経営の健全性・効率性について
【料金回収率】及び【給水原価】料金回収率については,平成29年度数値として100.91%と全国平均より△3.45%,類似団体平均値より△4.95%低い数値であり,給水原価については,258.63円と全国平均より92.92円,類似団体平均値より100.05円高い数値となっている。前年度比較においては,簡易水道統合に伴い減価償却費が増加したが,総費用に占める受水費割合が大きいことから,今後も同水準で推移することが見込まれる。【企業債残高対給水収益比率】企業債残高対給水収益比率については,平成29年度数値として310.52%と全国平均より36.25%,類似団体平均値より44.6%高く,前年度比較でも簡易水道統合に伴い24.9ポイント上昇している。今後も徐々に上昇するものと想定されるが,平成36年度以降は起債充当率を低く抑えることとしており,改善が見込まれる。【施設利用率】施設利用率については,平成29年度数値として59.82%と全国平均より△0.59%,類似団体平均値より△2.56%低く,前年度比較でも0.77ポイント低くなっている。簡易水道の統合により配水量が増加したが,統合施設の配水能力の増加率がこれを上回ったことによるものである。【有収率】有収率については,平成29年度数値として83.94%と全国平均より△5.99%,類似団体平均値より△5.23%低くなっているが,前年度比較では1.32ポイント上昇している。地域別には古川などの都市部に比べ岩出山や鳴子温泉などの山間部で数値が低くなっていることから,今後も継続的な漏水調査を実施し,有収率の向上に努めたい。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率については,平成29年度数値として48.38%と類似団体平均値より1.39%高く,全国平均値とほぼ同じ数値となっている。管路経年化率については,12.44%と全国平均値より△3.45%,類似団体平均値より△3.39%良好な数値となっているが,管路更新率については,平成29年度数値として0.33%と全国平均値より△0.36%,類似団体平均値より△0.41%低い数値となっている。平成28年度までの簡易水道統合事業によって新たな連絡管及び送水管整備を図ったことにより管路経年化率は改善し,また,上水道に統合された配水管延長が大きいため前年度より率は低下しているものの,平成29年度においても着実に配水管更新工事に取り組んでいる。大崎市水道事業においては,平成26年度に策定したアセットマネジメントによる更新計画及び平成29年2月に策定した経営戦略に基づき管路の本格的な更新を行うこととしていることから,今後は有形固定資産減価償却率,管路更新率についても改善が見込まれる。
全体総括
大崎市水道部においては,平成26年12月にアセットマネジメントを策定し,平成29年2月に10年間の財政収支を見据えた経営戦略を策定したところであり,今後の人口減少に対応した水道施設に係る更新計画や財政計画を進めていくこととしている。アセットマネジメント及び経営戦略においては,管路や施設の耐震化,長寿命化を図るとともに,長期的には料金改定を予定しており,単に料金値上げを行うのではなく,管路や施設の状況について説明するとともに,計画的な更新を行うことを基本としている。平成28年度まで取り組んできた簡水統合事業が完了し,浄水場等の施設関連の工事についてもほぼ終了したことから,平成29年度より経営戦略に基づく本格的な管路の更新を行っていくこととなる。浄水施設の計画的な設備更新に加え,施設耐震化にも取り組み,将来に向けた安定的な水道水の供給を図ることとしている。