経営の健全性・効率性について
①経常収支比率:料金改定を行った平成29年度以降100%を超えており、収益性は確保されている。②累積欠損金比率:上記の年度に料金改定を行って以降、累積欠損金は発生していない。③流動比率:前年度に比べ1.44ポイント減少した。これは、当該指標の分母である流動負債が増加したためである。具体的には、未払金や預り金が増加した。ただし、比率は100%を超えているため、短期的な債務に対する支払い能力は備えている。④企業債残高対給水収益比率:前年度に比べ46.11ポイント減少した。これは、当該指標の分母である給水収益が増加した(令和2年度に実施した水道基本料金免除の終了により例年並みの数値となった)ことと、分子である企業債残高が減少したことが主な要因である。なお、類似団体平均及び全国平均を上回っている要因としては、老朽管更新及び施設整備の財源に企業債を活用しているためである。⑤料金回収率:前年度に比べ8.85ポイント増加した。これは、給水収益が増加した(令和2年度に実施した水道基本料金免除の終了により例年並みの数値となった)ためである。⑥給水原価:前年度に比べ0.41円増加した。これは、当該指標の分母である年間有収水量が減少したためである。⑦施設利用率:類似団体平均及び全国平均を上回っており、事業規模に見合った運用ができている。⑧有収率:前年度に比べ0.1ポイント増加した。これは、老朽管更新により、漏水量が減少したことが要因である。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率:前年度に比べ1.12ポイント増加した。年々比率は増加しているものの、類似団体平均及び全国平均は下回っている。これは、老朽管や経年施設の更新を計画的に行っているためである。②管路経年化率:前年度に比べ0.06ポイント増加した。年々比率は増加しているものの、類似団体平均及び全国平均よりは下回っている。これは、老朽管や施設の更新を計画的に行っているためである。③管路更新率:前年度に比べ0.62ポイント減少した。これは、石綿セメント管の更新が令和2年度で終了したためである。令和3年度以降は、重要給水施設配水管の更新を主に行っていく。
全体総括
本市の水道事業は、令和3年度決算において約1億8,400万円の純利益を計上した。前年度においては、新型コロナウイルス感染症に関する生活支援策として水道基本料金の免除を実施したため、給水収益、供給単価、料金回収率が減少した。令和3年度は、当該支援等の実施が終了したため、例年並みの数値となった。しかし、料金回収率は令和元年度以降100%を下回っている。今後も給水人口の減少や節水機器の普及に伴い有収水量が減少する見込みであるため、給水収益についても減少する見込みである。したがって、経費の削減等により経営改善を図っていく必要がある。なお、令和4年3月に経営戦略の改定を行った。令和4年度からは、改定後の経営戦略に基づき事業を執行していく。また、投資・財政計画について毎年度進捗管理を行い、計画と実績の乖離が著しい場合には、その原因を分析して対策を講じ、経営健全化及び経営基盤の強化を図っていくこととする。