経営の健全性・効率性について
①経常収支比率単年度収支の黒字(100%超)による事業財源の確保に加え、適正な水道料金水準となるよう100%に近づくことを目指している。類似団体平均値より低い値を達成し、概ね適正値を維持している。②累積欠損金比率5箇年間0%を達成しており、経営の健全化に寄与している。③流動比率都市の拡張に伴う施設整備に加え、老朽施設の更新に必要な内部留保に努めている。当該値は財務の安定性を示している。④企業債残高対給水収益比率類似団体平均値より低い値を達成し良好である。しかし施設の更新及び長寿命化施策の進展状況を勘案し、随時その適正度を検討する必要がある。⑤料金回収率①と目標は同じである。同様に概ね適正値を維持しているところである。⑥給水原価指標の平均値に対して本市は高価となっている。しかし、県内における類似団体中最安価を達成している。給水原価の大半を占める企業局からの浄水購入費用は類似団体と同一であることから、その他の費用(維持管理費・施設整備投資等)の低減化・効率化が図られている。⑦施設利用率全国平均値及び類似団体平均値に比して高い値を維持している事から、施設への投資経済性は効率的に推移している。⑧有収率浦添市水道ビジョンで掲げた94%超を5箇年平均値で達成しており、目標とした効率的な収益へつながっている。また、水源の有効活用及び漏水量の減少による省エネルギー効果へも貢献している。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率概ね類似団体平均値と同様の値となっていることから、施設の老朽度は相似団体と同様に進展している。経営の観点からは、有形固定資産の約半分が経年により資産価値を失っている。よって累積減価償却額に見合った資本の確保または所有資本に応じた施設の長寿命化の措置が必要である。②管路経年化率類似団体に比して1/10程度であるものの、一定の割合で増加している。今後は高度成長期に整備された多くの施設が順次法定耐用年数に達する事から、当該グラフの傾きが大きくなる事が予想される。当該率は既存施設の更新の必要を促すことから施設の老朽度を適切に判断し、更新または長寿命化の措置及び必要な財源の確保が求められる。③管路更新率類似団体に比して低い値となっている。法上の耐用年数を基にすると2.5%更新が必要となるが、現状の施設機能と年度毎の投資可能財源及び技術職員の配置を勘案して、投資の効率性及び施設機能の確保を両立する適性な更新目標を設定する必要がある。
全体総括
上記の1及び2の項目別分析より、本市の水道事業経営は概ね適正と判断する。しかし今後、浦添市の発展とともに整備されてきた水道施設が順次更新時期を迎えてくる。そのため、左記に示す指標を随時分析し、その値の意味する事象の把握に努め、施設の更新時期を見誤ることなく適切に対応措置を講じておかなければならない。施設老朽化に対する更新の措置については、管路を含めて水道施設全体が対象となることから、老朽化対策、超寿命化対策に加えて高機能化(耐震性・水質保持・防食性)の確保及び機能最適化(適正口径への更新、配水ブロックの再編等)を達成する施設計画を策定する必要がある。当該計画を確実に実施できるよう、年度毎の施設の更新量を平準化し、必要な財源・技術者を確保する更新計画を策定することが肝要である。国立社会保障・人口問題研究所によると、本市の人口は2030年の116,770人をピークに減少に転ずることが推計されており、今後は給水量の減少幅が増加し、給水収益が下降を辿ることが予想される。引き続き経営の健全性を保持するため、随時各事業計画を精査・適正化し、効率的・能率的な経営に努める必要がある。