経営の健全性・効率性について
令和3年度は、給水収益が増収となりましたが、施設の撤去工事や管路の支障移転に伴う固定資産除却費の増加により、経常収支比率及び料金回収率が前年度を下回りました。しかし、健全経営の水準とされる100%を上回っているうえ、類似団体平均との各指標の比較においては、概ね優位な値を示しており、経営状況は良好な状態を維持しています。①経常収支比率は、固定資産除却費の増加による費用の増加により、前年度よりも値が減少しましたが、類似団体平均値を7.26ポイント上回り、安定的に推移しています。③流動比率は、建設改良工事が予算の繰越となったことによる未払金の減少により、前年度より改善がみられ、類似団体平均値を24.35ポイント上回る結果となりました。④企業債残高対給水収益比率は、企業債の償還が進み、類似団体平均値を大幅に下回りながら順調に推移しています。⑤料金回収率は、固定資産除却費の増加による費用の増加により、前年度よりも値が減少しましたが、類似団体平均値を上回り、安定的に推移しています。⑥給水原価は、固定資産除却費の増加による費用の増加により、前年度よりも値が上昇しています。⑦施設利用率は、引続き類似団体平均値よりも良好な値で推移しています。⑧有収率は、過去からの推移では年々低下する傾向が見られているため、民間事業者による新たな漏水調査の実施を予定しています。
老朽化の状況について
本市の水道施設及び管路整備は、水道事業の中長期的な経営の基本計画である「豊川市水道事業経営戦略」の整備計画に基づき計画的に整備を進めています。①有形固定資産減価償却率、②管路経年化率はともに上昇傾向となっており、老朽化した施設及び管路を積極的に更新する必要があると考えています。③管路更新率は、前年度より0.15ポイント下回る結果となりました。これは水道管塗料の不適正な認証取得事案による水道管工事の遅延に伴い、予算の繰越となった対象工事の更新管路の延長が含まれていないことや、近年、布設単価の高い基幹管路や鉄道軌道下などの重要管路の更新を重点的に行っていることによるものです。引き続き積極的な管路の更新事業を進めることで、管路更新率の改善を図っていきます。
全体総括
令和3年度は、製造業をはじめとした企業での使用水量の増加などの要因により前年度と比べ、配水量及び給水量が増加となっており、年間を通して水道水の安定供給を図りました。経営状況については、固定資産の除却費の増加により費用が増加しましたが、収支差引の結果、昨年に引き続き純利益を計上しており、健全な経営状態を維持しています。建設投資については、水道施設の計画的な更新を推進し、老朽化した機械装置等の取替工事や基幹管路の耐震化等を重点的に実施しました。なお、「豊川市水道事業経営戦略」は、策定から4年が経過し、概ね計画のとおり進捗が図られているところですが、令和4年度に計画の中間見直しを行っています。今後も、この経営戦略を着実に進めることで、経営基盤の強化を図るとともに、将来にわたり持続可能な事業の運営に努めていきます。