経営の健全性・効率性について
①経常収支比率(%)100%以上であり、健全な経営状態である。③流動比率(%)類似団体と比較すると下回っているが、200%以上であり、支払能力に問題はない。④企業債残高対給水収益比率(%)簡易水道統合完了(平成28年度)により、類似団体と比較して高くなっており、施設の老朽化による更新事業に伴う企業債が増加する傾向にある。これからは平成30年2月に改めて策定した「水道施設耐震化10ヵ年計画」を基に逓増傾向にある事業に対して、今後も国庫補助金や合併特例債等の財源を充てる事により急激な債務残高の上昇を抑えていく。また水需要が減少するなか、施設利用率を増加させるためにも水需要に対応した施設のダウンサイジング化の検討も必要となる。⑤料金回収率(%)100%を上回っているが、給水収益の減少も見込まれているため、経費削減に努めなければならない。しかしながら、現状では経営に必要な経費を水道料金で賄えている。⑥給水原価(円)類似団体と比較すると低いが、維持費の増加により、増加傾向にある。⑧有収率(%)定期的な巡視や漏水調査及び老朽管更新などを実施し有収率をより高い水準で保つようにしている。
老朽化の状況について
現在の老朽管路状況は、管路総延長が約910kmに対し、法定耐用年数以上を経過した管路延長は約290kmであり、全体の約32%を占めている。また、簡易水道統合完了(平成28年度)により管路総延長が増加したため、管路更新率が下がった。老朽管の更新は、法定耐用年数を超過し、重要度・緊急度を考慮した更新計画に基づいて効率的に実施しているが、依然として管路更新率は低い状況である。管路経年化率については、平成35年度に28%を、管路の更新率については、平成35年度に0.8%の目標を掲げ、管路の健全度を低下させないように、適切な更新を行っていく。また、目標耐用年数を見直しすることで長寿命化の検討を行い、合理的な更新計画を策定していく。
全体総括
岩国市の水道事業を取り巻く情勢は、高度成長期に建設された大量の施設の更新を「水道施設耐震化10ヵ年計画」に基づき着実に推し進める必要があり、その取組を実施するためには多額の財源を確保しなければならない。そして今後更に厳しくなる水質基準の遵守にかかわる費用や老朽化施設の更新・耐震化工事費用など、収益の増加に直接つながらない投資が必要となる。このことから現状を多角的に分析したうえで計画的に岩国市水道事業の将来を見据え、安定経営に努めていく。