経営の健全性・効率性について
水道事業の料金体系は責任水量制としているため、健全で安定的な経営を行うことができ、創設当初の企業債の償還も順調に進めてきた。しかし、昭和51年11月に供給開始した浄水施設は老朽化が進んでいる。このため、平成26年度から4カ年で浄水施設の更新を実施し、平成29年度末に完成した。この更新事業については多額の費用がかかり、企業債を借入れその費用に充てたことで、企業債残高が増加している。完成した施設の減価償却費が当年度から開始されたため給水原価が上がり、経常収支比率及び料金回収率が低下した。流動比率については、更新事業の未払金が多かった前年度に対し、大規模工事がなかった当年度では改善された。施設利用率については類似団体より低い水準となっており、今後は水需要の低下も想定されるため、施設規模について今後の検討課題となる。
老朽化の状況について
固定資産の老朽化は、類似団体と同様に進んでおり、その更新・修繕費用の増加が見込まれる。浄水施設については、全系列の半分を更新することで、老朽化に対応した。管路については、地震の際に大きな被害が想定される水管橋(川を渡る管路)の架け替えや修繕を実施してきたが、それ以外の部分の更新については着手できていない。それらのことから、管路更新率が低くなっており、管路全体が経年化している。耐震化も含めた管路更新計画については、平成30年度末に策定した新水道ビジョンに基づき検討を開始している。
全体総括
浄水施設更新事業が完成するにあたり、一時的な経営悪化(単年度赤字)を見込んでいたが、経費節減に努めたことなどから当年度の赤字は回避することが出来た。しかし、その後も老朽管路の更新が控えているため、引き続き効率的かつ計画的な投資を実施していく必要がある。平成30年度末に策定した新水道ビジョンにおいて将来目標を定め、財政計画も示している。そこでは、管路更新を進めるにあたり、将来財源が不足する見込みとなっている。今後も健全で安定したサービスを続けるため、引き続き経営改善を図っていく必要がある。