経営の健全性・効率性について
経常収支比率及び料金回収率のいずれも類似団体及び全国の平均値に比べ見劣りする。特に料金回収率は、約94%と費用を賄えない料金水準である。これは23年度と26年度に財政計画に基づく料金改定(値下げ)を行ったことを受けたものであり、平成29年度には受水費の低減(用水供給料金の値下げ)により好転する予定である。また、累積欠損金は無く、流動比率は全国平均値並みに高く、支払能力に問題はない。企業債残高対給水収益比率についても類似団体や全国平均を大幅に下回っており、健全性は確保されている。また、有収率は類似団体より高いことから、漏水等は少ない。しかしながら給水原価は、減少傾向にあるものの、類似団体と比較すると依然高い状況である。このことは、受水費に含まれる用水供給事業側の資本費が類似団体平均より高いことが原因となっている。施設利用率は類似団体より低くなっているが、これは海苔加工用の大きな水需要に対応する能力を有しながらも、海苔の生産が冬季のみに限られていることと、給水区域内の人口密度が類似団体より低いことが影響している。地域性からの効率性の悪さをいかにカバーしていくかが課題である。(注)②累積欠損金比率のグラフでは、平成22年度から平成25年度に累積欠損金が生じたことになっている。これは、算出式に当年度未処理欠損金が用いられており、当企業団の当該年度期末に未処理欠損金を計上したためであるが、利益剰余金で補てんしており実際は累積欠損金は生じていない。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は、類似団体の数値を上回っており、老朽化が他事業体より進んでいる状況にある。管路経年化率も年々増加傾向にあるが、類似団体平均値を下回っており、差し迫った老朽化の状況には無いといえる。今後も他の公共工事(公共下水道、道路改良等)に合わせ合理的な管路更新を図っていくべきである。
全体総括
当企業団の末端給水事業は、近年単年度赤字が続いているが、累積欠損金は生じておらず、29年度以降黒字になる見込みである。管路更新は、今後、他の公共事業との調整等を経ない単独事業の割合が大きくなる計画で更新率は上がる見通しである。なお、管路更新には、多大な投資額が必要となることから、将来の人口減少を考慮すると、ダウンサイジング等による建設コスト縮減を図るなど、より効率的な事業経営を行う必要がある。