経営の健全性・効率性について
「経常収支比率」「流動比率」「料金回収率」はいずれも100%を超えており、「企業債残高対給水収益比率」も経年比較において大きく変化がないことから、堅調といえる水準であると認識していますが、収益の減・費用の増によりいずれの値も前年度に比較して若干ではあるものの下降しています。「給水原価」については、本市は水源が多く、水源ごとに所有する施設の運営経費がかかることから、もともと類似団体の平均値より高い水準にあるなかで、維持修繕費、減価償却費の上昇などに伴い前年度に比較して上昇しました。「施設利用率」は、類似団体の平均値より低い水準となっているなか、前年度に比較して更に下降しましたが、令和元年12月に油川配水所の機能を停止したことから、令和2年度からは改善が見込まれます。「有収率」については、類似団体の平均値より低い水準が続いていますが、漏水調査の実施、老朽管の更新、平成30年度から開始した老朽塩化ビニル給水管改修事業など、漏水対策の取り組みにより、前年度に続き上昇しました。
老朽化の状況について
「有形固定資産償却率」「管路経年化率」については上昇傾向が継続しているとともに、類似団体の平均値より高い水準にあります。固定資産の大半を占める施設や管路などは昭和50年代に取得したものが多く、これらの更新需要への計画的な対応が必要となっている状況にあると認識しています。「管路更新率」については、前年度に比較して若干下降しましたが、類似団体の平均値に比較すると、高い水準にあります。
全体総括
本市の水道事業は、現状では、概ね健全な経営を維持していると認識しているものの、水需要の減少基調が続くと想定されるなか、施設の効率的な運営、施設や管路などの更新需要への適切かつ継続的な対応が必要となっていると考えています。このため、令和元年度には、油川配水所と天田内配水所の機能統合、配水管の更新時の減径、過去の漏水履歴を踏まえた重点的な漏水防止策に取り組んだところです。今後も、水需要の減少を見据えた、各施設の機能を踏まえたダウンサイジングや統廃合、更新基準を目安に緊急度を考慮した配水管の更新、適切な維持管理による施設・設備の長寿命化、優先順位付けによる施設・設備の更新事業費の平準化といった取り組みを継続的に実施し、限られた財源のなかで安定的な経営を持続できるよう効率的・効果的な事業運営を進めてまいります。