経営の健全性・効率性について
<健全性について>令和2年度決算は、新型コロナウイルス感染症の支援策で実施した水道料金の全額免除(官公庁除く)を4カ月実施したことで、①経常収支比率、⑤料金回収率が前年度より低くなっていますが、黒字経営は維持しています。人口急増に対応するために要した多くの債務を着実に削減した結果、④企業債残高対給水収益比率は類似団体と比べてもかなり良好な数値であり、過剰な企業債に頼らず事業運営が持続できていると言えます。⑥給水原価は県受水費の3カ月免除による費用削減により改善しましたが、令和2年度限りの影響であり、今後は長期前受金戻入(現金を伴わない収益科目)等により高数値に押し上げられ、引き続きコスト削減に取り組んでいく必要があります。<効率性について>⑦施設利用率は類似団体を上回っており、施設の規模は過剰でないと言えます。しかし、今後は給水人口の減少や節水意識の高まり、節水器具の増加等により配水量は減少傾向にあります。⑧有収率についても類似団体と比較して高数値を維持しており、配水が確実に収益につながっています。なお、有収率の低下は主に、水道本管等からの漏水による無効水量の増加によるもので、漏水調査の継続実施により漏水の早期発見に努めます。
老朽化の状況について
比較的新しい管路の多い本市では、②管路経年化率及び③管路更新率は類似団体と比べて低くなっており法定耐用年数を超えた管路は少ないと言えます。しかし、①有形固定資産減価償却率が50%を超えていることから、施設・設備も含めた資産全体の老朽化度合が進んでいます。また、施設・設備は、法定耐用年数を超過しているものが多いため、今後は耐震化も含めて、それらの資産の更新投資の増加が必要となります。
全体総括
新型コロナウイルス感染症による水道料金免除等を実施したため、前年度までより数値が低下した点もありますが、多くの指標では類似団体より良好であり、経営状況は安定した状態と言えます。しかし、人口減少等の影響から「配水量の低下=水道料金収入の低下」傾向にあり、今後の経営状況は一層厳しくなると考えられます。このような状況を踏まえて、H30年度に中長期的な経営基本計画である「三田市水道事業経営戦略」を策定し、施設・管路の更新費用の偏りを避けるための「費用抑制化・平準化」の方針である投資試算や収入確保策等を定めています。今後は、この経営戦略に沿った事業運営を推進し、健全経営に努めるとともに、将来にわたって安定的に事業を持続させるための経営基盤の強化に取り組んでいきます。