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人口の減少や全国平均を上回る高齢化率(平成29年度末42.7%)に加え,町民一人当たりの平均所得が低いこと等により,財政基盤が弱く,類似団体と比較して0.14ポイント下回っている。これは,納税義務者数の減少,少子高齢化対策に係る事業費の増加等として,基準財政収入額及び基準財政需要額へ影響を及ぼしている。このことから,数値の大幅な改善を見込むことは難しいものの,税の徴収率向上,歳出の徹底した見直しを行うことにより安定した財政基盤の確立に努めていく。
前年度と比較し,歳入面では,地方税及び地方交付税の減額により,分母となる経常一般財源は1.6%減少したことが影響し,歳出面では,物件費が5.3%の減,維持補修費が17.5%減となり,分子となる経常経費充当一般財源は0.2%減少したものの,経常収支比率は1.0ポイント上昇となった。類似団体と比較すると1.4ポイント下回っているが,今後も職員数の適正管理による人件費の削減,基金を活用した起債発行額の抑制による公債費の削減に努めるとともに,事務事業の点検・見直しを行い,経常収支比率の改善を図っていく。
人件費,維持補修費は減少したものの,人口一人当たりの金額は,前年度と比較して9,666円増加しており,依然として類似団体平均を上回っている状況である。これは主に人件費が要因で,町単独でごみ・し尿処理業務,消防業務を行っていることから職員数が多くなっているためである。これらの業務については,業務内容の見直し等を行い経費の抑制に向けて取り組みを進めていく。
勧奨退職や新規採用の抑制等により職員数の削減に努めているものの,類似団体と比較して2.7ポイント上回っている。※数値に関しては前年度数値を引用している。引き続き職員定数及び給与の適正化に努め,改善を図っていく。
職員数は一般職員が219人と前年度同数だが,人口減少や行政区域が広大であること,ごみ・し尿処理業務,消防業務等を町単独で行っていること等から人口千人当たりの職員数は0.28人増加し,類似団体平均を2.9人上回っている。今後も住民サービスの確保に留意しながら,業務の民間委託をはじめとする事務事業の見直しを行うなどにより,職員数の適正管理に努め,定員適正化計画に基づき人員削減に取り組んでいく。
前年度と比較して,元利償還金増による分子額が1.6%増加し,普通交付税額や標準税収入額等の減による分母額が2.1%減少したことにより,0.5ポイント改善し,類似団体と比較しても5.6ポイント下回っている。今後,廃棄物処理施設整備事業や学校耐震化事業等の大型普通建設事業の元金償還開始に伴い,数値の上昇が予想される。引き続き各種事業計画の整理・見直しを図るなど,起債の発行を抑制し,数値の改善に努めていく。
前年度と比較し,職員数や勤続年数の減による退職手当負担見込額の減少(73百万円),また大子町庁舎建設基金等充当可能基金の増加(175百万円)や基準財政需要額算入見込額が増加(44百万円)したことにより,5.0ポイント改善された。今後も地方債発行の抑制や職員数の適正管理に努めるとともに,充当可能基金への計画的な積立てを行うなど財政の健全化を図っていく。
類似団体と比較して6.8ポイント高くなっているのは,ごみ・し尿処理業務,消防業務を町単独で行っているため,職員数が多いことが主な要因である。前年度と比較して0.8ポイント低下しているが,引き続き定数管理・給与の適正化を推進し,また,民間委託の導入を含めた人件費の削減に努めていく。
物件費に計上していたふるさと大子応援寄附金返礼品,予防接種委託料及び妊産婦健康診査委託料等の性質見直しにより経常経費充当一般財源が減少し,前年度と比較して0.6ポイント改善したものの,類似団体と比較すると0.4ポイント上回っている。業務の合理化が進む中で,システムの委託料や使用料が増加傾向にあるため,契約内容を精査し,抑制に努めていく。
歳入面では,地方税及び地方交付税の減額により分母となる経常一般財源が減,分子となる経常経費充当一般財源は予防接種委託料及び妊産婦健康診査委託料等の性質見直しにより増となったことで,前年度と比較して2.1ポイント上昇となった。類似団体と比較すると4.2ポイント上回っているが,高齢化率が42.7%(平成29年度末現在)である本町においては,今後も老人福祉費等に係る扶助費の増加が見込まれるため,事業の内容を精査し適正な執行に努めていく。
前年度と比較して0.7ポイント低下し,類似団体と比較しても0.6ポイント下回っている。これは,国民健康保険事業特別会計の財源対策繰入分等の繰出金等が減少したためである。繰出金については,今後も各会計における財政の健全化を図り,抑制に努めていく。
性質見直しによりふるさと大子応援寄附金返礼品等が増額となり前年度と比較して0.5ポイント上昇したが,類似団体と比較して9.6ポイント下回っている。これは,ごみ・し尿処理業務,消防業務等を一部事務組合等へ委託せず,町単独で行っているためである。今後も各種団体等への補助金の見直し等により抑制に努めていく。
平成25年度起債の元金償還開始により公債費が前年度と比べ増加し,分母となる経常一般財源額も減少したため,前年度と比較して0.5ポイント上昇したものの,類似団体平均を2.6ポイント下回った。これまでの起債抑制効果から公債費は減少傾向にあるが,今後,廃棄物処理施設整備事業等大型普通建設事業に係る起債の元金償還開始等により増加が見込まれるため,後年度の償還見通しを立てながら起債の発行を抑制していく。
前年度と比較して0.5ポイント上昇し,類似団体平均を1.2ポイント上回った。比率の高い人件費に加え,物件費や繰出金では減少したものの,経常一般財源の減少により,わずかに上昇するにとどまった。今後も類似団体平均を上回っている人件費を重点に,増加傾向にある扶助費等についても必要なサービスを確保しつつ抑制に努め,経常収支比率の改善を図っていく。
(増減理由)基金総額の約4割を占める財政調整基金が取崩しにより減少したが,その他特定目的金のうち大子町庁舎建設基金への積立額が増加し,全体で125百万円の増加となった。(今後の方針)財政調整基金及び減債基金については,今後の大型事業等に備え現状維持とする。基金全体の増加要因となっている大子町庁舎建設基金については,平成31年度から事業充当により減少する予定。
(増減理由)基金残高は前年度から149百万円減少となった。主な要因としては子育て支援住宅建設事業について,住宅債の交付税措置がないため財政調整基金を取崩し財源としたことによる。(今後の方針)標準財政規模の10%程度が適正とされている基金残高について,本町は平成29年度時点で26%となっているが,平成31年度着工予定の庁舎建設事業や,その後に控えている衛生センター整備事業等の大型事業に充当していく予定であるため,中長期的には減少していく見込み。
(増減理由)基金残高は前年度から6百万円減少となったが,要因としては各種交付金等の歳入減を補うため繰入を行ったことによる。(今後の方針)平成31年度から着工する庁舎建設事業やその後の大型事業等に備え現状維持とし,適正な積立額を確保する。
(基金の使途)大子町庁舎建設基金:大子町庁舎の建設又は改築に要する資金とするもの。大子町武藤文化福祉基金:町の文化の振興及び福祉の向上に資するもの(関連施設等の整備を含む)。(増減理由)大子町庁舎建設基金:平成31年度着工予定の庁舎建設の財源として積み立てを行ったことにより増加となった。大子町武藤文化福祉基金:文化福祉会館公演事業に8百万円,児童福祉費の単独扶助事業に4百万円充当したため減少となった。(今後の方針)大子町庁舎建設基金:平成32年度までに9億円積み立てる予定。大子町武藤文化福祉基金:個人の寄附金を財源とした基金のため,費消次第廃止予定。また,これに代わる基金としてふるさと応援寄附金の一部を財源とする「大子町文化振興基金」を平成30年度に設置する。大子町ふるさと創生基金:平成30年度に給食センター空調機更新事業,駐車場用地取得費等に全額充当し,基金を廃止する。
有形固定資産減価焼却率は類似団体より低い水準にあるが,資産区分別に見るとインフラ資産49.5%,事業用資産63.7%で事業用資産の老朽化が比較的進んでいる。今後,公共施設等については個別施設計画を策定し,当該計画に基づいた施設の維持管理を適切に進めていく。
将来負担比率,有形固定資産減価償却率ともに類似団体内平均を下回っているものの,有形固定資産減価償却率について施設類型別にみた場合,幼稚園・保育所及び庁舎は90%を超え,老朽化が著しい。今後,公共施設等総合管理計画に基づき老朽化対策に取り組んでいくが,施設整備に係る地方債等も発生することから,将来負担比率も上昇していくことが想定される。
将来負担比率,実質公債費比率ともに減少しており,類似団体と比較して低い水準にあるが,今後,廃棄物処理施設整備事業や学校耐震化事業等の大型普通建設事業の元金償還開始に伴い,特に実質公債費比率の上昇が予想される。引き続き各種事業計画の整理・見直しを図るとともに,充当可能基金への計画的な積立を行うなど,公債費の適正化に努めていく。
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