経営の健全性・効率性について
(経営の健全性)経常収支比率は100%を上回っており、累積欠損金も平成27年度に解消し、流動比率についても平均値を上回っているため、経営の健全性は保たれている。(債務残高)企業債残高対給水収益比率は平均値より低いが、企業債以外の債務である割賦負担金残高を含んで算出した場合、平均値は下回っているが、172.67%となる。企業債や割賦負担金の償還の進展により負債は圧縮されつつあるため、引き続き企業債の新規発行を抑えつつ、割賦負担金の繰上償還等の対応策を実施し、支払利息の低減に努める。(料金水準)料金回収率は、平均値を下回るものの、100%を上回っている状況であり、効率的な経営が行われている。(費用・施設等の効率性)水源を利根川等の遠方に求めているため、導水管等の大規模な資産を保有せざるを得ず、減価償却費が高額であること、また、通水開始から22年が経過したことによる修繕費の増加、房総導水路施設の維持管理に係る負担金も高額であることなどから、給水原価が非常に割高になっている。施設利用率は、大多喜ダムの建設中止により一日最大給水量を減量したこともあり、類似団体の平均値より高く、また、有収率も99%以上を継続しており、効率的に水道用水を供給している。
老朽化の状況について
給水開始(平成8年度)から22年であり、法定耐用年数を経過した管路はない。なお、有形固定資産減価償却率は、平成26年度の会計基準の見直しに伴い増加しているが、平均値をやや下回っている。施設、設備については、延命化を考慮した適切な維持管理を進め、計画的かつ着実な更新に取り組んでいく。
全体総括
「南房総広域水道企業団中長期経営プラン2017-水道事業ビジョン・経営戦略-」(計画期間:平成29年度~平成38年度)において、経営の健全化及び効率化を主要施策として掲げ、取り組んでいる。経営の健全性は保たれているが、給水原価は平均に対し約3倍と高く、創設以来の課題である。今後、近隣事業体との統合・広域化も含め、更なる事業の効率化を図る必要がある。債務残高は、将来の更新投資に伴う資金需要を考慮し、返済負担が大きくならないよう適切な規模で企業債を活用するとともに、現有する内部留保資金の活用により、企業債の充当率を可能な限り低く抑え、支払利息の低減に努めることにより、財務の健全性を向上させる。