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調布市は,昭和58年度以降40年連続不交付団体であり,財政力指数は前年度から増加し,さらに類似団体と比較しても高いものとなっている。令和4年度は,基準財政需要額が消防費などの減により前年度から減額となったが,基準財政収入額は,個人・法人市民税の増などにより7%以上の増額となった。自主財源の確保のため,市民税・国民健康保険の収納一元化など,市民の利便性向上に向けたきめ細やかな対応と積極的な収納対策を講じて,市税収納率の向上を図っていく。
分母側である歳入の増よりも,分子側である歳出の増が上回ったことから,前年度と比較して0.9ポイントの上昇となった。令和4年度は,歳入の根幹である市税収入については,個人市民税や固定資産税の増などにより増額となり,各種譲与税・交付金においては,地方消費税交付金や法人事業税交付金の増などにより増額となっている。歳出では,障害者福祉サービス費など社会保障関係経費の増に加え,人件費における退職手当の増などにより,分子となる経常経費充当一般財源が増となった。
前年度より3,308円増加したものの,全国平均及び東京都平均を下回る結果となった。増加の要因としては,人件費においては一般職退職手当の増,物件費においては非課税世帯等臨時特別給付金給付事業費の増などが挙げられる。引き続き,委託等の内容の再検証や投下コストの最適化など,経費縮減に向けた取組みを行っていく。
令和4年度は前年度から0.4ポイント減少したものの,全国市平均及び全国町村平均を上回る結果となった。今後も類似団体平均等を注視しながら,引き続き,他団体比較等による給与構造改革を推進していく。
前年度と同数であり,前年度同様全国平均,類似団体平均及び東京都平均を下回る水準となっている。「行革プラン2023」(令和5年度から令和8年度)に基づき,引き続き,組織人員の適正化などを推進していく。
実質公債費比率は前年度と比較して0.4ポイント増加したものの,前年度同様,全国平均及び類似団体内平均を下回る水準となっている。悪化した要因としては,分子側の元利償還金額の増などが挙げられる。
将来負担比率は,全国平均を下回っているものの,東京都平均及び類似団体平均は上回っている。前年度と比較して4.3ポイント改善された理由としては,分子側の充当可能基金の増などが挙げられる。
一般職退職手当の増などに伴い,前年度と比較して0.3ポイント増加したものの,全国平均及び類似団体平均を下回り,東京都平均を上回る水準となっている。引き続き,職務給の原則徹底のため,給与水準の適正化に取り組んでいく。
前年度から0.2ポイント増加となり,全国平均,類似団体平均及び東京都平均を上回っている。増要因としては,燃料費の高騰に伴う小中学校光熱水費の増などにより,経常経費充当一財が増となったことが挙げられる。今後においても,競争の原理を基本として,仕様の見直しを含めた縮減を図っていくなど,物件費総体の縮減に努めていく。
前年度から0.6ポイント増加したものの,前年同様,全国平均,類似団体平均及び東京都平均を下回る水準となっている。増要因としては,障害者福祉サービス費の増や私立保育所運営委託料の増などに伴い,経常経費充当一財が増となったことが挙げられる。引き続き,市単独事業の再検証,所要コストの縮減検討など,扶助費の増加率の低減に努めていく。
前年度から0.1ポイント増加したものの,全国平均,類似団体平均及び東京都平均を下回っている。増要因としては,後期高齢者医療特別会計繰出金の増などが挙げられる。引き続き,各特別会計の執行状況を的確に把握し,繰出金の適正化を図るため,財源補填的繰出金の縮減に取り組んでいく。
前年度から0.4ポイント減少したものの,全国平均,類似団体平均及び東京都平均を上回っている。減要因としては,民間保育所運営費市単独助成費の増などにより,経常経費充当一財が増となったものの,経常一般財源が増となり,分子の増を分母の増が上回ったことが挙げられる。引き続き,補助・交付金などの適正化を推進し,補助費等総体の縮減に努めていく。
前年度と比較し,0.1ポイント増加したものの,全国平均,類似団体平均及び東京都平均を下回っている。増要因としては,教育債元金償還費や土木債元金償還費の増が挙げられる。
前年度から0.8ポイント増加しており,全国平均,類似団体平均及び東京都平均を上回っている。他団体と比較して,物件費・補助費等が高い水準にあるため,今後も財政の弾力性・財政構造の見直しに努めていく。
(増減理由)小中学校などの公共施設の改修工事の財源としての公共施設整備基金の活用や,中心市街地街づくりの財源としての都市基盤整備事業基金の活用のほか,財源対策としての財政調整基金など合計28億円余を取り崩した。一方,中・長期的な財政需要を見据え,前年度繰越金活用計画に基づき財政調整基金,公共施設整備基金,都市基盤整備事業基金などに積立てたほか,当初予算における積立てや寄附金を活用した積立てにより,合計52億8000万円余を積立て,基金残高は前年度末と比較して24億8000万円余増加した。(今後の方針)財政規律ガイドラインに基づく財政基盤強化の視点により,前年度繰越金活用や財政効果額の積立てを行い,中長期の行政需要を見据えた財政基盤の強化につなげていく。
(増減理由)積立については,前年度繰越金活用計画等に基づき,積立額を上回る取崩しを行ったことから,4000万円余の減となった。(今後の方針)減収影響に対する財源補完や不測の追加財政需要などの減収影響への備えとして,財政規模,市税収入額の推移を踏まえて財源の確保を図る。
(増減理由)現状,減債基金を活用して市債の償還を行っていないため,積み立てている残高の利子収入分が増となっている。(今後の方針)今後,市債の繰上償還や,公債費の増に備えて現状の残高を確保する。
(基金の使途)・ふるさとのみどりと環境を守り育てる基金:自然に樹林地及び緑地の保全,緑化の推進その他の自然環境等の保全及び育成に活用するための基金。・井上欣一社会福祉事業基金:社会福祉事業を行う施設の設置または拡充に充てる資金のほか,地域の社会福祉に係るサービスを行う事業の運営に活用するための基金。・子ども・若者基金:子ども等支援事業の運営に必要な資金のほか,子ども等支援事業等を行う施設の設置または拡充の資金等,子ども施策と教育振興への一体的な活用をするための基金。(増減理由)・公共施設整備基金:小中学校などの公共施設の維持保全に活用するため,前年度繰越金活用計画等に基づいて実質収支を積立てたため。・井上欣一社会福祉事業基金:当初予算での積立額が,取崩額を上回ったため。・都市基盤整備事業基金:都市基盤の整備等に活用するため,前年度繰越金活用計画等に基づいて実質収支を積立てたため。(今後の方針)・都市基盤整備事業基金:都市基盤の整備等を円滑に進めていくため,まちづくり協力金や各年度の繰越金活用などを原資として基金に積み立て,都市基盤整備の財源確保を図る。・公共施設整備基金:各種公共施設の老朽化などを踏まえ,大規模な施設整備の財源を確保できるよう,財政規律ガイドラインに基づく財政基盤強化の視点により優先的に財源配分を行う。・ふるさとのみどりと環境を守り育てる基金:土地開発公社からの用地買戻しなどに対応できる安定した基金活用のために,前年度繰越金活用計画に基づき積み立てる。
調布市の有形固定資産減価償却率は,令和3年度は約65%となっており,類似団体平均・全国平均・東京都平均と比較し,高くなっている。老朽化の進捗度合いが比較的高い状況にあり,その要因としては,更新時期を迎えた大規模改修などを検討すべき資産が多くあることが挙げられる。今後,適切な維持保全に向け,計画的に,更新・維持保全・改修等していく必要がある。
調布市の債務償還比率は,全国平均・類似団体の平均を大きく下回っている。償還充当限度額に対する実質債務の比率は低い水準にある。引き続き新規に発行する地方債について,市債バランス及び世代間負担の公平性に留意した借入れに努める。
調布市の将来負担比率は,令和3年度は8.2%であり,標準財政規模の減等により,前年度比で3.4ポイント減少したものの,類似団体平均を上回っている。有形固定資産減価償却率は類似団体平均・全国平均・東京都平均を上回っており,老朽化の進捗度合いが比較的高い状況にある。老朽化対応による施設改修等に伴う地方債残高の増加に留意しつつ,各施設の特性に応じて計画的に更新・維持保全し,財政負担の平準化に努める必要がある。
令和3年度決算において,将来負担比率は8.2%となり,充当可能基金の増等により,前年度比で3.4ポイント改善した。実質公債費比率は0.7%となり,単年度の比率では,標準税収入額等の減などにより,前年度と比較して0.3ポイント上昇した。また,三か年平均では0.3ポイント上昇しているが,類似団体平均を大きく下回っている。今後も引き続き,中長期的な視点から健全な財政運営を行っていく。
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