経営の健全性・効率性について
平成28年度の水道事業の経営は、料金回収率は100%を上回り、また経常収支比率等その他の数値も概ね適正な水準となっていることから、引き続き健全経営が維持されていると言える。給水原価については、寒冷地対策として建設費用が割高になることが影響し、従来から類似団体等に比べ高い状況にある。平成28年度は前年度と比較すると7.49円低くなっているが、これは平成27年度において、資産減耗費等の増により一時的に高くなったためであり、今年度は平年並みに戻ったと言える。しかしながら、給水収益の逓減が見込まれるため、今後もさらなる経営努力が必要と考えられる。
老朽化の状況について
平成28年度の有形固定資産減価償却率は、50.19%となっており保有資産の約半分が法定耐用年数に近づいていると分析できる。これは、類似団体や全国平均と比較して若干高めな数値であり、当市の施設老朽化が比較的進行している状況を表している。管路に関して言えば、昭和40年代に布設された大麻団地の管更新を既に終えているため、経年化率が2.07%と低いものの、昭和50年代に布設されたものも多く、数年後には耐用年数を迎えることとなる。また、管路更新率が0.88%では全ての管路を更新するのに100年以上かかるペースであり、今後は年度毎の事業費の平準化を図りながら、計画的に更新していく必要がある。
全体総括
水道事業経営は現時点では健全な状態であると判断される。しかし、ここ数年は人口減少や節水型機器の普及により有収水量の逓減が進行しているため、今後の給水収益の減収が避けられない見込みである。一方で数年後から始まる管路の大量更新時期とその先に控える大規模施設の更新を見据えると、全く楽観視できる状況にない。そのため、平成30年度に策定予定の経営戦略における長期的な収支見通しに基づき、引き続き効率化等による費用の圧縮を図るとともに、料金収入と企業債の借入との適切なバランス等も考慮して、さらなる健全経営の維持を図っていく。