経営の健全性・効率性について
新居浜市の水道事業会計は、前回料金改定を行った平成9年以来25年連続で純利益を計上しており、経常収支比率については100%超となっているものの、令和3年度決算では営業収支において料金改定以来初の営業損失を計上している。これは、令和3年度は有収水量及び料金収入が前年度から減少したことや、施設や設備の維持に係る費用が増加したこと等が主な原因となっている。中長期的には、人口減少や節水型機器の普及による水需要の減少や減価償却費の増加による費用の増加によって経営状況が厳しくなっていくことが予想されることから、水道事業の経営基盤強化のため令和4年度10月より料金改定を行った。これに伴い、施設整備については、今後発生の恐れがある南海トラフ巨大地震に備えるための耐震対策や老朽化した施設の整備・更新を加速させていく必要があるが、企業債残高の対給水収益比率が400%近い状況であるなど、企業債残高が全国平均を大きく上回って推移していることから、企業債に依存しない整備を行っていく必要がある。今後も経営の効率化を図り、経営基盤の強化に努めながら持続可能な水道事業の経営に取り組んでいく。
老朽化の状況について
管路の経年化率は、大量に布設していた時期の管が耐用年数を超えてきていることにより、増加傾向にある。アセットマネジメントに基づき策定を行った経営戦略の投資財政計画により、老朽化対策や耐震対策による施設の更新等を進めていくとともに、更新後の性能(口径・能力等)の合理化・ダウンサイジングを検討し、計画的に整備を行っていく。
全体総括
新居浜市の水道事業は、黒字決算を維持しているが、令和3年度決算では営業収支で赤字を計上した。しかし、将来発生の恐れがある南海沖地震等の耐震対策や、老朽化した管路や水道施設の更新に多額の建設事業費が必要であること、また今後も人口減少が続き有収水量が減少することが予想されることから、令和4年10月から水道料金の改定を行った。今後も、安心・安全な水の安定供給を継続して行うため、水道事業の基盤強化に取り組んでいく。