経営の健全性・効率性について
新型コロナウイルス感染症対策として水道料金の減免措置を講じたことにより、「①経常収支比率」、「⑤料金回収率」は100%を下回り、「③流動比率」は前年度に比較して196.69ポイントの減少、「④企業債残高対給水収益比率」については前年度に比較して0.86ポイントの増加となりました。また、令和2年度は0%であった「②累積欠損金比率」が0.69%となりました。「⑥給水原価」については、本市は水源が多く、水源ごとに所有する施設の運営経費がかかることなどから、もともと類似団体の平均値より高い水準にあるなかで、横内浄水場水質試験センターなどの新たに償却が開始となったことに伴い減価償却費が増となったことから、前年度に比較して上昇しました。「⑦施設利用率」は、令和3年度から受水費分の基本水量の見直しがあったものの、年間配水量が減少したことなどから前年度に比較して微減となり、類似団体の平均値より低い水準となっております。「⑧有収率」については、類似団体の平均値より低い水準が続いているなか、漏水調査の実施、老朽管の更新、老朽塩化ビニル給水管改修事業といった漏水対策へ継続的に取り組んできたことにより、前年度に比較して0.73ポイント増加しました。
老朽化の状況について
「①有形固定資産償却率」及び「②管路経年化率」については上昇傾向が継続しているとともに、類似団体の平均値より高い水準にあります。固定資産の大半を占める施設や管路などは昭和50年代に取得したものが多く、これらの更新需要への計画的な対応が必要となっている状況にあると認識しています。当該年度に更新した管路延長の割合を表し、管路の更新ペースが把握できる指標である「③管路更新率」については、前年度に比較して上昇し、類似団体の平均値と比較しても高い水準にあります。
全体総括
本市の水道事業は、概ね健全な経営を維持していますが、令和2年度に引き続き令和3年度においても水道料金の減免措置を実施したことにより、経営の健全性を示す指標の一部が一時的に悪化しました。また、施設や管路の老朽化を示す指標についても、類似団体の平均値より高い水準にあります。施設については、現在、明治42年に建設された横内浄水場の北系沈殿池及びろ過池の更新を重点的に進めており、管路については、これまでの実績や厚生労働省の資料等を参考に本市が独自に設定した管種ごとの更新基準に基づき、漏水履歴を踏まえた更新を計画的に進めているところです。今後も給水人口の減少などによる水需要の減少を見据えた各施設の規模・機能の適正化、更新基準を目安に緊急度を考慮した配水管の更新、適切な維持管理による施設・設備の長寿命化、優先順位付けによる施設・設備の更新事業費の平準化といった取り組みを継続的に実施するとともに、財源確保を図り、持続可能で安定的な事業運営に努めてまいります。なお、これらの取り組みの進捗・成果を踏まえ経営戦略(「青森市水道経営プラン(2019~2028)」)について、適時適切に見直し・改定を行います。