経営の健全性・効率性について
経常収支比率は115.44%の、経費回収率は類似団体平均値よりも低い3.30%となっており、使用料で回収できない費用を一般会計からの繰入金で賄っている状況である。これは平成30年4月から公共下水道の供用を開始したため、事業の初年度にあたることや、管路の未整備地域への面整備が普及段階にあることから接続率が低く、使用料収入がほとんどなかったことが大きな原因である。それにより汚水処理原価においても汚水処理費用を使用料収入で賄えていないことや施設の規模に対する流入量が少ないことが施設利用率の低下を招いており、いずれも類似団体の平均値と大きく乖離している。今後は、汚水処理の費用削減の取り組みを進めるとともに、未整備地域への面整備を進めていき、接続率の向上に努める。なお、企業債の償還に要する資金の全部を一般会計において負担することとしているため、企業債残高対事業規模比率は0%となっている。
老朽化の状況について
公共下水道事業における汚水処理事業は供用開始1年目であるが、幹線等の管渠整備は平成11年から実施している。また、大内地区における雨水処理事業も昭和56年から実施していることから、有形固定資産減価償却率は21.73%と全国平均及び類似団体平均値を大きく下回ってはいるものの、すでに耐用年数の5分の1を経過している。将来的には施設の更新・改築等が生じることからその財源の確保についても考慮したうえで、企業経営をおこなっていく必要がある。
全体総括
公共下水道事業は、平成30年4月の三本松浄化センターの供用開始に併せて、特定環境保全公共下水道事業と農業集落排水処理事業の3事業を同一会計として地方公営企業法を適用し、下水道事業会計で運営しているところである。事業初年度ということもあり、水洗化率も低く使用料収入がほとんどない状況であるが、今後は処理区域内の管渠布設工事による面整備を計画的に進めるとともに、接続促進補助金制度等を活用していただきながら早期に接続率の向上や、それに伴う使用料収入の向上に努める。その上で今後は、本年度に策定中である経営戦略の中で将来にわたり安定した財源の確保と施設の更新等投資計画を基に計画的な企業経営を進める。