経営の健全性・効率性について
①経常収支比率については、103.82%と黒字である100%以上となっており収益で費用をある程度補えている状態であるが、類似団体平均値を下回っている。これは、給水収益の減少や費用の増加が大きく影響している。②累積欠損金比率は0%であり、累積の欠損金が発生していない。③流動比率についても527.30%と100%以上となっているが、前年度と比べ、大幅に数値が下がっている。これは資産運用の投資により、現金預金が昨年度と比べ大幅に減少しことが影響している。④企業債残高対給水収益比率は、給水収益に対する企業債残高の割合であり、企業債残高の規模を示す指標であるが、今後も減少する予定である。⑤料金回収率は、100%を上回っており、給水に係る費用が給水収益で補えていることがわかる。⑥給水原価は、有収水量1㎥あたりに対しどれだけ費用がかかっているかを表す指標だが、大きく増加している。⑦施設利用率は、ここ数年73~75%台で推移しており、大きな変動は見られない。⑧有収率については、前年度と比べ0.07%の上昇がみられるが、今後も更なる増加を目指すべく管路の更新や配水分析を進めていく。全体的に各指標については、おおむね良好である。しかし、給水収益が前年度より減少し、一人当たりの給水量も減少している。これは、一般家庭で使用する節水器具の普及や市販の飲料水(ペットボトル、レンタルボトルサーバ等)の購入が大きく影響をしていると考えられる。今後は費用対効果もそうだが、更新の費用も十分考慮した事業運営を行い、経営の健全性、効率性を目指す。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、数値が100%に近いほど、保有資産が法定耐用年数に近づいていることを示しており、将来の施設の更新等の必要性を推測することができるとされている。本市としても毎年若干ではあるが数値が増加している。今後は現状の把握、将来の分析を行い更新計画の平準化や見直しを図りながらしっかりと老朽施設の更新等を実施していく。②管路経年化率は、法定耐用年数を超えた管路延長の割合を表す指標で、管路の老朽化度合を示している。数値が高い場合は、法定耐用年数を経過した管路を多く保有しており、管路の更新等の必要性を推測するとこができるものだが、本市においては、類似団体とも比較してもわかるように、以前1%台である。③管路更新率も同様に1%台を推移している。今後も更新等の財源確保や経営に与える影響を十分踏まえながら、耐震化も考慮した、強靭で持続可能な施設づくりを進めていく。
全体総括
1.経営の健全性・効率性では、類似団体平均値と【】の全国平均値と比較した場合、本市の数値は比較的平均的な数値もしくは近い数値となっているが、前年度より減少した給水収益の影響から①の経常収支比率、③流動比率は大きく減少したものとなった。2.老朽化の状況については管路経年化、更新率ともに高い数値となっているが、以前低い数値となっている。全国各地ですでに始まっている本格的な人口減少期にはまだ突入していないが、一人当たりの給水量が減少している状況を鑑みると、給水収益の大幅な増収は見込めず、今後の更新費用についても財源確保や経営に与える影響を十分に考慮する必要がある。その為、財政収支計画の策定や定期的な見直しを図りながら、投資の平準化や事業量の中長期にわたる構想を十分に検討し、将来にわたり持続可能な水道事業運営を目指す。