経営の健全性・効率性について
平成30年度は7月豪雨災害による水道施設の復旧費用の増加等により経営状況が悪化したが,令和元年度は回復している。【①経常収支比率,②累積欠損金比率】経常収支比率は100%を上回っており,累積欠損金もないことから,現時点では経営は堅調に推移している。【③流動比率】流動比率は497%であり,類似団体平均値(以下「平均値」という)271%を上回っており,他団体と比べ短期的な支払能力を十分確保している。【④企業債残高対給水収益比率】企業債残高対給水収益比率は企業債の発行抑制に努めた結果,近年減少傾向にあるとともに,平均値より低い水準を維持している。【⑤料金回収率】料金回収率は100%を上回っており,給水に係る費用が給水収益で賄われている。【⑥給水原価】給水原価は平均値に比べ高い水準にあるが,これは本水道用水供給事業の給水区域が広範囲であり,管路等の更新費用及び維持管理費用が高いためである。【⑦施設利用率】施設利用率は水需要が建設当初の計画水量まで伸びなかったことから,平均値を下回っている。また,今後も水需要の減少に伴い施設利用率の低下が見込まれる。【⑧有収率】有収率は100%を維持しており,施設の稼働状況が給水収益に反映されている。
老朽化の状況について
【①有形固定資産減価償却率】有形固定資産減価償却率は平均値と同様に上昇傾向にあり,かつ他団体に比べ高い水準にあることから,資産の老朽化の進行が顕著である。【②管路経年化率,③管路更新率】優先度の高い管路から順次耐震管に取り替え,管路更新を進めているが,昭和40~50年代に敷設した管路が多いことから,管路経年化率は平均値を上回っている。なお,管路更新率に各年度で変動があるのは,複数年度にわたる工事を行っていることが要因であり,令和元年度は,完成した工事がないため0%となっている。
全体総括
経営状況については,現時点で堅調に推移しているが,将来の収支見通しでは人口減少等に伴う給水収益の減少や施設の老朽化に伴う更新費用の増加などにより,経営状況は悪化する見込みである。また,水道施設については,老朽化が進行し,管路経年化率は他団体に比べ高い水準を継続する見通しである。このため,同様の課題を抱える市町水道事業との広域連携による施設規模の最適化など,効率的な運営を進めていく必要がある。今後,事業の経営基盤を強化し,施設更新を着実に実施していくため,県内水道事業の経営組織を一元化し,全体最適を図りながら更新投資等を加速的に実施していく必要があり,市町と連携して持続可能な水道事業の構築に向けて取組を進めていく。