経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、新会計基準の導入により、長期前受金戻入を計上したことで平成26年度以降は100%を超えており、単年度の収支は黒字を維持している。③流動比率は、100%を超えていることから短期的な支払能力に問題はない。平成30年度に当該値が減少している原因は、送水ポンプ場築造工事や、浄水場の中央監視設備改修等の継続事業が完了し、例年より多くの現金支出が発生したためである。なお、当該比率が毎年変動している主な理由は、工期の関係から工事に係る未払金が変動するためである。⑤料金回収率は、昨年度においては類似団体平均値とほぼ同程度であったが、平成30年度においては、2.5%程度減少し103.4%となり、類似団体平均値より1.5%程度低くなった。これは、⑥の給水原価が増加したことに起因している。⑥給水原価は、類似団体平均値を下回る水準となっており、効率的な運営が行われているといえる。平成27年度以降に数値が増加傾向にあるのは、経常費用の増加によるものである。なお、給水原価及び料金回収率のいずれもが類似団体より低くなっているが、これは、平成22年10月に料金改定(平均改定率△17.7%)を行ったことにより、水道料金を比較的低く抑えている影響と考えられる。⑦施設利用率は過去5年継続して類似団体平均値を上回っており、施設を効率的に利用できているといえる。ただ、今後は少子高齢化による人口減少が想定されるため、その環境下においても適切な施設規模を維持できるよう下記、施設更新計画や水道事業ビジョンを立案している。⑧有収率は過去5年間継続して類似団体平均値を上回っており、95%超となっている。今後も高水準を継続できるよう施設管理を行う。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、類似団体平均値より低水準で推移している。平成29年度までは徐々に増加傾向にあったが、平成30年度は大きく減少している。これは、平成30年度に送水ポンプ場の築造や浄水場の中央監視設備の改修等、大規模な施設の更新を行ったことによるものである。②管路経年化率は、類似団体平均値より低水準であり、他市と比較すると管路の老朽化は進んでいないといえる。③管路更新率は、前年度より改善し、類似団体平均値と同程度となった。これは、新規拡張事業の完成や、水道施設更新計画に基づいて管路の更新を進めたことによるものである。
全体総括
平成22年度の料金改定以降、平成25年度まで純損失を計上していたが、平成26年度以降は新会計基準の導入により、純利益を計上している。また、企業債の新規発行を行っておらず、企業債残高の償還を進めながら流動比率も200%超の高い水準を維持しているため、現時点において経営の健全性・効率性に大きな問題はないと考えている。管路は、老朽管の更新と耐震化とを効率的、効果的に進めるため、平成30年3月に策定した水道施設更新計画に基づき、今後も計画的に老朽管の更新に取り組む。また、将来における人口減少に伴う料金収入の減少や、管路の更新時期を迎えることによる更新経費の増大などの経営課題に対応するため、平成30年4月に水道事業ビジョンの改定、平成31年3月に経営戦略の策定を行っており、これらに基づいて効率的な経営の継続を図る。