経営の健全性・効率性について
経常収支比率は100%以上であるが、年々減少しており、類似団体平均値及び全国平均値より大幅に下回っている。流動比率は、類似団体平均値及び全国平均値を大きく下回っており、健全経営とは言い難い水準にある。流動資産が年々減少していることから、現金確保に向けた経営改善が必要である。企業債残高対給水収益比率は、今後も積極的な建設改良事業を進めなければならない状況を踏まえると、企業債残高が激減する見込みはないことから、給水収益の増加が必要である。料金回収率は、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用した基本料金無料化の影響で大きく落ち込んでいるが、実質的な料金回収率は91.5%である。健全経営を行うためには少なくとも100%以上を維持する必要があるが、有収水量の減少は給水収益の減少に直結する一方、経常費用の削減にはつながりにくいことから、有収率の低下に伴って料金回収率も下がっている状況である。広い市域へ給水し、地理的にも山間部など効率が悪い地域が多い本市の特性と考えられるが、有収率の低下に伴って給水原価も上昇している。合併前の市町村単位で整備された施設を使用し、過剰施設を保有する状況から施設利用率が低い水準にあるが、現在、施設の統廃合やダウンサイジング、配水ルートの見直しによる効率化等を進めており、時間は要するものの徐々に成果が数値に反映すると考えられる。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は対前年度比0.81P増加し、類似団体平均値を4.83P上回っており、法定耐用年数に近い資産を多く保有している状況である。今後、更に更新が必要な施設の増加が予測されるため、更新財源の確保が必要である。管路経年化率は対前年度比1.27P増加し、類似団体平均値を12.31P上回っており、法定耐用年数を超えた管路を多く保有している状況である。これは管路更新率が低いことが要因であり、有収率の低下が進行しているため、管路更新率を高めていく必要がある。
全体総括
前年度と比較して、各指標が悪化を示す結果となった。経常収支比率、流動比率、料金回収率等については、年々悪化傾向にあるが、令和4年4月1日から料金改定を実施したことから、令和4年度決算から改善する見込みである。これと合わせて引き続き経営改善を進め、経常経費の削減に努めていく必要がある。有収率や管路経年化率については、管路更新率を高めなければ改善は見込めない。今後、老朽管の割合がさらに増加し、有収率の低下や防災面においても水の安定供給が危惧される状況であるため、引き続き管路更新率の向上に努める必要がある。