経営の健全性・効率性について
本市の給水人口は減少傾向で推移しています。また、節水意識の高まりや節水機器の普及などに伴う水道使用量の落ち込みにより、水道料金収入の減少が続いています。①経常収支比率は、類似団体平均値を下回っていますが、一般的な数値基準の100%を上回っています。②累積欠損比率では、直近5年間で欠損金を計上していません。③流動比率は、類似団体平均値を下回っていますが、一般的な数値基準の100%を上回っています。④企業債残高対給水収益比率は、企業債の発行を抑制してきた時期があり、類似団体平均値を下回っています。この数値が低いほど資金調達の際に企業債への依存度が低く、自己資金調達の度合いが高いことを意味します。⑤料金回収率は、類似団体平均値を下回っていますが、健全度の数値基準100%を上回っています。⑥給水原価は、類似団体平均値と比べて低く、有収水量の減少率よりも経常費用等の方が大きく減少したため,給水原価は更に低減しました。⑦施設利用率は、類似団体平均値と比べて低く、60%を下回る水準であり、給水能力に余裕が生じている状況となっています。⑧有収率は、年間総配水量に占める水道料金収入などの収益に結びつく水量の割合ですが、類似団体平均値を上回っています。
老朽化の状況について
鴻巣市の水道は、昭和37年(1962年)12月に給水が開始されて以来、発展を続ける市勢の水需要に対処するため、5次にわたる拡張工事を行ってきました。その結果、市内の管路延長は約557㎞で、順次更新時期を迎えます。①有形固定資産減価償却率及び②管路経年化率は、高いほど施設の老朽化が進んでいることを示す指標であり、①有形固定資産減価償却率は、類似団体平均値を上回っており、他団体と比べて法定耐用年数に近い資産が多いことが読み取れます。②管路経年化率は、類似団体平均値を下回っており、他団体と比べて法定耐用年数を経過した管路が少ないことが読み取れます。③管路更新率は管路の更新ペースを示す指標ですが、類似団体平均値を上回っておりますが、管路を更新するのに100年かかる更新ペースであることが読み取れます。
全体総括
経営の健全性及び効率性に係る指標を分析すると、当市の経営状況はおおむね健全な状態であるといえます。しかし、事業を取り巻く環境としては、水需要の減少に伴い水道料金収入が減少する中で、高度経済成長期に建設した水道施設が更新時期を迎え多額の資金が必要であり、厳しい経営状況にあります。一方、老朽化の状況においては、管路経年化率が類似団体平均値に比べ、非常に低いですが、今後耐用年数に達し更新時期を迎える管路が増加すること等が考えられるため、事業費の平準化を図り、計画的かつ効率的な更新に取り組む必要があります。このため、より一層の経営の効率化により必要な財源を確保し、需要に見合った施設規模の適正化を図りながら老朽化した水道施設を着実に更新し、事業を継続していくことが課題であります。