経営の健全性・効率性について
①22年度には97%と高水準であったが、23年度の急落後は類似団体とほぼ同様の数値である。24年度以降は類似団体同様の緩やかな回復傾向となっている。22年度が高くなっている要因は、開発団地基金を全額取り崩し収入化したことで、総収益が大きくなったためと考える。また、22年度までは4億円前後であった地方債元金償還金が、23年度からは5億円前後に増加することとなったため、比率は75%まで下がることになった。地方債償還金の増加に伴い繰入金も増加しているため、総収益も増加傾向に向うと予測する。今後は、安定した料金収入の確保と経費削減に努め、事業経営の健全化を図りたい。④類似団体が1300%程度で推移しているのに対し、本町は22年度の2000%以上から1800%台に年々微減している。統合簡易水道整備事業により大規模な建設投資を行ってきており、それに係る経費の大部分を地方債の借入に頼っていることから、地方債残高は依然、大きい額となっている。年間有収水量は人口の減少傾向に伴い年々減少傾向にあるため、比率は類似団体と比較して高いものとなっている。28年度で統合簡易水道整備事業が完了することから、建設投資に係る地方債借入額は抑制できるため、地方債残高は減少傾向となると考える。26年度の給水収益を基に推測すると、地方債償還金額がピークとなる平成32年頃からは類似団体の現在の状況と同等の規模まで比率が低下する見込みである。⑤類似団体は平均54%程度であるが、本町は24年度の料金統一以降、50%付近まで悪化している。料金改定を行ったが、人口の減少等に伴い有収水量が減少傾向となったため、給水単価は若干上昇したことに加え、22年度までは4億円前後であった地方債元金償還金が、23年度には4億9千万円となり、24年度からは5億円を超える状況となってきたことで、給水原価と供給単価の差がさらに大きくなり、比率も50%付近まで低下した。32年頃までは給水原価は上昇傾向となることが予測されるため、50%付近の数値を維持する状況が続くと考える。⑥類似団体が300円から330円に微増しているのに対し、本町は430円から510円に増加している。高額な設備投資を行ってきたことにより以前から地方債元金償還金の額は高く、4億円前後で推移していたが、23年度には4億9千万円、24年からは5億円を超える状況となり、今後、32年度頃までは5億円台で推移する状況となる。有収水量は人口減少等に伴い減少傾向が予測されることから、給水原価は高い水準を維持しながら増加傾向となることが予測される。⑦類似団体が60%台であるのに対し、本町は90%以上の稼働をしている。一日配水能力は約8千㎥であるが、一日平均配水量も約7千㎥前後で推移している状況である。昭和40年代後半から50年代に建設した処理能力の低い施設を現在も多数、活用し続けているため、利用率は毎年90%以上の高い値で推移することになっており、この状況は当面続くと考えられる。⑧平成24年度までは77%付近で類似団体と同程度であったが、25年度以降5%程度下がっている。年間総配水量は平均約270万㎥前後で推移をしているが、有収水量は人口の減少傾向に伴い年々減少の傾向にある。25年度は総配水量が270万㎥を超え、260万㎥台前半であった24年度と比較して10万㎥強の急増となったが、有収水量は前年と同水準であったため、有収率が低下した。26年度では、25年度と同水準の配水量ではあったが、有収水量は人口減少分程度の微減となった。今後も人口減少による有収水量の減少が予測されるとともに、老朽化による漏水の増加に伴い、配水量の増加が予測されるため、有収率もさらに低下すると考える。
老朽化の状況について
③24年度のみ類似団体と同程度の水準となっているが、他の年は0.20%前後の低い数値となっている。26年度の0.16%を基準にすると、管路の全部更新には、625年を要することになる。24年度に更新率が高くなっている要因は、統合簡易水道整備事業において、23年度繰越事業と、24年度現年事業で連絡管等、管路の延長工事が集中したため、一次的に高くなったものである。昭和40年代後半から50年代に建設した施設を現在も活用している状況であり、類似団体と比較しても更新率は低いものとなっている。
全体総括
統合簡易水道整備事業が完了した後、上水道事業として法適用を受け、企業会計に移行することで、経営状況が明確となることから、経営状況を分析し、効果的で効率的な建設投資により、施設の老朽化への対応や耐震化への対応を検討するとともに、安定した料金収入の確保に努め、事業経営の健全化を図りたい。平成25年には畑川ダムからの取水も開始し、安定した水の供給が可能となったことに加え、京都縦貫自動車道の全面開通に伴い、さらなる水需要の拡大が期待されるところである。今後は、町関係部局と連携し、積極的な企業誘致や定住施策の推進に努めたいところである。