経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は前年度に比べ低い水準にある。主な要因は、新型コロナウイルス感染症対策の行動制限が緩和されたことによる一般家庭の水需要減少や、前年度に若柴配水場更新工事が竣工したことで減価償却費が大幅に増加したことが挙げられる。ただし、令和4年4月に水道料金を改定したことで財政基盤の強化が見込まれるため、今後は数値が改善される見通しである。④企業債残高対給水収益比率は前年度に比べ15.12ポイント上昇した。近年、管路更新工事の財源として多額の借入を繰り返していることもあり、年々悪化しているが、類似団体平均と比べると比較的良好な状況にある。しかし、今後も更新工事の財源として企業債の活用は不可欠であることから、将来世代への過度な負担とならないよう、適正な水準を見極めながら活用していく必要がある。⑥給水原価は類似団体平均より高い水準で推移しているが、その要因としては、自己水源を持たない100%受水団体であることや、人口密度が低く配水管効率が悪い事等が考えられる。当企業団では費用構成上改善が難しく、当面は高い水準で推移せざるを得ない状況が続くと予想される。⑤料金回収率は100%を下回り、水道供給に必要な経費を料金収入で賄えない状況にある。主な要因は、経常費用の増加及び有収水量の減少により、⑥給水原価が大幅増となったことが挙げられる。ただし、今後は①経常収支比率と同様に数値が改善される見通しである。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は前年度に比べ1.10ポイント上昇した。主な要因は、若柴配水場更新事業が完了し、供用開始したことにより、償却資産として多額の減価償却費が発生したことが挙げられる。③管路更新率は前年度に比べ大きく低下し、全国平均、類似団体平均ともに下回った。主な要因は、年度内に竣工しなかった配水管布設替工事が多かったこと等によるものであり、次年度は改善が見込まれる。今後も人員体制の整備や職員育成を進め、目標として設定している更新率1.0%以上のペースで更新を進めていく必要がある。②管路経年化率は全国平均、類似団体平均ともに上回っており、③管路更新率を上回るペースで老朽化が進んでいる。法定耐用年数を超過した管路が年々増加していく中、重要管路や劣化が進んでいる管路を優先的に更新していくことで、各種災害や事故等における被害を最小限に抑える必要がある。
全体総括
経営の健全性・効率性についての指標を総括すると、料金回収率が100%を割るなど類似団体より低い水準のものもあるが、健全経営は維持できており、短期的な債務に対する支払能力にも問題はない。また、企業債残高においても増加が続いているが、類似団体に比べれば少ない状況にある。一方で、老朽化の状況に関する指標からは、引き続き、老朽管路の更新に取り組まなければならないことがわかる。当年度は管路更新率が低下しているが、多くの配水管布設替工事が繰越となった影響であり、次年度は大きく上昇する見込みである。法定耐用年数を超過した管路や施設等が年々増えている中、引き続き企業債や国庫補助事業等を活用するとともに、水道料金改定で確保した財源で経営の健全化を図りつつ、計画的に更新工事を進めていく必要がある。