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地方財政ダッシュボード

静岡県熱海市の財政状況(2022年度)

🏠熱海市

地方公営企業の一覧

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収録データの年度

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総括表

人口の推移

財政比較分析表(2022年度)

財政力指数の分析欄

令和4年度の財政力指数は、前年度と比較して0.03ポイント減少となったが、これは、普通交付税算定における基準財政収入額が増加したものの、基準財政需要額がそれ以上に増加したことによる。基準財政収入額は市町村民税所得割・法人税割、法人事業税交付金等が増加し、基準財政需要額は地域の元気創造事業費、公債費、清掃費等が増加した。今後、令和3年7月熱海市伊豆山土石流災害からの復旧・復興事業に係る公債費等の増加が見込まれるため、本市の財政状況、後年度の公債費負担や償還能力等に充分に配慮しながら財政の健全性確保に努める。

経常収支比率の分析欄

令和4年度の経常収支比率は、歳出の経常経費一般財源充当額が前年度と比較して増加となったが、歳入の経常一般財源も増加となったことから、前年度と比較して同ポイントとなった。経常経費一般財源充当額は、物件費が庁舎等に係る電気使用料の増加、公債費がごみ焼却施設改造事業等に係る長期債元金の増加となったことにより、前年度と比較して増加となった。経常一般財源は、地方税及び普通交付税の増加等により、前年度と比較して増加となった。引き続き市税等の自主財源の確保及び事務事業の見直しを行い経常経費の削減に努める。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

人口1人当たり人件費・物件費等決算額は、前年度と比較して減少となったが、これは、令和3年7月熱海市伊豆山土石流災害の対応に係る経費(宿泊施設借上料、職員の時間外手当等)が減少したことによる。これまでも、アウトソーシングや再任用制度の活用を図り、職員数の適正管理を行いながら人件費や経常的な物件費の抑制に努めてきたが、類似団体内平均値を大きく上回っており、引き続き経常的な人件費等の抑制に努めるが、令和3年7月熱海市伊豆山土石流災害からの復旧・復興事業を最優先とするため、しばらくは高い水準で推移することが見込まれる。

ラスパイレス指数の分析欄

ラスパイレス指数は、前年度と同値であり、引き続き高水準で推移している。これは、管理、監督者の若年化、本市職員の経験年数別の在職階層の変動が顕著であり、類似団体内平均、全国平均等を依然として大きく上回っている。今後とも職員配置や給与水準の適正化に努める。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

人口減少の影響により人口1,000人当たりの職員数は、前年度と比較して0.52ポイント増加し、全国平均、静岡県平均及び類似団体平均値を上回っている。数値が高い要因として、観光地特有の行政需要から消防やごみ処理業務に職員を確保する必要があることや、別荘等を所有している市外納税者の対応などにより職員数が多くなっている。事務の合理化及び効率化を図り、より適切な職員の定員管理に努める。

実質公債費比率の分析欄

実質公債費比率は、ごみ焼却施設改造事業等に係る元金償還が開始されたことに起因し、前年度に比べ0.6ポイント増加となった。類似団体内平均値と比較し4.0ポイント下回っているが、これは、償還元金を上回らない額での地方債発行に努めていることや、投資的事業を抑制してきたことによる。今後は、令和3年7月熱海市伊豆山土石流災害からの復旧・復興事業に係る新規発行が見込まれるため、投資的事業を取捨選択し、地方債の新規発行額を計画的に行うように努める。

将来負担比率の分析欄

将来負担比率は、地方債借入額の減少等に伴う地方債現在高の減少、財政調整基金及び環境衛生施設等整備基金の増加に伴う充当可能財源等の増加並びに標準財政規模の減少により、大幅に減少し負の数値となったため、算定されなかった。今後は、令和3年7月熱海市伊豆山土石流災害からの復旧・復興事業に加え、老朽化した公共施設の建替や大規模修繕の財源として起債発行が見込まれるため、健全な財政運営に努める。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2022年度)

人件費の分析欄

人件費に係る経常収支比率は、前年度と比較して0.2ポイント減少となった。類似団体内平均値と比較して2.3ポイント上回っている要因は、観光地特有の行政需要から消防やごみ処理業務に職員を確保する必要があることや市単独の運営を行っているためである。今後も、アウトソーシングや再任用制度の活用を図り、職員数の適正管理を行い、人件費の抑制に努める。

物件費の分析欄

全国平均、静岡県平均、類似団体内平均値を大きく上回っている。数値が高い主な要因として、観光地という土地柄、観光プロモーションに係る民間委託が多いことや消防業務、廃棄物処理施設を単独で運営していることが挙げられる。引き続き公共施設の指定管理者制度の導入を推進し、施設の統廃合も含め事務事業の見直しを図る。

扶助費の分析欄

被保護世帯の減による生活保護費の減少や児童手当等支給事業の減少により、前年度と比較して1.4ポイント減少し、全国平均、静岡県平均、類似団体内平均値を下回った。本市の令和5年4月1日現在の高齢化率は48.6%であり、高齢者福祉に要する経費や生活保護費等の上昇が続くことが見込まれる。市民の健康増進による疾病予防の啓発等により上昇の抑制を図り、国の制度を活用し経費節減に努める。

その他の分析欄

前年度と比較して0.1ポイント減少したが、類似団体内平均値を上回る結果となった。主な要因は繰出金である。国民健康保険事業特別会計は被保険者数の減少に伴い繰出金が減少しているが、高齢化の進展による後期高齢者医療被保険者数の増加により後期高齢者医療事業特別会計操出金が増加したためである。市民の健康増進による疾病予防の啓発等により医療費や介護給付費の上昇の抑制を図っていく。

補助費等の分析欄

前年度と比較して0.4ポイント減少し、類似団体内平均値を大幅に下回る値で推移している。これは、一部事務組合等の組織に加入している数が少ないことが要因である。しかし、今後の大規模な公共施設の更新等に当たっては行財政の効率化の面からも広域化の検討を進める必要がある。市単独で行う補助金等については、目的、必要性や効果等を精査し、廃止も含め検討する。

公債費の分析欄

ごみ焼却施設改造事業等に係る元金償還が開始されたことに起因した長期債元金の増加により、前年度と比較して1.1ポイント増加となった。類似団体内平均値を下回っているが、これは、元金償還額を上回らない地方債発行に努めてきたことによる。今後は令和3年7月熱海市伊豆山土石流災害からの復旧・復興事業の財源として地方債の活用が見込まれるため、借入れと償還のバランスを考慮し計画的な運用に努める。

公債費以外の分析欄

前年度と比較して1.1ポイント減少し、類似団体内平均値を下回った。扶助費、物件費、補助費等は減少し、人件費は増加した。人件費は、観光地特有の行政需要から消防やごみ処理業務に職員を確保する必要があり、別荘等を所有している市外納税者の対応経費を計上していることなどが要因の一つである。今後も事務の合理化及び効率化による職員の適正管理や、業務の民間委託等を推進し、経常経費の削減に努める。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2022年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

類似団体内平均値を上回ったのは、議会費、衛生費、商工費、土木費、消防費及び災害復旧費である。商工費、消防費が類似団体内平均値より高い要因としては、本市は基幹産業が観光業であることから人口規模以上の行政需要があることや、消防業務を単独で運営しているためである。民生費は、令和3年7月熱海市伊豆山土石流災害に係る宿泊施設借上料や生活保護法に基づく要保護世帯の扶助費の減少により、前年度と比較して大きく減少した。衛生費は、燃料価格高騰に伴う廃棄物処理施設の電気使用料等の増加により、前年度と比較して増加した。商工費は、市民クーポン事業等の減少により、前年度と比較して減少した。土木費は、市単独道路改良等事業、橋梁長寿命化事業、令和3年7月熱海市伊豆山土石流災害に係る被災地区の復興事業等の増加により、前年度と比較して増加した。教育費は、燃料価格高騰に伴う小中学校及び図書館の電気使用料の増加や、小中学校校舎等改修事業の増加により、前年度と比較して増加した。小中学校校舎等は依然として校舎施設の老朽化は進んでいるため、統廃合の検討や公共施設管理計画に基づく長寿命化等による適正な管理に努めていく。災害復旧費は、令和3年7月熱海市伊豆山土石流災害に係る堆積土砂排除事業等の増加により、前年度と比較して大きく増加した。公債費は、ごみ焼却施設改造事業等に係る元金償還が開始されたことに起因した長期債元金の増加により、前年度と比較して増加した。災害復旧・復興の財源として地方債を活用するため、今後数年は上昇傾向が続くことが見込まれる。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2022年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

歳出決算総額は、住民一人当たり592,736円となっている。性質別歳出決算のうち、構成割合が大きいものは、人件費、物件費、扶助費、繰出金である。人件費は、消防業務、廃棄物処理施設を単独で運営していることが類似団体内平均値と比較して高い要因となっている。物件費も人件費と同様に、消防業務、廃棄物処理施設を単独で運営していることや観光地という土地柄、観光プロモーションに係る民間委託等が多いことにより、類似団体内平均値よりも高い要因となっている。扶助費は、被保護世帯の減による生活保護費の減少や児童手当等支給事業の減少により、前年度と比較して減少し、類似団体内平均値を下回っている。補助費等は、市民クーポン事業や令和3年7月熱海市伊豆山土石流災害に係る災害見舞金等交付金等の減少により、前年度と比較して減少した。また、類似団体内平均値と比較し大幅に下回る値で推移しているが、これは、一部事務組合等の組織に加入している数が少ないことが要因である。普通建設事業費は、小中学校校舎等改修事業や市単独道路改良等事業の増加により、前年度と比較して増加した。災害復旧事業費は、令和3年7月熱海市伊豆山土石流災害に係る堆積土砂排除事業等の増加により、前年度と比較して大きく増加した。繰出金は、高齢化の進展に伴い、後期高齢者医療事業特別会計の被保険者数が増加していること等より増加した。

実質収支比率等に係る経年分析(2022年度)

分析欄

令和4年度は、前年度と比較して、令和3年7月熱海市伊豆山土石流災害に対する災害寄附金や特別交付税は減少したが、地方税や普通交付税が増加したことにより、実質収支額が大幅に増加した。地方税は、コロナ禍による影響がみられた前年度を全税目において上回った。財政調整基金は標準財政規模の30%を確保できているが、今後の復旧・復興事業により取崩し額が増加することが見込まれるため、計画的な基金管理を行い、健全な財政運営に努める。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2022年度)

分析欄

すべての会計において実質収支は黒字となった。一般会計は、地方税がコロナ禍による影響がみられた前年度を全税目において上回ったことや普通交付税が増加したこと等から黒字額が大幅に増加した。水道事業会計及び下水道事業会計は、ウィズコロナ時代への社会経済の変化により観光関連産業の水需要が回復傾向にあることから、黒字が増加した。国民健康保険事業特別会計は、平成29年度に前期高齢者交付金歳入により一時的に増加、平成30年度、令和元年度は平年並みの数値となったが、令和2年度に賦課方式について資産割を廃止した影響により国民健康保険税収入が減少、加入世帯の減少もあり黒字額が減少傾向にある。今後も、水道事業、下水道事業、温泉事業会計については、経営戦略等の計画に基づき、その他の事業会計についても、一般会計の繰出金に依存しないように、健全な財政運営に努める。

実質公債費比率(分子)の構造(2022年度)

分析欄

実質公債費比率(分子)は、前年度と比較して増加となった。これは、平成30年度借入の臨時財政対策債及び一般廃棄物処理事業債、令和元年度借入の辺地対策事業債等の元金償還が開始したことによる元利償還金の額の増加によるものである。今後、令和3年7月熱海市伊豆山土石流災害からの復旧・復興事業の財源として地方債を活用する見込みがあるため、公債費負担が重くなることが想定される。地方債の発行に際しては償還能力を考慮し、公債費の平準化に努める。

将来負担比率(分子)の構造(2022年度)

分析欄

将来負担比率(分子)は、将来負担額(A)が減少し、充当可能財源等(B)が増加したことにより、前年度と比較して大幅に減少し、負の値となった。将来負担額(A)は、地方債借入額の減少等に伴う地方債現在高の減少により、前年度に比較して減少した。充当可能財源等(B)は、財政調整基金及び環境衛生施設等整備基金の増加により、前年度に比較して増加した。今後は、被災地の復旧・復興事業に加え、老朽化した公共施設の建替や大規模修繕の財源として地方債発行が見込まれるため、財政状況を考慮し、適切な基金運用と計画的な地方債発行を行い将来負担の抑制を図っていく。

基金残高に係る経年分析(2022年度)

基金全体

(増減理由)令和4年度の基金全体残高は前年度と比較し、1,099百万円の増加となった。これは、新清掃工場建設のための積立による環境衛生施設等整備基金として657百万円の積立を行ったことや、財政調整基金として決算剰余積立900百万円、下水道事業貸付金償還金積立302百万円の積立を行ったことが主な要因である。(今後の方針)財政調整基金は、決算状況を踏まえ可能な範囲で積立を行う。特定目的基金のうち観光振興基金、職員退職手当基金は基準に従い継続的な積立に努め、環境衛生施設等整備基金は今までの継続的な積立に加え、新清掃工場建設に備え積立を進めていく。また、公共施設等総合管理計画に基づく建築物の総量削減のほか、長寿命化、予防保全の導入により基金の取崩しが増加することが予想されるが、将来負担を平準化させるために積立・取崩しのバランスを図りながら基金管理に努める。

財政調整基金

(増減理由)令和4年度は、決算剰余金900百万円、下水道事業貸付金償還金302百万円等を積立て、969百万円を取り崩したことにより、前年度末残高と比較し300百万円の増加となった。平成19年度以降の行財政改革プランに基づき歳入の確保と歳出の抑制に取り組んだ結果、平成25年度以降は取崩しを上回る積立ができていることが増加の要因となっている。(今後の方針)行財政改革プランの期間に公共施設に対する維持管理費や施設更新費を削減した結果、公共施設全体の老朽化が進んでしまったこと、経済変動や災害等の不測の事態に備えるために一定程度の残高の確保が必要なことから、標準財政規模の20%から30%程度の残高が確保できるよう努めてきた結果、標準財政規模の30%以上を確保できた。今後、令和3年7月に発生した熱海市伊豆山土石流災害に係る復旧・復興事業を優先するため多くの取崩しが想定されるが、公共施設等総合管理計画に基づく施設の総量削減、長寿命化等への将来負担に備え、引き続き可能な範囲で積立に努めていく。

減債基金

(増減理由)令和4年度は、9百万円の取崩しを行ったことにより、前年度末残高と比較し9百万円の減少となった。これは、令和3年7月熱海市伊豆山土石流災害により被災した消防第4分団ポンプ自動車の廃車に伴い、当該ポンプ自動車に係る起債の繰上償還を行ったことによる。(今後の方針)公共施設等総合管理計画に沿って老朽化した公共施設の更新、改修、解体等を実施する場合には地方債の発行額も増加し、将来の公債費負担が増加することが想定されるため、他の基金とのバランスをとりながら地方債償還額の平準化のために取崩しを行うように努める。

その他特定目的基金

(基金の使途)・環境衛生施設等整備基金:ごみ及びし尿処理施設の整備、下水道施設の整備、管理及び運営・職員退職手当基金:職員が退職した場合に支給する退職手当・文化振興基金:文化の香り高いまちづくりに資するための文化財団の設立並びに文化施設の整備及び維持管理・地域福祉基金:高齢者、障害者及び児童の福祉の向上を目的とする地域福祉事業の推進・観光振興基金:観光都市としてふさわしい観光施設の整備及び観光施策の推進(増減理由)・環境衛生施設等整備基金:ごみ処理手数料等の積立金57百万円に加え、新清掃工場建設のため6億円の積立を行ったことにより増加した。・職員退職手当基金:将来に備え、85百万円の積立を行ったことにより増加した。・文化振興基金:取崩しを行ったが、文化施設の整備及び維持管理経費として28百万円の積立を行ったことにより増加した。・地域福祉基金:地域福祉事業のための25百万の積立を行ったことにより増加した。・観光振興基金:梅園入園料の7百万円の積立を行ったが、梅園整備事業のため10百万円の取崩しを行ったことにより減少した。(今後の方針)・環境衛生施設等整備基金:エコ・プラント姫の沢ごみ処理施設の更新等に備えて積立を行う。・職員退職手当基金:毎年度、給料に一定の係数を乗じた額の積立を行い将来の退職金支払いに備える。・文化振興基金:(仮称)熱海文学館設立のための金額は確保し、文化施設の整備及び維持管理経費等へ取崩しを行う。・地域福祉基金:地域福祉事業のための取崩しを行う。・観光振興基金:観光施設の維持・更新経費等に備えて梅園入園料の一部の積立を継続して行う。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2022年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

有形固定資産減価償却率は類似団体中最も高い水準にある。特に道路、公営住宅、福祉施設等の老朽化が進んでいることから有形固定資産減価償却率が上昇している。当市では、平成29年12月に公共施設個別施設アクションプランを策定、第Ⅱ期の取り組みを進めており、当該計画に基づいた施設の管理を適切に進めていく。

債務償還比率の分析欄

債務償還比率が前年度から低下した要因としては、分子の構成要素である将来負担額が基金の増加等により減少したこと及び分母の構成要素である経常一般財源等が市民税や固定資産税等の増加により増加したためである。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

将来負担比率は、償還元金を上回らない額の市債発行に努めたことや基金等の充当可能財源等の増加により、算定されなかった。その一方で、有形固定資産減価償却率は類似団体よりも高い水準で推移している。これは、公営住宅、道路、橋りょう等の多くが、高度経済成長の時期に設置され、耐用年数を経過していることが要因の一つである。また、道路については資産計上に該当しない維持補修工事により管理している部分も多いことから、数値が高くなっている。今後、公共施設等総合管理計画に基づき老朽化対策に取り組んでいく。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

実質公債費比率及び将来負担比率は類似団体と比較して低い水準で推移している。これは、大規模事業の市債の償還が終了し、償還元金を上回らない額の市債発行に努めたことによるものである。また、将来負担比率は、基金等の充当可能財源等の増加により低下、類似団体平均より低位で推移している。今後、公共施設等総合管理計画に基づき、必要な施設修繕・廃止等を実施した場合には、市債借入額の増加や基金取崩しが見込まれるため、公共施設総合管理計画個別計画の見直しに当たり、施設の長寿命化と財政負担の平準化に努め、実質公債費比率及び将来負担比率が適正な範囲内で推移していくよう管理する必要がある。

施設類型別ストック情報分析表①(2022年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

道路については、新規道路の設置が少なく修繕工事が中心となっていることから有形固定資産減価償却率が高くなっており、類似団体平均を上回っている要因であると考えられる。橋りょう・トンネルの有形固定資産減価償却率は類似団体平均を上回っているが、長寿命化計画に基づく橋りょうの点検が実施され、設計業務委託や耐震補強工事が進んでいることから低下傾向にある。公営住宅については、現存する市営住宅の90%以上を占める戸数が昭和30年代後半から50年代前半にかけて基幹産業である観光業の盛況に伴う就労人口の増加に対する住宅政策として当時整備され現在に至っており、減価償却が進んでいることから類似団体内でも高い有形固定資産減価償却率となっている。「熱海市公営住宅ストック総合活用計画」に基づき、耐用年数を超過した住宅から順次、入居者の移転を促し、建物の用途廃止を進めているところではあるが、あわせて引き続き使用していく住宅の長寿命化や更新整備に多額の費用が見込まれるため、費用の平準化を図る必要がある。港湾・漁港施設については、計画的な機能保全工事の実施してきたことにより有形固定資産減価償却率は類似団体平均を下回っている。また、一人当たり有形固定資産額が類似団体平均より高くなっているが、離島を有する本市特有の事由によるものと考えられる。学校施設については、修繕工事を中心に進めたことから、有形固定資産減価償却率が類似団体平均を上回った。公民館については、老朽化による減価償却は進んでいるものの、有形固定資産減価償却率は類似団体平均より低い水準で推移している。

施設類型別ストック情報分析表②(2022年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

有形固定資産減価償却率が高いものは福祉施設及び図書館で、老人福祉施設であった梅園荘は、既に供用停止をしており将来的に解体工事の計画を予定をしている。図書館については建物を賃借しており、一部の機械・電気設備しか有形固定資産がないことが、平均値を上回っている要因と考えられる。体育館・プールについては、平成12年に供用開始された比較的新しい施設であるため、類似団体平均を下回っている。一般廃棄物処理施設については、ごみ処理施設の大規模保全工事を平成27~30年度の4か年で実施し、機能改善や施設寿命の延伸を図っている。また、一般廃棄物処理施設の一人当たり有形固定資産額は類似団体平均値の2.3倍と非常に高くなっているが、これは観光地・別荘地でもある本市では交流人口を考慮した施設整備を行っているためである。令和4年度の人口1人1日当たりのごみ排出量を比較すると全国平均の1.9倍であり、人口規模以上の施設を維持していく必要がある。保健センターの有形固定資産減価償却率は類似団体平均を上回っているが、平成28年度に外壁改修、平成30年度から令和2年度にかけて空調設備等の更新工事や維持補修を実施しており、利用上の支障は発生していない。消防施設については、施設面積の3分の1を占める消防庁舎の建替えを平成26年度に、南熱海出張所の建替えを令和元年度に実施したことにより有形固定資産減価償却率は類似団体平均を若干下回っている。庁舎についても、施設面積の約半分を占めている本庁舎を平成26年に建替え、消防出張所と併設している南熱海支所について令和元年度に建替え工事を実施したことにより有形固定資産減価償却率は類似団体平均より低い水準で推移している。

財務書類に関する情報①(2022年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

・一般会計等においては、資産総額が令和3年度末から1,081百万円の増加(+1.5%)となった。これは有形固定資産は減少したものの、現金預金及び基金が増加したことによるものである。現金預金については令和4年度決算に係る収支が増加したことにより増加し、また基金については財政調整基金と環境衛生施設等整備基金が増加したことにより増加した。全体についても783百万円の増加(0.7%)となった。これは上水道管、下水道管等のインフラ資産の老朽化による減価償却累計額が増加しているが、それを上回って現金預金が増加したことによるものである。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

・一般会計等において、経常費用は17,788百万円となり前年度から1,244百万円の減少(△6.5%)となった。特に、住民税非課税世帯等に対する特別給付金や子育て世帯への臨時特別給付金等の減少により、扶助費である社会保障給付(335百万円、△11.7%)が大きく減少した。また、純行政コストは、令和3年7月熱海市伊豆山土石流災害等による令和3年度からの繰越分の災害復旧事業費(815百万円、前年度比△332百万円)が増加し、全体では1,539百万円の減少(▲8.1%)となった。・全体においては、一般会計等に比べて水道料金等を使用料及び手数料に計上しているため、経常収益が3,197百万円多くなっている。一方で、国民健康保険事業や介護保険事業の負担金を計上しているため移転費用が8,385百万円多くなり、純行政コストは9,180百万円多くなっている。・連結では、一般会計等に比べ連結対象企業等の事業収益を計上し、経常収益が3,363百万円多くなっている一方で、経常費用が20,563百万円多くなっていることから、純行政コストも17,195百万円多くなっている。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

・一般会計等においては、財源(18,801百万円、前年度比△24百万円)は僅かに減少したが、純行政コストが前年度から1,539百万円と大きく減少(▲8.1%)したことから、本年度差額は1,225百万円となり、純資産残高は前年度比で1,263百万円(+2.6%)の増加となった。・全体においては、国民健康保険税や介護保険料等が税収等収入に含まれることから、一般会計等と比べて3,671百万円多くなっているが、税収等の財源が純行政コストを上回ったことから本年度差額は1,127百万円となり、純資産残高は前年度比で1,894百万円(+2.6%)の増加となった。・連結においては、静岡県後期高齢者医療広域連合への国県等補助金等が財源に含まれることから、一般会計等に比べ財源が17,057百万円多くなっているが、税収等の財源が純行政コストを上回ったことから本年度差額は1,087百万円となり、純資産残高は前年度比で1,827百万円(+2.5%)の増加となった。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

・一般会計等においては、住民税非課税世帯等に対する特別給付金や子育て世帯への臨時特別給付金等の減少により、扶助費である社会保障給付が前年度から335百万円減少(△11.7%)したことなどから、業務活動収支は675百万円増加した(26.2%)投資活動収支については、財政調整基金積立金及び環境衛生施設等整備基金積立金の増加により基金積立金支出が前年度から1,024百万円増加(+96.0%)したことなどから、779百万円減少(△74.5%)した。財務活動収支は地方債等償還支出が増加したことに加え、地方債等発行収入が減少したことにより620百万円減少(△512.4%)した。今後も後年度の公債費負担と償還能力に配慮した地方債の発行に努める必要がある。・全体では、国民健康保険税や介護保険料等が税収等収入に含まれることから、業務活動収支は一般会計等より1,051百万円多い4,303百万円となっている。財務活動収支は、地方債等発行収入が地方債償還支出を下回ったことから△923百万円となり、本年度末資金残高は前年度比で642百万円増加(+11.1%)し6,407百万円となった。・連結では、本年度末資金残高は前年度から594百万円増加(+9.7%)し、6,742百万円となった。

財務書類に関する情報②(2022年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

・住民一人当たり資産額について、現金預金及び基金が増加したことに加えて、人口が減少したことにより7.4万円の増加となった。有形固定資産減価償却率については、高度経済成長期に建設された公営住宅が多く、更新時期を迎えていることから類似団体より高い水準にある。将来の公共施設等の修繕や更新等に係る財政負担を軽減するため、平成29年度に策定した施設について、点検・診断や計画的な予防保全による長寿命化を進めていくなど、公共施設等の適正管理に努める。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

・純資産比率は類似団体平均値を若干上回っており、純行政コストが税収等の財源を下回ったことから、純資産が増加し昨年度から0.7%増加した。・将来世代負担比率は類似団体平均値を下回っており、地方債償還元金を上回らない地方債発行に努めてきたことが要因のひとつである。今後は公共施設の建替や修繕等による投資的経費が増大することが想定されることから、借入と償還のバランスを考慮し、計画的な運用に努めていく

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

・住民一人当たり行政コストは類似団体平均値を下回り、昨年度からは3.4万円減少した。これは、住民税非課税世帯等に対する特別給付金や子育て世帯への臨時特別給付金等の減少により、純行政コストが昨年度から1,539百万円の減少(△8.1%)したことによるものである。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

・住民一人当たり負債額は類似団体平均値を下回っている。負債合計は地方債元金償還額を上回らない地方債発行に努めていることから、前年度から若干減少(△18百万円)したが、人口が減少したことにより7千円増加した。・基礎的財政収支は業務活動収支の黒字分が基金取崩収入及び基金積立支出を除いた投資活動収支の赤字分を下回り2,583百万円となっている。投資活動を税収等の収入で賄えている状況ではあるが、必要に応じて公共施設に対する投資を行っていく必要がある。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

受益者負担比率は昨年度から増加し類似団体比率を上回っている状況である。住民税非課税世帯等に対する特別給付金や子育て世帯への臨時特別給付金等の減少により、経常費用が減少したことが主な要因である。今後は受益者負担とのバランスをとりながら財政運営に努めていく。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,