経営の健全性・効率性について
経常収支比率については、経常収益、経常費用ともに全体の数値は前年度から減少しているものの、前年度はストックマネジメント計画を策定したことで営業外費用が多かった分、今年度は経常比率が100%を超えている。使用料収入1,328千円に対し、処理場費、業務費が5,259千円であり、経費回収率等においても基本的なランニングコストを賄えない状況となっている。しかし、前述したように前年度のストックマネジメント計画策定に係る費用分が減少したことに伴い経費回収率は上昇している。昨今の物価上昇等により今後も厳しい経営を強いられると予測するが、使用料を2倍以上に増額するといった非現実的な対応ではなく、引き続き経営分析や経費削減による対応を行う。
老朽化の状況について
漁業集落排水事業については、東日本大震災により既存施設が全壊したことから、既存施設を全て除去した。防災集団移転地域において、平成26年度新設を行った施設であることから、有形固定資産減価償却率について、類似団体及び全国平均に比べ著しく低い数値となっている。引き続き適正管理を実施の上、計画的な更新を行うよう努める。
全体総括
供給地域が小規模で、使用料収入でランニングコストを賄えない構造的な問題を抱えている。一方で、本市は養殖漁業が盛んな自治体であり、河川、海域の水質保全は重要な問題となっている。このことから、本事業については、定期的な使用料の改定、経費削減の検討を行いながら、施設の適正管理により事業を継続していくこととし、経営の負担となる新たな設備投資は行わないことが重要となる。また、昨今の電力会社等における料金の値上げや物価高騰といった社会情勢を考慮しつつ健全な経営を行う必要がある。