経営の健全性・効率性について
平成26年1月1日に使用料の改定を行いましたが、施設維持管理費について、その大部分を一般会計からの繰入金で賄っている状況です。一方で、処理区域内人口の水洗化率は100%に近く、ほぼ全ての家庭が接続を終えている状況で、今後人口減少も予測されることから、使用料収入の増加は見込めない状況です。処理場の汚水処理能力は、処理区の立地上、海水浴客等による処理水量の突発的な増加に対応できるよう余裕を持たせた設計になっています。今後は1日あたりの最大処理水量のデータから余剰となる能力部分の削減、あるいはより高性能で低コストな処理方法への変更を検討・導入することにより、維持管理費を抑制する必要があります。汚水処理原価も全国平均を上回っており、特定環境保全公共下水道事業・農業集落排水事業の状況もあわせ、今後使用料の改定を検討する必要があります。
老朽化の状況について
処理場・管路ともに、まだ耐用年数を迎えていません。毎年設備機器の点検・整備を行うことで、深刻な故障が起こらぬよう管理運用を行っています。ただし、立地条件から来る塩害による劣化が認められる設備機器が存在するため、平成25年度に詳細な機能診断を行った上で保全計画を策定しました。この計画に基づき、修繕の必要な箇所の優先順位を決め、平成26年度に実施設計を行い、平成27年度・平成28年度の2ヶ年をかけ、施設の長寿命化に向けた工事を実施しています。
全体総括
平成28年度より、瀬戸内市では下水道事業全般に企業会計を導入し、今まで以上に経営状態が明確に把握できるようになります。漁業集落排水事業においては、処理区の立地条件から、隣接する農業集落排水処理区との統合は難しく、単独での事業を継続する必要があります。そのためには、定期的な点検・整備を怠ることなく設備機器の長寿命化に努めるとともに、処理場の処理能力のスリム化、より高性能で低コストな処理方法への変更を計画的に検討・実施し、維持管理費抑制を行う必要があります。