経営の健全性・効率性について
平成27年度時点において、①経常収支比率は類似団体と同程度の水準かつ100%超となっており、収益性に大きな問題はない。また③流動比率は600%超の水準であり、短期的な支払能力に問題はないといえる。④企業債残高対給水収益比率については、類似団体と比較して低い水準にあり、給水収益に比較して債務の金額が過大でないことを示している。しかし、これは、これまで施設への投資を控えてきた結果とも考えられるため、老朽化が若干進んでいることと考え合わせると将来的には多額の設備投資が必要となるため、懸念材料になり得る。また⑦施設利用率は年々低下しており、ダウンサイジング等によって効率性を高めていく必要がある。企業の効率性については、外部委託等によりコストダウンに成功した結果、平成25年度から⑥給水原価を減少させることに成功し、⑤料金回収率が100%超に回復している。なお、平成26年度の会計基準の見直しの影響により給水原価が減少し、料金回収率が増加したがその水準については平成27年度についても維持されている。その他⑧有収率についても、他団体と比較して高い水準であり、管路更新等により有収率減少を食い止めている状況にある。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は平成26年度に行った施設更新の影響により類似団体と比較して低くなっている。しかし、②管路経年化率は類似団体より4.39%高く、③管路更新率についても類似団体よりも低い値となっている。なお、平成24年度に更新率が急激に上昇しているのは、集計方法についてシステムを使用した方法に変更し、従来の集計方法で把握できていなかったものを平成24年度に一括計上したためである。
全体総括
現状経営的には類似団体と比較しても良好な数値となっているが、管路の老朽化が急激に進んでおり、管路の更新率を高めていく必要がある。このまま管路の老朽化が進むと漏水等で有収率が下がることが予想され、経常収支の悪化や給水原価の上昇を招きかねない。よって、経営面からも管路更新の必要性がある。しかし、管路更新または施設更新には多額の費用がかかるため、新たなアセットマネジメントや経営戦略を策定・検討した上で債務残高や料金水準の適切性、管路および施設更新時のダウンサイジングや廃止等も合わせて勘案し、計画的に管路および施設の更新を進めていく。