経営の健全性・効率性について
毎事業年度黒字計上により経常収支比率は100%を超えるとともに、流動比率は300.00%となっていることから、本市の水道事業は、現時点においては経営の健全性を保っていると言える。しかし、今後は、老朽化施設の維持費や、施設更新に伴う減価償却費の増加が見込まれる一方で、主な事業収益である給水収益が減少していくと考えられることから、これらの指標は、徐々に下降していくと考えられる。企業債残高対給水収益比率については、企業債の新規発行額を償還額の範囲内に抑えてきた結果給水収益の三倍以下まで減少したが、今後給水収益の減少が見込まれるとともに、老朽施設の大規模更新時期を迎えることから、現状以上の抑制は難しい。このため、施設更新にあたっては、施設規模の適正化を図り事業費を圧縮することにより、引き続き企業債発行額の抑制に努める必要がある。給水原価については、施設の維持補修費用や減価償却費等の増加に伴い上昇傾向にある。今後も、施設更新に伴い減価償却費が増加する見込みであることから、給水原価の抑制は難しいと考えられる。有収率については、老朽管の更新や漏水調査等に努めた結果、92.06%を達成した。有収率は効率的な事業運営のための重要な指標であることから、今後も予防的対策に努め、90%台を維持したい。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率については、浄水場電気計装設備更新事業の終了に伴い類似団体平均値とほぼ同じ水準となった。しかし、今後の施設更新計画では、実耐用年数をベースに優先順位を付け更新する予定であることから、上昇傾向となる見込みである。管路経年化率については、老朽管の更新事業に年次的に取り組んできた結果、類似団体よりも下回っているが、上昇を抑えるためには継続的な更新が必要となる。管路更新率は、平成30年度の繰越工事の影響で0.96%となったが、目標である年1%は下回った。今後も、管種ごとの実耐用年数を定め、管路の状況、重要度等を勘案し計画的な更新事業に取り組むこととしている。
全体総括
現在、経常収支比率が高く単年度で黒字を計上しているが、施設利用率は低く、給水原価も類似団体と比べ高くなっているなど課題も多い。今後、水需要の減少に伴い水道料金収入の減少が見込まれる中、老朽施設の更新のための財源確保に努めるとともに、効果的な投資をするためにも中長期的な更新計画を策定し、水道サービスの維持に努める必要がある。また、施設更新に際し、近隣事業体との広域化も視野に入れ、施設規模の適正化を図る必要もある。