立金、新型コロナウイルス感染症対策のための水道料金減免に係る繰出金により増加している。農林水産業費は、初島漁港交流広場整備事業の完了により減少している。商工費は、新型コロナウイルス感染症対策中小企業等応援給付金等の臨時経済対策により増加している。土木費は、耐震対策緊急促進事業、姫の沢公園管理棟新築工事の完了により減少している。教育費は、小中学校タブレット整備経費が増加したが、認定こども園開設事業経費、小中学校エアコン設置工事が完了により減少している。公債費の減少は、元金償還額を上回らない額の借入れに努めたことによる。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2020年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

歳出決算総額は、住民一人当たり623,676円となっている。性質別歳出決算のうち、構成割合が大きいものは、人件費、物件費、扶助費、補助費等、普通建設事業費、繰出金である。、人件費は、消防業務、廃棄物処理施設を単独で運営していることが類似団体内平均値と比較して高い要因となっている。物件費も人件費と同様に消防業務、廃棄物処理施設を単独で運営していることや観光地という土地柄、観光プロモーションに係る民間委託等が多いことが類似団体内平均値よりも高い要因となっている。扶助費は類似団体内平均値を下回っているが、新型コロナウイルス感染症に対応する子育て世帯への臨時特別給付事業や住居確保給付金等の社会保障費や生活保護費が増加した。補助費等は、新型コロナウイルス感染症に係る特別定額給付金等の臨時経済対策事業により一時的に増加したが、他団体と比較して一部事務組合等の組織に加入している数が少ないことから類似団体内平均値を下回って推移している。普通建設事業費は、平成30年度からの公共施設整備に係る継続費事業(南熱海支所・消防署南熱海出張所改築工事、認定こども園開設事業、旧日向別邸保存修理工事)により増加していたが、整備最終年となったことから、類似団体内平均値を下回るまで減少した。繰出金は、高齢化に伴い、後期高齢者医療事業特別会計の被保険者数が増加していることや介護保険事業特別会計においては低所得者軽減分の繰出金が増加したことにより給付費等が伸びたためである。

実質収支比率等に係る経年分析(2020年度)

分析欄

財政調整基金残高の標準財政規模に対する比率が増加したのは、決算剰余金、下水道貸付金償還等及び寄附金を積立てたことによるものである。実質収支は令和元年度までほぼ横ばいで推移していたが、新型コロナウイルス感染症の影響による市税収入の減少により減少した。実質単年度収支は平成29年度以降赤字となっている。今後も計画的な基金の積立や取崩しを行い健全な財政運営に努める。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2020年度)

分析欄

全ての会計において実質収支は黒字となった。国民健康保険事業特別会計は、平成29年度に前期高齢者交付金歳入により一時的に増加、平成30年度、令和元年度は平年並みの数値となったが、令和2年度に賦課方式について資産割を廃止したことにより国民健康保険税収入が減少し黒字額が減少している。水道事業会計及び温泉事業会計は、平成26年度にマイナスだったが平成27年度以降は黒字となっている。一般会計は、新型コロナウイルス感染症の影響により市税収入が減少したことにより令和2年度の黒字額が減少した。今後も、水道事業会計、下水道事業会計、温泉事業会計については、経営戦略等の計画に基づき、その他の事業会計についても、一般会計の繰出金に依存しないように、健全な財政運営に努める。

実質公債費比率(分子)の構造(2020年度)

分析欄

実質公債費比率(分子)は、前年度より増加している。これは、元利償還金等(A)のうち元利償還金は、学校教育施設等整備事業債、公園緑地事業債等の償還終了及び元金償還額を超えない借り入れに努めたことにより減少したが、算入公債費等(B)について、過去に都市計画事業の財源として発行された地方債残高が減少し、特定財源となる都市計画税の充当額がそれを上回って減少したためである。今後は、老朽化した公共施設の修繕・改築が控えており、借入れに際しては償還能力を考慮し、公債費の平準化に努める。

将来負担比率(分子)の構造(2020年度)

分析欄

将来負担比率(分子)の減少は、将来負担額(A)が減少し、充当可能財源等(B)が増加したことによる。将来負担額(A)は、退職手当負担見込額が増加したものの、元金償還額を超えない借り入れに努めたことによる地方債残高の減少、観光施設用地取得費等の債務負担行為支出予定額の減少により減少した。充当可能財源等(B)は、充当可能特定歳入である都市計画税の充当額が減少したものの、財政調整基金及び環境衛生施設等整備基金等の充当可能基金が増加したためである。今後も財政状況を考慮し、適切な基金運用と計画的な地方債の借入れを行い将来負担の抑制を図る。

基金残高に係る経年分析(2020年度)

基金全体

(増減理由)令和2年度の基金全体残高は前年度と比較し、542百万円の増加となった。これは、観光振興基金で梅園整備のため3百万円、文化振興基金で(仮称)熱海文学館設立等準備のため4百万円の減少があった一方で、財政調整基金で決算剰余金等による積立額が取崩額を上回ったため307百万円、環境衛生施設等整備基金で新清掃工場建設のための積立等により164百万円の積立が増加となったことが主な要因である。(今後の方針)財政調整基金は、決算状況を踏まえ可能な範囲で積み立てを行う。特定目的基金のうち観光振興基金、職員退職手当基金は基準に従い継続的な積立に努め、環境衛生施設等整備基金は今までの継続的な積立に加え、新清掃工場建設に備え積立を進めていく。また、公共施設等総合管理計画に基づく建築物の総量削減のほか、長寿命化、予防保全の導入により基金の取崩しが増加することが予想されるが、将来負担を平準化させるために積立・取崩しのバランスを図りながら基金管理に努める。

財政調整基金

令和2年度は決算剰余金400百万円、下水道事業貸付金の元利償還金及び寄附金等407百万円を積立て、積立が取崩しを上回ったことにより、前年度末残高と比較し307百万円の増加となった。平成19年度以降の行財政改革プランに基づき歳入の確保と歳出の抑制に取り組んだ結果、平成25年度以降は取り崩しを上回る積立ができていることが増加の要因となっている。(今後の方針)行財政改革プランの期間に公共施設に対する維持管理費や施設更新費を削減した結果、公共施設全体の老朽化が進んでしまっているという経過があり、今後の施設修繕、更新に係る経費が増大する見込みとなっていることから、その財源として取り崩しが必要になると見込んでいる。しかし、経済事情の著しい変動等により財源が著しく不足する場合や、災害により生じた経費の財源又は災害により生じた減収を埋めるなどの不測の事態に備えるために一定程度の残高の確保が必要なことから、標準財政規模の20%から30%程度の残高が確保できるよう努めていく。

減債基金

(増減理由)平成27年度以降は、基金運用に伴う利子収入のみで基金残高に大きな増減はなかった。(今後の方針)公共施設等総合管理計画に沿って老朽化した公共施設の更新、改修、解体等を実施する場合には、地方債の借入額も増加し、将来の公債費負担が増加することが想定されるため、他基金とのバランスをとりながら地方債償還額の平準化のために取崩しを行うように努める。

その他特定目的基金

(基金の使途)・環境衛生施設等整備基金:ごみ及びし尿処理施設の整備、下水道施設の整備、管理及び運営・職員退職手当基金:職員が退職した場合に支給する退職手当・文化振興基金:文化の香り高いまちづくりに資するための文化財団の設立並びに文化施設の整備及び維持管理・観光振興基金:観光都市としてふさわしい観光施設の整備及び観光施策の推進・市営住宅敷金管理基金:市営住宅の入居者の共同の利便となる施設の建設又は管理(増減理由)・環境衛生施設等整備基金:ごみ処理手数料等の積立金64百万円に加え、新清掃工場建設のため1億円を積み立てたことにより増加・職員退職手当基金:80百万円の積立を実施したことにより増加・文化振興基金:(仮称)熱海文学館設立等準備経費へ充当するため5百万円取崩したことにより減少・観光振興基金:梅園入園料の12百万円を積立てたが、梅園整備事業へ15百万円充当したことにより減少・市営住宅敷金管理基金:住宅敷金等への充当のため2百万円取崩したため減少(今後の方針)・環境衛生施設等整備基金:ごみ及びし尿処理施設の経費や、エコ・プラント姫の沢ごみ処理施設の更新等に備えて積立を行う。・職員退職手当基金:毎年度、給料に一定の係数を乗じた額の積立を行い将来の退職金支払いに備える。・文化振興基金:(仮称)熱海文学館設立のための金額は確保し、文化施設の維持・更新経費等へ取り崩しを行う。・観光振興基金:観光施設の維持・更新経費等に備えて梅園入園料の一部の積立を継続して行う。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2020年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

有形固定資産減価償却率は類似団体より高い水準にある。令和2年度に幼稚園・保育園を認定こども園に統合したことによる減少要因もあったが、それ以上に道路、公営住宅、福祉施設等の老朽化が進んでいることから有形固定資産減価償却率が上昇している。当市では、平成29年12月に公共施設個別施設アクションプランを策定。現在見直し向けた取り組みを進めており、当該計画に基づいた施設の管理を適切に進めていく。

債務償還比率の分析欄

債務償還比率が前年度から上昇した要因としては、分子の構成要素である将来負担額が地方債残高の減少と基金の増加により減少したが、コロナ禍の影響により市税が大きく減少し、分母の構成要素である経常一般財源等がそれ以上に減少したためである。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

償還元金を上回らない額の市債発行に努めたことや基金等の充当可能財源等の増加により将来負担比率が減少した。その一方で、有形固定資産減価償却率は類似団体よりも高い水準で推移している。これは、公営住宅、道路、橋りょう等の多くが、高度経済成長の時期に設置され、耐用年数を経過していることが要因の一つである。また、道路については資産計上に該当しない維持補修工事により管理している部分も多いことから、数値が高くなっている。今後、公共施設等総合管理計画に基づき老朽化対策に取り組んでいく。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

実質公債費比率及び将来負担比率は類似団体と比較して低い水準で推移している。これは、大規模事業の市債の償還が終了し、償還元金を上回らない額の市債発行に努めたことによるものである。また、将来負担比率は、基金等の充当可能財源等の増加により減少、類似団体平均より低位で推移している。今後、公共施設等総合管理計画に基づき、必要な施設修繕・廃止等を実施した場合には、市債借入額の増加や基金取崩しが見込まれるため、公共施設総合管理計画個別計画の見直しにあたり、施設の長寿命化と財政負担の平準化に努め、実質公債費比率及び将来負担比率が適正な範囲内で推移していくよう管理する必要がある。

施設類型別ストック情報分析表①(2020年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

道路については、新規道路の設置が少なく修繕工事が中心となっていることから有形固定資産減価償却率が高くなっており、類似団体平均を上回っている要因であると考えられる。橋梁・トンネルの有形固定資産減価償却率は類似団体平均を上回っているが、長寿命化計画に基づく橋梁の点検が実施され、設計業務委託や耐震補強工事が進んでいることから改善傾向にある。公営住宅については、現存する市営住宅の90%以上を占める戸数が昭和30年代後半から50年代前半にかけて基幹産業である観光業の盛況に伴う就労人口の増加に対する住宅政策として当時整備され現在に至っており、減価償却が進んでいることから類似団体内でも高い有形固定資産減価償却率となっている。「熱海市公営住宅ストック総合活用計画」に基づき、耐用年数を超過した住宅から順次、入居者の移転を促し、建物の用途廃止を進めているところではあるが、あわせて引き続き使用していく住宅の長寿命化や更新整備に多額の費用が見込まれるため、費用の平準化を図る必要がある。港湾・漁港施設については、計画的な機能保全工事の実施してきたことにより有形固定資産減価償却率は類似団体平均を下回っている。また、一人当たり有形固定資産額が類似団体平均より高くなっているが、離島を有する本市特有の事由によるものと考えられる。認定こども園・幼稚園・保育所については老朽化が進んでいる幼稚園及び保育園を認定こども園として統合、令和2年度から供用開始したことにより有形固定資産減価償却率が大きく減少し、類似団体平均を下回った。学校施設及び公民館については、老朽化による減価償却は進んでいるものの、有形固定資産減価償却率は類似団体平均より低い水準で推移している。

施設類型別ストック情報分析表②(2020年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

有形固定資産減価償却率が高いものは福祉施設及び図書館で、老人福祉施設であった梅園荘は、既に供用停止をしており将来的に解体工事の計画を予定をしている。図書館については建物を賃借しており、一部の機械・電気設備しか有形固定資産がないことが、平均値を上回っている要因と考えられる。体育館・プールについては、平成12年に供用開始された比較的新しい施設であるため、類似団体平均を下回っている。一般廃棄物処理施設については、ごみ処理施設の大規模保全工事を平成27~30年度の4か年で実施し、機能改善や施設寿命の延伸を図っている。また、一般廃棄物処理施設の一人当たり有形固定資産額は類似団体平均値の2.5倍と非常に高くなっているが、これは観光地・別荘地でもある本市では交流人口を考慮した施設整備を行っているためである。令和2年度の人口1人1日当たりのごみ排出量を比較すると全国平均の1.7倍であり、人口規模以上の施設を維持していく必要がある。保健センターの有形固定資産減価償却率は類似団体平均を上回っているが、平成28年度に外壁改修、平成30年度から令和2年度にかけて空調設備等の更新工事や維持補修を実施しており利用上の支障は発生していない。消防施設については、施設面積の3分の1を占める消防庁舎の建替えを平成26年度に、南熱海出張所の建替えを令和元年度に実施したことにより有形固定資産減価償却率は類似団体平均を若干下回っている。また、消防団分団詰所については老朽化が進んでいるが耐震補強済であり、計画に基づき修繕を実施していく予定である。庁舎についても、施設面積の約半分を占めている本庁舎を平成26年に建替え、消防出張所と併設している南熱海支所について令和元年度に建替え工事を実施したことにより有形固定資産減価償却率は類似団体平均より低い水準で推移している。

財務書類に関する情報①(2020年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

・一般会計等においては、資産総額が前年度末から950百万円の減少(△1.3%)となった。水道事業及び下水道事業に対する出資金や財政調整基金積立金が増加したものの、それを上回って有形固定資産が減少したことによるものである。有形固定資産は幼稚園・保育園を統合した認定こども園整備による増加があったが、南熱海支所・消防南熱海出張所改築事業、1市2町し尿共同処理施設建設事業及び初島漁港施設改修事業等の大型継続事業の完了により公共施設整備を減価償却費が上回ったことにより減少となった。・全体でも、資産総額は前年度末から1,150百万円減少(0.9%)となった。これは上水道管、下水道管等のインフラ資産の老朽化による減価償却が進んでいること等による。水道事業は平成29年度に策定した経営戦略に基づき水道の老朽管布設替事業に地方債(固定負債)を充当している。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

・一般会計等においては、経常費用は20,972百万円となり前年度から3,755百万円の増加(+21.8%)となった。特に新型コロナウイルス感染症対策として実施された特別定額給付金をはじめとした経済対策により補助金等(5,701百万円、前年度比3,951百万円)が大きく増加した。また、純経常行政コストは、姫の沢陶芸センターの解体及び認定こども園に転用した小学校特別教室の一部除却により資産売却損が増加し、前年度から4,340百万円増加(+26.9%)となった。今後は、老朽化する施設の集約化・複合化・解体等について、公共施設等総合管理計画に基づき適正管理に努めていく。・全体では、一般会計等に比べて、水道料金等を使用料及び手数料に計上しているため経常収益が2,968百万円多くなっているが、新型コロナウイルス感染症の影響により前年度と比較し539百万円減少(△13.8%)した。一方で、国民健康保険事業や介護保険事業の負担金を計上しているため移転費用が8,311百万円多くなり、純行政コストは9,401百万円多くなっている。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

・一般会計等においては、特別定額給付金をはじめとした新型コロナウイルス感染症対策等により国県等補助金が増加したが、税収等の財源(19,488百万円)が減少し、純行政コスト(20,487百万円)を下回ったことから、本年度差額は△999百万円となり、純資産残高は867百万円の減少となった。・全体では、国民健康保険税や介護保険料等が税収等収入に含まれることから、一般会計等と比べて税収等が4,345百万円多くなっているが、税収等の財源が純行政コストを下回ったことから本年度差額は△598百万円となり、純資産残高は562百万円の減少となった。・連結では、静岡県後期高齢者医療広域連合への国県等補助金等が財源に含まれることから、一般会計等と比べて財源が17,423百万円多くなっているが、税収等の財源が純行政コストを下回ったことから本年度差額は△1,532百万円となり、純資産残高は365百万円の減少となった。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

一般会計等においては、特別定額給付金をはじめとした新型コロナウイルス感染症対策等により補助金等支出が前年度から3,951百万円(225.8%)と大き増加したが、コロナ禍により税収等収入が537百万円(△4.3%)減少したことにより、業務活動収支は583百万円減少(△28.8%)した。投資活動収支については、南熱海支所・消防南熱海出張所改築事業等の大型継続事業の完了により公共施設等整備支出が前年度から1,845百万円(△60.7%)も減少となった。財務活動収支については、地方債等発行収入が地方債等償還支出を下回ったことで△121百万円となり、本年度末資金残高は前年度から290百万円減少し、596百万円となった。継続費事業が完了しつつある状況から次年度の財務活動収支もマイナスと予想されるが、後年度の公債費負担と償還能力に配慮した地方債の発行に努める必要がある。全体では、国民健康保険税や介護保険料が税収等収入に含まれることから、業務活動収支は一般会計等より1,312百万円多い2,755百万円となっている。財務活動収支は、地方債等発行収入が地方債等償還支出を下回ったことから△204百万円となり、本年度末資金残高は前年度から473百万円減少し、3,952百万円となった。連結では、本年度末資金残高は前年度から276百万円減少し、4,409百万円となった。

財務書類に関する情報②(2020年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

・住民一人当たり資産額(歳入額対資産比率)について、減価償却費の増加により資産は減少したが、人口減少の割合が上回ったことによ前年度から0.5万円の増加となった。有形固定資産減価償却率については、高度経済成長期に建設された公営住宅が多く、更新時期を迎えていることから類似団体より高い水準にある。将来の公共施設等の修繕や更新等に係る財政負担を軽減するため、平成29年度に策定した公共施設等総合管理計画に基づ個別施設計画により、公共施設等の集約・複合化等を進めるとともに、老朽化した施設について、点検・診断や計画的な予防保全による長寿命化を進めていくなど、公共施設等の適正管理に努める。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

・純資産比率は、類似団体平均値を若干上回っているが、純行政コストが税収等の財源を上回ったことから、純資産が減少し、昨年度から0.3%減少している。純資産の減少は、将来世代が利用可能な資源を過去及び現世代が消費して便益を享受していることを意味しており、引き続き行政コストの削減に努める。将来世代負担比率は、類似団体平均値を下回っており、地方債償還元金を上回らない地方債発行に努めてきたことが要因の1つである。今後は公共施設の建替や修繕等による投資的経費が増大することが想定されることから、借入と償還のバランスを考慮し、計画的な運用に努めていく。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

住民一人当たり行政コストは類似団体平均値を8.4万円下回ったが、前年度から12.8万円と大きく増加した。これは特別定額給付金をはじめとした新型コロナウイルス感染症対策等により純行政コストが昨年度から26.9%(434,035万円)増加したことによる。また、純行政コストに占める人件費割合は微増しており、行政コストが高くなる要因となっていると考えられる。指定管理者制度等の業務の外部委託化を進めつつ、職員数の適正管理を行い、人件費の抑制に努めていく。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

・住民一人当たり負債額は類似団体平均値を下回っている。負債合計は地方債元金償還を上回らない地方債発行に努めたことにより前年度から8,299百万円減少したが、人口減少の割合が上回ったことによ前年度から0.7万円の増加となった。・基礎的財政収支は、基金の取崩収入及び基金積立支出を除いた投資活動収支の赤字分が業務活動収支の黒字分を下回ったため、454百万円となっている。これは、南熱海支所消防南熱海出張所改築事業や1市2町し尿共同処理施設建設事業等の大型継続費事業が終了したことにより公共施設等整備支出が大きく減少したことによるものである。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

受益者負担比率は、昨年度から減少し類似団体平均値を若干上回っている状況にある。その要因としては、特別定額給付金をはじめとした新型コロナウイルス感染症対策等により経常費用が増加したこと及びコロナ禍により文化施設、駐車場等の使用料収入が減少したためである。今後は施設の維持管理経費の増加が見込まれることから公共施設等総合管理計画に基づき受益者負担とのバランスをとりながら財政運営に努めていく。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,