経営の健全性・効率性について
当年度は、浄水場の受電設備等の大規模な更新に伴う従来資産の除却によって費用全体が大きく増加したため、経常損失が発生し、①経常収支比率は、100%を下回りましたが、欠損金の発生はなく、②累積欠損金比率は、引き続き0%となっています。③流動比率は、前述の大規模な更新工事の実施によって、前年度に比べ保有資金が減ったため、減少が見られますが、類似団体平均値を大きく上回っています。④企業債残高対給水収益比率は、創設時の起債に対する償還は終えたものの、新たな更新事業に対する起債により企業債残高が増えたことから前年度に比べ上昇しています。⑤料金回収率は、100%を若干下回りましたが、他会計からの繰入金等はなく、経営に必要な経費を料金で賄うことができています。⑥給水原価は、前年度に比べ、資産減耗費等の費用の増加によって上昇しています。⑦施設利用率は、管内給水人口の減少等によって引き続き低い値となっています。⑧有収率は、類似団体平均を下回りますが、引き続き高い値を維持しています。
老朽化の状況について
用水供給開始から36年を経過し、施設の老朽化が進んでいることから、①有形固定資産減価償却率は、類似団体平均値を若干上回る値となっていますが、平均的な水準であると思われます。また、管路施設は、現段階では法定耐用年数を迎えた施設はなく、②管路経年化率、③管路更新率ともに0%となっていますが、今後は順次耐用年数を迎えることとなるため、耐震化計画に基づき、適切な整備あるいは更新を進めるとともに施設の延命化や維持管理費用の効率的な運用を検討していく必要があります。
全体総括
当企業団の経営状況は、各指標が示すとおり概ね良好な水準で推移していますが、今後、見込まれる施設・設備の更新において、給水人口の減少に伴う施設利用率の低さが課題となるため、計画的に規模の適正化(ダウンサイジングやスペックダウン)を図ることが望まれます。このことから当企業団では、これら施設・設備の規模の適正化を図りつつ、可能な限りトータルコストを削減するため、既存の財政計画及び施設の耐震化計画を踏まえた経営戦略を令和2年度に策定し、今後の更新需要への対応と水道用水の安定供給のため、中長期的な視点に立った経営に一層努めることとしています。