経営の健全性・効率性について
経営の健全性については、①経常収支比率及び⑤料金回収率は類似団体の平均を下回っているものの、ともに100%を超えていることから、収益性は確保されている。②累積欠損金比率については、累積欠損金が発生しておらず、経営の健全性は確保されている。また、④企業債残高対給水収益比率については、企業債残高が内部留保資金の活用による新規企業債の発行抑制等により減少しているため、類似団体の平均を下回っている。③流動比率については、100%を大きく超えており、かつ、現金預金の比率が高いため、短期債務に対する支払能力も良好である。効率性については、⑦施設利用率が約49%と類似団体の平均より低くなっているが、需要が多い春季から夏季においては70%弱で推移する施設がある。施設の故障により設備の能力が低下しても30%の余裕があることは、「安全・安定」供給に必要な施設規模となっている。また、⑧有収率は、類似団体の平均より若干低い数値で推移しているが、十分に高い数値であり、施設の稼働が収益に繋がっていると考えられる。なお、⑥給水原価が類似団体の平均より高くなっているのは、他県に比べて用水供給地域が広範囲かつ水源から遠く、地形的にも起伏があるため施設整備費が割高となることや、施設利用率が低いためである。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率については、耐用年数を経過した電気・機械設備の更新工事を計画的に実施しており、また供用開始後10数年しか経過していない施設もあるため、類似団体の平均よりも低くなっているが、土木施設の老朽化は進んでおり、上昇傾向にある。②管路経年化率については、平成29年度から耐震化対策として、耐震管への布設替工事を計画的に実施しているため、類似団体の平均よりも低くなっており、20%程度で推移している。また、③管路更新率についても、上記耐震化対策により、平成30年度以降は類似団体の平均よりも高くなっている。
全体総括
上記動向をもとに総合的に判断すると、経常収支比率や料金回収率は低いものの、今後も概ね現行の状態が維持できると考えられ、経営に大きな影響を与える要因は認められないため、安定した経営が継続できると考えられる。引き続き、内部留保資金の活用による新規企業債の発行抑制に努める等、後年度における利息負担の軽減に取り組むとともに、電気機械設備改良の際には高効率のものに更新するなど、費用の削減に努めていく必要がある。あわせて、施設の長寿命化等によるライフサイクルコストの低減など更なる費用の削減を図りながら、アセットマネジメント等により長期の収支バランスを勘案した計画的な施設改良に取り組むことで、将来にわたり「安全・安定」供給に努める必要がある。