地域において担っている役割
当院は、急性期医療を中心に、国が体制整備を進める、がん、脳卒中、急性心筋梗塞等において高度な医療を提供しているほか、救急医療、周産期医療、小児医療等、地域住民から求められる医療サービスの提供を行っています。また、危機管理への対応として災害時医療、感染症医療、結核医療等で、地域医療において重要な役割を果たしています。
経営の健全性・効率性について
新型コロナウイルスの影響により、一部の病棟閉鎖や手術件数の制限などによる影響が生じるなど厳しい病院運営となりましたが、当年度損益は黒字となりました。救命救急センターが初めて通年稼働したこと等により、令和2年度に対し、延べ患者数及び1人当たり診療単価が共に増加したため、医業収益が前年度を上回りました。また、新型コロナウイルス感染症関連補助金について約42億円計上したことなどから、収益全体としても増収となりました。今後も収益改善の取組を強化し、経営の安定化を図ってまいります。
老朽化の状況について
令和元年12月の新病院開院に伴い、減価償却率が大幅に減少しました。病院建替と器械備品の更新により老朽化の状況が一新されたことから、今後収益の増加が見込めるものの、多額の設備投資による償却負担の急激な増加が経営課題となります。新建物設備の稼働効率と医療機器の採算性を厳しく検証しながら、機器を長期的な視野で計画的に更新を進め、健全で効率的な経営に繋げてまいります。
全体総括
市内では高齢化に伴い医療需要が急増することが見込まれ、市立病院の医療機能の必要性はますます高まるものと考えられます。感染症や結核医療等の維持や周産期医療の強化、急性期病院としての医療機能の充実を行い、地域の基幹病院として中核的な役割を引き続き果たしてまいります。経営の健全性・効率性としましては、令和元年12月の新病院開院、令和2年12月の救命救急センターの開設により機能が強化されました。今後は稼働率を上昇させることにより入院診療単価や入院患者数の増加を図ってまいります。また、経営コンサルタントによる材料費と収益との関係性分析やSPDによる適切な在庫管理により、材料費の縮減を図ることで、健全な経営基盤の確立を図ってまいります。