経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、100%を超えているものの、前年と比較すると給水収益の減少(約800万円)や浄水場の修繕費の増加(約1,300万円)等により1.13ポイントの悪化。今後も給水収益は減少が見込まれるため、収支のバランスを注視していく必要があります。③流動比率の向上は、年度末の支払のタイミングにより、流動負債である未払金が増加したものの、同様の理由から流動資産である現金預金も増加したことによるものです。流動資産の内、90.8%が現金預金であり、有事の際へ備えた一定程度の現金預金が保有できています。④企業債残高対給水収益比率は、新規の借入れをしていないことから、毎期減少しており、類似団体平均と比して良好な値を継続しています。⑤料金回収率、⑥給水原価は、どちらも類似団体平均より良好な数値で推移。給水に係る費用を抑えた上で、適切な料金回収ができていることを示しています。⑦施設利用率は、昨年度とほぼ同値で推移。限られた施設を効率的に活用できていると言えます。⑧有収率は、平成25年度から、毎年悪化をしており、平成27年度以降は、類似団体平均を下回る数値となっています。悪化は、漏水と水質管理のための定期放水によるものと考えられます。今後、ますます水道管が老朽化していく中で、水道管路更新計画に基づき、計画的な管更新を行い、有収率の向上に努める必要があります。
老朽化の状況について
管路総延長約750kmのうち高級鋳鉄管、塩ビ管などの老朽管が平成13年度末時点では約130kmありましたが、現在では約48kmになっています。石綿管は、平成28年度末に布設替えが完了しました。平成29年度は年度末時点で工事が完了せず次年度へ繰越となった布設替工事の影響で③管路更新率が低下しました。毎年40年を経過するダクタイル鋳鉄管(A形)が更新延長を上回る傾向にあるため、②管路経年化率は③管路更新率が高かった平成27年度を除き上昇しています。しかし、ダクタイル鋳鉄管の更新基準年数は一般的に40年以上に設定されていることから、実際の老朽化比率はこれほど上昇していないものと判断されます。①有形固定資産減価償却率は、平成14年度から管路更新事業量が増えたものの②管路経年化率の増加に伴って、年々増加傾向にあります。
全体総括
「1.経営の健全性・効率性」の各指標は、⑧有収率を除くと、類似団体平均よりも健全な値であり、概ね健全な経営ができています。ただし、人口減少や節水機器の普及による給水収益の減少は、今後も継続が見込まれ、より厳しくなる事業環境において、愛知県が連携を推進する近隣事業体との広域化(事業統合)も含め、徹底した経営の効率化が求められます。「2.老朽化の状況」は、③管路更新率が、類似団体平均を下回る結果となりましたが、悪化の主因は、年度末が工期であった管路更新工事(更新距離2.23km)が完了しなかったことです(繰越分を含むと類似団体平均程度の値)。③管路更新率の向上は、上記の⑧有収率の向上にも繋がるため、平成30年度に策定済である水道事業経営戦略でも経営目標に掲げており、今後、重点的に取り組んでいくものです。