経営の健全性・効率性について
平成30年4月に地方公営企業法を適用し、地方公営企業会計に移行したため、前年度との比較ができませんが、経常収支比率、経費回収率については100%を超えており、これについては、新規宿泊施設のオープンによる下水道使用料の増収によるものであると考えられます。一方で、地理的制約のため、処理場が2つあること、ポンプ場の数が多いことなどから、汚水処理原価については高い水準となっております。供用開始から30年以上が経過し、施設の老朽化に伴う維持管理経費や更新経費の増が見込まれるため、今後は一層の経費削減を図っていく必要があります。企業債残高対事業規模比率については、類似団体と同等の水準となっており、今後も同様の水準で推移することが見込まれます。施設利用率は、地方公営企業会計移行前から50%前後を推移しており、これは、当町が観光を基幹産業としているため、将来的な観光客の増加にも対応できるだけの処理能力を施設に確保していることによります。同様に、水洗化率は、住民人口で算出されているため、当町に多く設置されているホテル、保養所、別荘などの数値が反映されておらず、類似団体の平均よりもやや低い水準となっています。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率については、地方公営企業会計移行直後のため低い水準となっております。管渠老朽化率についても類似団体よりも低い水準となっておりますが、当町の下水道管路施設は100kmに達しているため、下水道の普及促進とともに、これまで整備してきた管路施設の老朽化対策を推進していく必要があります。今後の投資にあたっては、ストックマネジメント計画のリスク評価による対策の優先順位に基づき、下水道施設全体の修繕・改築を中長期的な計画で効率的に行うことで、施設の事故発生や機能停止を未然に防止し、修繕・改築コストの低減を図っていきます。
全体総括
当町は観光立町であるため、観光客の動向により、使用料収入が大きく左右されます。さらに、今後は施設の老朽化対策や流域下水道への加入に係る建設費などのために多額の資金が必要となります。このような状況の中で、地方公営企業会計移行により、特別会計よりも細かな財務諸表による経営分析が可能となったため、現在の経営状況や資産の現状を的確に把握し、安定した経営を行っていくために適切な管理を行っていきます。また、このような経営分析の積み重ねにより、長期的な財政推計を立て、使用料の改定についても検討していきます。