経営の健全性・効率性について
【④企業債残高対給水収益比率】企業債残高対給水収益比率については,令和3年度数値として311.02%と全国平均より45.86%,類似団体平均値より74.73%高く,前年度比較では7.08ポイント減となっている。今後も施設更新のための借入を予定しているがが,過度の負担とならないよう平準化を図るため,起債充当率を抑えることとしており,改善が見込まれる。【⑤料金回収率】及び【⑥給水原価】料金回収率は,令和3年度数値として98.97%と全国平均より3.38%低く,類似団体平均値より5.36%低い数値であり,給水原価については,266.71円と全国平均より98.97円,類似団体平均値より109.31円高い数値となっている。有収水量の減少により,同様の傾向は継続すると見込まれるため,費用の節減に努めていく。【⑦施設利用率】施設利用率については,令和3年度数値として59.67%と全国平均より0.62%,類似団体平均値より2.92%低いが,前年度比較では配水量の増加により0.72ポイント微増となっている。今後も同水準で推移することが見込まれるが,水需要に見合った施設規模への改良を含め計画的な施設更新を行う必要がある。【⑧有収率】有収率については,令和3年度数値として82.60%と全国平均より7.52%,類似団体平均値より7.1%低くなっており,前年度比較でも1.2ポイント微減となっている。山間部等においては地形的要因のため漏水対策に苦慮しているところであるが,今後も継続的な漏水調査と計画的な老朽管更新を実施し,有収率の向上に努めていく。
老朽化の状況について
②管路経年化率については,23.62%と全国平均値より1.32%,類似団体平均値より2.43%高く,③管路更新率については,令和3年度数値として0.56%と全国平均値より0.10%,類似団体平均値より0.06%低い数値となっている。前年度に比較して更新需要が到来している管路延長が増加したことを示す数値となっているが,管路の更新工事,耐震化工事については,アセットマネジメント等による更新計画に基づき,優先順位を把握し配水管更新を計画的に行うこととしており,加えて,経営戦略の投資計画を見直し,老朽管更新を加速して進めていることから今後は改善が見込まれる。
全体総括
大崎市水道事業においては,平成26年12月にアセットマネジメントを策定し,管路や施設の耐震化,長寿命化を図るとともに,令和3年2月に財政収支を見据え経営戦略を改定し今後の人口減少に対応した水道施設に係る更新計画や財政計画の見直しを行い,事業を進めているところである。料金改定時期については,資金の流動性に余裕が生じている状況であることから,経営戦略において現行料金を当面据え置くこととした。しかしながら,将来的には現在の料金水準の維持が困難と見込まれることから,今後も,管路や施設の更新状況を鑑みながら,給水原価に対する適正料金のあり方も含め,検討していく。持続的に安定的な水道水の供給を図るため,施設の更新や耐震化を継続して実施し,施設の強靭化と未給水地域の解消に引き続き努めるものである。