経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は収益のうち、他会計補助金が減少したことにより、前年度と比較すると1.27ポイント減少し、100%を下回っている。経常収益は一般会計からの繰入金が多くを占めており、水洗化率の向上及び維持管理費の節減により事業の効率化が必要である。②使用料収入は、当市人口ビジョンによる人口減少予測に基づき、減少すると見込んでおり、維持管理費の削減等により黒字化を図ることで、累積欠損金を解消する必要がある。③流動比率は未払金の支払いに備えた流動資産の現金預金が増加しているため、0.58ポイント増加しているが、100%を大きく下回っている。一般会計からの繰入金による経営補助を受けて年間を通じた資金繰りを行っているため、定期的に適正な使用料見直しを検討するとともに、今後は処理場施設の統合までの更新投資に備えた財源確保が必要である。④企業債残高は減少傾向にあるが、処理場施設の統合までの更新投資に係る財源確保が必要である。⑤経費回収率は100%未満であり、経費の節減と更新投資等に係る財源確保に努めて、経営の健全化を図る必要がある。⑥汚水処理原価は類似団体と比較すると低いが、今後も維持管理費の節減により、一層の効率化を図る必要がある。⑦施設利用率は全国平均及び類似団体と比較すると高いが、今後の公共下水道事業への編入に併せて、より適切な施設規模を目指す。⑧水洗化率の変動はほぼ横ばいになっており、引き続き水洗化の啓発を行う。
老朽化の状況について
①資産全体に対する耐用年数を経過した資産の割合は上昇しているため、今後の公共下水道事業への編入に伴う処理場施設の統合を勘案し、計画的に更新を行う必要がある。②③下水道事業に着手して30年余りしか経過していないため、法定耐用年数を超えた管渠はないが、今後の老朽化に対応するため、事業編入する公共下水道事業において、当該事業の管渠更新計画も含めておく必要がある。
全体総括
下水道基盤整備が短期間で行われたことにより、その財源である企業債の償還が多大となっており、収益で賄いきれない支出を一般会計からの繰入金で補填している。今後は、将来の人口減少予測や節水意識の向上等による水需要の低下が懸念され、使用料収入の減少が見込まれるため、定期的に適正な使用料見直しの検討を進める。引き続き、当市下水道ビジョン及び経営戦略に掲げた施策目標「持続」と「リスクの抑制」の達成に向けて、下水処理場統合整備事業等の具体的施策に取り組み、維持管理費を節減するなど、事業の効率化を図ることにより、経営の健全化を目指す。