経営の健全性・効率性について
簡易水道事業では、飲料水供給施設6施設を含め38施設を特別会計により運営してきました。過疎化が進んだ小規模集落が点在する地域では、地形上施設整備に費用が嵩むうえ、運営基盤が脆弱で独立の収入で賄いきれない分などは、一般会計から繰入れられています。費用が収益によってどの程度まかなわれているかを示す収益的収支比率は、全国や類似団体の平均値よりも大きく下回っており、本町は広範な給水面積を抱える割に給水人口密度が低く、小規模の施設建設投資を数多く手掛けてきた結果と言えます。また、給水人口の減少、節水意識の浸透及び著しい高齢化等も影響し、今後においても水道料金収入の増加は見込めず若干の低下傾向にあります。施設利用率は、一日給水能力に対する一日平均給水量の割合を示すもので、比較的に高い値を示しており、ほぼ良好な状況といえます。平成19年度に国庫補助事業の適用範囲が見直され、地方公営企業法の適用を受ける上水道事業に統合することを前提に、国の補助事業を受けて水道未普及地域の解消や老朽施設の統合整備及び、耐震化等を重要事業の柱として施設整備・改良を図ってきました。これに伴って地方債償還金の支払額が大きく影響してきています。地方債残高は平成28年度、地方債償還金支払額は平成32年度をピークに緩やかに減少していきますが、今後さらなる経営努力と改善が必要となります。
老朽化の状況について
老朽化した施設の更新を計画的に行ってきましたが、構造物に付帯したポンプ設備や滅菌設備といった機械施設の大半は耐用年数を経過しており、老朽化が著しいため、故障が発生した時点で修繕や交換対応をしてきました。また、有収水率が低下していることから、配水管路の老朽化による漏水が疑われます。今後は、配水施設や配水管路の老朽化による漏水対策と機械設備の適正管理を行い施設全体の長寿命化を強化していく必要があります。
全体総括
本町は、町村合併時に水道普及率が低い旧町村があり、合併後はその解消や統合整備を重要事業の柱として施設整備を図ってきました。経営状況は今後一層厳しい状況が続くと予想されることから、健全経営を目指すうえで、サービスを低下させずに業務の効率化や外部委託業務の拡大を検討していきます。現在、平成30年度に水道経営の統合を目指し、公営企業会計方式により会計処理を行うために、資産台帳の整備、料金体系の検討、統合後の上水道事業会計への影響などを調査・分析を行っており、その結果をうけて具体的な経営改善の対策を検討していきます。