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地方財政ダッシュボード

福岡県苅田町の財政状況(2019年度)

🏠苅田町

地方公営企業の一覧

末端給水事業 公共下水道 農業集落排水


収録データの年度

📅2023年度📅2022年度📅2021年度📅2020年度📅2019年度📅2018年度📅2017年度📅2016年度📅2015年度📅2014年度📅2013年度📅2012年度📅2011年度📅2010年度

総括表

人口の推移

財政比較分析表(2019年度)

財政力指数の分析欄

大型事業所の集中等により類似団体平均を上回る税収があるため、1.25となっており、3年連続の増加となった。本町の歳入の核となる地方税のうち、景気の緩やかな回復を受けて町民税が前年度より増収となったことに加え、企業の設備投資により固定資産税が増加したことが要因である。しかし、地方税は景気動向に大きく影響を受けやすく、需要額においては少子高齢化等の要因から今後も増加が見込まれるため、歳入歳出のバランスに留意し、健全な財政運営を行っていくとともに、企業誘致や債権回収の強化に取り組み、財政基盤の強化に努める。

経常収支比率の分析欄

経常収支比率は、前年度から2.5%減少し、類似団体を4.3%下回る84.1%となった。これは、地方債の新規借り入れを抑制し、地方債残高の削減を図っていることにより経常経費充当一般財源等の公債費が111百万円減少したことに加え、歳入において景気の緩やかな回復を受けて地方税が前年度に比べ300百万円増加したことが要因である。今後は、公共施設の維持管理費等の増加も見込まれることから、公共施設の適正な管理や事務事業評価による事業の見直しを引き続き行い、現在の水準を維持するよう努める。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

人口1人当たりの金額は2年連続で類似団体を上回る結果となった。令和元年度においては、学校や庁舎内で使用するシステムの更新事業が複数あり、物件費が110百万円増加したことが要因である。また、本町はごみ処理や消防、給食等の業務を単独で行っているため、職員数削減が現状の体制では難しく、今後老朽化の進んだ公共施設の維持管理費も増加することが見込まれるため、施設の統廃合及び業務の民間委託や広域化等の検討を行っていく。

ラスパイレス指数の分析欄

ラスパイレス指数は前年度に比べて0.7上昇している。上昇の要因は、若年層職員が多く、給与表改定の影響を大きく受けたこと等によるものである。今後も類似団体の状況等に注視しながら、適正化に努めていく。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

平成25年度から実施していた行財政改革により、新規採用者の抑制や町費負担教職員の廃止により、平成27年度以降は類似団体平均を下回っているが2年連続で増加している。これは、ごみ処理や消防等の町単独で行っている事業に加え、区画整理事業などの大型事業を実施していることや今後の公共施設の適正な維持管理のための技術職の確保が必要となっているためである。現状の体制では、職員数をこれ以上大幅に削減することは難しい状況であるが、図書館等の指定管理制度導入の検討やごみ処理や消防事業等の広域化を検討し、適切な職員数の維持に努める。

実質公債費比率の分析欄

実質公債費比率は、前年度に比べ1.0%改善し、10.2%となったが、類似団体平均を上回っており、これは将来負担比率と同様に、過去に実施した大規模なインフラ整備や公共施設の建設の財源に地方債を充てており元利償還金が類似団体に比べ大きいことが要因である。改善した主な要因は、前年度末で保健センター建設事業等の大型事業の償還が終了し、元利償還金等の元利償還金が112百万円減少したことである。また、本町の場合は景気動向により税収が大きく変動し、標準財政規模に影響を与え数値が大きく変わることから今後も過度に地方債に依存しない財政運営に努めていく。

将来負担比率の分析欄

将来負担比率は、前年度に比べ19.2%改善し、43.3%となったが類似団体平均を大きく上回っている。これは、過去に実施した大規模なインフラ整備や公共施設建設の財源に地方債を充てており、地方債残高が類似団体に比べて大きいためである。改善した主な要因は、地方債の借り入れを抑制し地方債残高が999百万円減少したことに加え、財政調整基金等に積立を行い充当可能基金が695百万円増加したことである。今後も地方債残高の減少と計画的な基金の積立てを行い、将来世代への負担を少しでも軽減するよう財政の健全化を図る。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2019年度)

人件費の分析欄

人件費に係る経常収支比率は、退職手当組合納付金の納付率の減少により前年度に比べ1.1%減少している。しかし、これは制度による減少であり、現状の組織体制では大幅な人件費の削減は難しい状況である。今後、会計年度任用職員制度により人件費が大幅に増加する見込みであるため、図書館等の指定管理制度導入の検討や、業務の広域化の検討を行い、組織体制の見直しを行っていく必要がある。

物件費の分析欄

システム機器の更新により物件費の歳出額は増加したが、歳入の経常一般財源等の増加により、経常収支比率は前年度に比べ0.3%減少している。類似団体平均に比べ高止まりしているのは、本町はごみ処理や給食、消防業務を単独実施しているため施設の維持管理や賃金等の物件費が多く、行政サービスの提供方法の差異によるものと言える。今後、業務の民間委託や広域化を検討し、業務の効率化、コスト削減に努めていく。

扶助費の分析欄

扶助費に係る経常収支比率は、自立支援給付費の増加(+32百万円)や幼稚園施設型給付費、施設等利用費給付金の増加(+54百万円)により、前年度に比べ1.0%増加している。障がい者福祉サービス等の社会保障関係経費は毎年増加しており、今後も増加していくことが見込まれる。そのため、所期の目的を達成した単独事業の見直しや受益者負担の適正化に努めていく。

その他の分析欄

介護保険特別会計や後期高齢者医療特別会計等への繰出金が53百万円増加したことにより、その他に係る経常収支比率は前年度に比べ0.3%増加している。類似団体平均を下回っているのは、本町は下水道事業が法適用企業であるため、下水道事業への繰出金が補助費等に分類されるためと思われる。今後も、介護保険サービス利用増加により繰出金の増加が見込まれることから介護予防事業の実施や保険料の適正化に努めていく。

補助費等の分析欄

幼保無償化制度を受けて幼稚園就園奨励費補助金が21百万円減少したこと等により、補助費等に係る経常収支比率は0.8%減少し、類似団体平均を大きく下回っている。これはごみ処理や給食、消防業務を単独実施しており、一部事務組合への負担金が少ないためであり、行政サービスの提供方法の差異によるものと言える。

公債費の分析欄

公債費に係る経常収支比率は、保健センター建設事業等の大型事業の償還が終了し、経常経費充当一般財源等の公債費が111百万円減少したことにより、1.6%減少している。今後は、令和元年度に町民プール建設事業分の繰上償還を行ったことや、新規借り入れの抑制により減少していく見込みであるが、公共施設の更新や大規模改修等の地方債が必要な事業も予定されており、歳入歳出のバランスに注視し、過度に地方債に依存しない財政運営に努めていく。

公債費以外の分析欄

公債費以外の歳出額は増加したが、歳入の経常一般財源等の増加により公債費以外に係る経常収支比率は0.9%減少し、類似団体平均を下回っている。本町は景気動向により歳入の経常一般財源等が大きく変動するため、平成29年度以降は景気の緩やかな回復を受けて経常収支比率は改善しているが、社会保障関係経費が毎年増加していることや公共施設に係る維持補修費や物件費の増加も見込まれることから、経費削減と歳入確保の強化に努める。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2019年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

各項目の中で、類似団体と比較して高い主な項目は土木費(+202円)、公債費(+6,883円)である。土木費については、土地区画整理事業や県が行う港湾整備事業に対する負担金が増加し、3年ぶりに類似団体平均を上回る結果となった。平成25年度から実施していた行財政改革により新たな建設事業等は抑えており類似団体平均を下回っていたが、今後短期的には都市計画道路の道路改良工事や土地区画整理事業等の大型事業への歳出増加が見込まれる。公債費については前年度に比べ4,907円増加し、類似団体平均を上回っている。これは町民プール建設事業に係る地方債の繰上償還(288百万円)を行ったことにより一時的に増額となっているが、令和2年度以降は類似団体平均並みとなり、毎年減少していく見込みである。しかし、今後の土木費の増加や公共施設の更新、大規模改修等の大型事業実施に伴い、地方債の借入額も増加が見込まれることから、借入と償還のバランスに注視しながら、過度に地方債に依存しない財政運営に努めていく。また、昨年度に比べて大幅に増減している主な項目は商工費(-6,596円)、消防費(-2,195円)、教育費(?6,123円)となっている。商工費は、本町へ進出した企業への奨励金に充てる財源として平成28年度から積立を行っていた企業立地奨励金基金に、令和元年度は積立を行わなかったこと(-200百万円)と奨励金の支出がなかったこと(-52百万円)による減少である。消防費は、救助工作車(-122百万円)更新に係る経費が減少となった。教育費は、小中学校空調設備設置工事(+43百万円)や公民館屋上防水及び外壁改修工事(+32百万円)により増加となっている。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2019年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

歳出決算総額は、住民一人当たり373,325円となっている。各項目の中で類似団体と比較して高い主な項目は、物件費(+7,633円)、扶助費(+10,520円)、公債費(+6,884円)、積立金(?5,797円)である。物件費については、ごみ処理や給食、消防業務を単独で実施していることにより類似団体より高いコストとなっている。これら業務で使用する施設や備品は老朽化が進み、今後コストが増加する見込みであることから民間委託や広域化の検討を行う必要がある。扶助費は自立支援給付費や幼稚園施設等利用費給付金などの増加により前年度に比べ7,343円増加し、類似団体平均を上回っている。類似団体よりも人口が多いことや社会福祉サービスを行う町内事業所の増加により広くサービス利用が進んでいることが要因と考えられ、今後も高齢化や制度改正、サービスの充実により社会保障関係経費は増加が見込まれる。受益者負担の適正化や予防事業の強化に努め、持続可能なサービス提供を目指していく。公債費については前年度に比べ4,907円増加し、類似団体平均を上回っている。これは町民プール建設事業に係る地方債の繰上償還(288百万円)を行ったことにより一時的に増額となっているが、令和2年度以降は類似団体平均並みとなり、毎年減少していく見込みである。積立金については、景気の回復を受けて平成28年度以降、財政調整基金や老朽化が進む公共施設整備のための公共施設整備基金等への積立を行っており類似団体平均を上回る結果となった。しかし、本町の歳入は景気の影響を受けやすく、新型コロナウイルス感染症の影響等がどのように表れてくるか不透明であるため、今後も継続して将来の需要のための財源として基金の積立を行い、公共施設整備等の大型事業実施の際には、将来世代への負担が極端に増加しないよう積立金を有効に活用していく。

実質収支比率等に係る経年分析(2019年度)

分析欄

平成25年度から行った行財政改革の効果と景気回復による税収の増加により平成28年度以降は財政調整基金の取り崩しを行うことなく実質収支は黒字を確保しており、実質単年度収支も黒字となっている。令和元年度は、地方税の増収により歳入決算額は増加したが、それ以上に介護保険特別会計や後期高齢者医療特別会計への繰出金の増加等により歳出決算額が増加したため実質収支比率は0.77%減少となった。財政調整基金残高は、前年度決算余剰金の積立に伴い増加し、標準財政規模比は42.86%となっている。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2019年度)

分析欄

国民健康保険特別会計において、平成30年度の歳入不足を補うため令和元年度より321百万円の繰上充用を行ったことが赤字の主な原因である。令和元年度の実質収支赤字額は前年度に比べ134百万円減少し、主な要因は一般会計から赤字補填の繰り出し50百万円を行ったことに加え、国保税率の改定や収納率が上昇(+2.7%)したことによるものである。平成30年度からは福岡県主体のもと国民健康保険運営が行われており、安定的な財政運営、効率的な事業の確保等制度の安定化がされているが、過去の累積赤字の解消といった課題も残っている。累積赤字の解消のため、一般会計から赤字補填繰り出しや収納率の向上、医療費抑制に向けた予防事業の取組みを強化し、健全な運営に取り組むよう努める。国民健康保険特別会計以外の会計は黒字となっており、今後も健全な財政運営に努めていく。

実質公債費比率(分子)の構造(2019年度)

分析欄

実質公債費比率の分子が前年度に比べ減少した要因は、保健センター建設事業等の大型事業の償還が終了し、元利償還金等の元利償還金が112百万円減少したためである。一方、分子の減少要素である算入公債費等は、平成9年度債の算入終了により42百万円減少し、最終的な実質公債費比率の分子は前年度より62百万円減少となった。今後は公共施設の更新や大規模改修の財源として地方債借入額が増加することが見込まれるため、過度に地方債に依存することなく健全な財政運営に努めていく。

将来負担比率(分子)の構造(2019年度)

分析欄

一般会計等に係る地方債の現在高が、地方債の新規借り入れ抑制により前年度に比べ999百万円減少となった。公営企業債においても、水道事業、下水道事業ともに対象地方債の償還が進んでおり繰入見込額が400百万円減少となった。また、財政調整基金等へ計画的に積立を行っているため、充当可能財源等の充当可能基金が695百万円増加した。これら要因により将来負担比率の分子は前年度に比べ1,661百万円減少となり、過去5年間で最も低い3,740百万円となった。本町の財政は地方税の動向に大きく影響を受けやすいため、今後も過度に地方債に依存することなく、基金の取り崩しに頼ることのない健全な財政運営に取り組んでいく。

基金残高に係る経年分析(2019年度)

基金全体

(増減理由)固定資産税等の増収による決算余剰金を財政調整基金に230百万円の積立を行い、今後の公共施設の更新や大規模改修に備えるため公共施設整備基金に500百万円の積立を行った。一方で、町民プール建設に係る地方債の繰上償還を行うにあたり減債基金より150百万円の取り崩しを行い、基金全体では590百万円の増となった。(今後の方針)本町は普通交付税不交付団体であり、地方税の動向が財政状況や各種指標に大きく影響を与えるため、今後も健全な財政運営を継続するために、計画的に財政調整基金と減債基金へ積立を行っていく予定である。公共施設整備基金は、財政調整基金とバランスを取りながら毎年積立を行っていき短期的には増加予定であるが、今後の公共施設の更新や大規模改修に着手する中長期的には一時的に減少する見込みである。また、企業誘致への取組みも強化しており、町内進出企業へ奨励金を交付していることから、企業誘致に係る土地の売却益等は基金へ積立を行っていく予定である。

財政調整基金

(増減理由)前年度の決算余剰金の1/2を財政調整基金へ積立を行い、これを取り崩すことなく令和元年決算ができたため平成30年度に比べて230百万円の増加となった。(今後の方針)歳入歳出のバランスを考慮し、今後も計画的に積立を行っていく予定である。

減債基金

(増減理由)平成23年度借入町民プール建設に係る地方債の繰上償還を行うにあたり150百万円取り崩しを行ったため減少となった。(今後の方針)今後の公共施設の更新や大規模改修等の大型事業実施に伴って地方債借入額が増加することが見込まれるため、財政調整基金、その他特定目的基金とバランスを取りながら計画的に積立を行っていく予定である。

その他特定目的基金

(基金の使途)苅田町公共施設整備基金:公共施設の老朽化対策のため、施設の新築や改修、設備の更新等の財源に充当する。苅田町企業立地奨励金基金:苅田町企業立地促進条例に基づく奨励金の財源に充当する。苅田町まちづくり基金:ふるさと寄附金やまちづくり自販機の売上を積み立て、本町の発展やまちづくりの推進を図る事業の財源に充当する。(増減理由)苅田町公共施設整備基金は地方税が前年度に引き続き8,000百万円を超えたことを受け、一般財源から500百万円の積立を行ったことにより増加となった。苅田町まちづくり基金は、ふるさと寄附金の受入による22百万円の積立とふるさと寄附金返戻品等の経費に充てるため14百万円の取り崩しを行ったため7百万円の増加となった。(今後の方針)苅田町公共施設整備基金は、町内の多くの公共施設が老朽化していることから、今後改修費用等に多くの財源が必要となることが見込まれる。そのため、地方税の増収や歳出の削減により捻出した一般財源を計画的に積み立てることを目標としている。苅田町企業立地奨励金基金は、今後の町内への企業進出の状況を踏まえながら、奨励金支出予定額まで積立てを行う予定である。苅田町まちづくり基金は、今後もふるさと寄附金やまちづくり自販機の売上を積み立てる予定にしている。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2019年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

類似団体に比べて0.9%低くなっている。これは、平成23年度の町民温水プール建設、平成26年度の消防本部事務所棟建替え及び土地区画整理事業等による道路新設整備等により、比較的新しい固定資産を保有しているためである。しかし、個別施設ごとにみると、多くの公共施設等で老朽化が進み、これから一斉に大規模改修や建替えの時期を迎えようとしている。令和3年3月に策定した公共施設個別施設計画に基づき、公共施設の修繕や更新等を計画的に実施することで、コストの分散、縮減や財政負担の軽減につなげる。

債務償還比率の分析欄

類似団体に比べ179.8%低くなっている。これは、地方債の新規借入を抑制し、地方債現在高が約10億円減少したことに加え、基金積立金現在高が約5.9億円増加し、地方債償還に充当可能な財源が増加したためである。引き続き地方債の借入抑制を行う方針であるが、老朽化した公共施設等の大規模改修や建替えの際に地方債現在高が増加することが見込まれる。本町の経常一般財源等歳入は景気の影響を受けやすいため、債務償還比率が景気動向に大きく左右されないよう地方債の償還と借入のバランスを注視し、老朽化の進んだ施設の大規模改修等の大型事業を計画的に行っていく。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

将来負担比率は地方債の新規借入抑制、基金積立による充当可能財源の増加により年々減少しているが、類似団体と比べて高い水準で推移している。有形固定資産減価償却率は類似団体に比べて低くなっているが、4年間で6.6%上昇しており公共施設等の老朽化が進んでいる状態である。今後、公共施設等の長寿命化で地方債の活用を予定していることに加え、他事業の地方債借入もあることから、計画的な老朽化対策や過度に地方債に依存することがないようにバランスを図りながら財政運営を行っていく。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

将来負担比率と実質公債費比率は類似団体と比べて、高い水準で推移している。地方債償還のピークは平成29年度であり、平成30年度以降は、福祉施設建設や町民プール建設等の大型事業に係る地方債の償還が終了するため、今後、実質公債費比率は一定期間減少が見込まれる。また、将来負担比率についても、地方債の借入抑制や基金残高の増加により減少が見込まれる。しかし、現在進行中の与原地区区画整理事業等の大型事業に加え、公共施設の老朽化対策が必要であるため、現在積立を行っている公共施設整備基金等も活用しながら計画的な地方債借入を行い、各指標のバランスに留意しながら健全な財政運営に努めていく。

施設類型別ストック情報分析表①(2019年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

類似団体と比較して、有形固定資産減価償却率が低くなっている施設は、道路、橋りょう・トンネル及び公営住宅である。道路、橋りょう・トンネルについては長寿命化や総ストック点検を実施済みであり、計画的な更新を行っているため類似団体に比べて低くなっていると考えらえる。また、公営住宅は施設個別計画を策定済みであり、計画に基づき大規模改修や除却を行っている。一方、類似団体と比較して、有形固定資産減価償却率が高くなっている施設は、学校施設及び公民館である。特に、学校施設は、小中学校共に稼働年数が50年を経過しているものがあり、同率が70%を超えている。令和3年3月に策定した公共施設個別施設計画に基づき計画的に大規模改修等を行い、長寿命化を図っていく必要がある。また、公民館は類似団体に比べて一人当たり面積が大きくなっており、長寿命化対策と併せて、除却や統廃合についても今後検討していく必要がある。

施設類型別ストック情報分析表②(2019年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

類似団体と比較して、有形固定資産減価償却率が低くなっている施設は、体育館・プール及び消防施設である。これは、平成23年度に町民温水プール建設、平成26年度に消防本部事務所棟の建替え、平成27年度に消防デジタル無線、高機能消防指令システムの更新をそれぞれ行ったことが要因である。しかし、年々類似団体平均に近づいているため、計画的に改修を行い長寿命化を図っていく必要がある。一方、類似団体と比較して、有形固定資産減価償却率が高くなっている施設は、図書館、市民会館、一般廃棄物処理施設、保健センター・保健所及び庁舎である。一般廃棄物処理施設は、特に、し尿処理施設の老朽化が進んでいるが、現在、下水道施設を活用した処理方法に変更する事業が進行中であり、同事業に沿って必要な部分の老朽化対策を行うこととしている。図書館及び庁舎は、屋上防水の劣化や電気設備等不具合が生じた場合、その都度修繕を行っているが、長寿命化工事のような大規模改修は行っておらず老朽化が進んでいる。令和3年3月に策定した公共施設個別施設計画に基づき、優先すべき改修等を計画に沿って行う予定としているが、改修等にあたっては基金等を活用し、今後の財政運営に過度な負担が生じないよう努めていく。

財務書類に関する情報①(2019年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

一般会計等の資産は前年度と比較して417百万円(+0.8%)の増加となった。金額の変動が大きいものは物品と基金であり、物品はシステム関係のリース資産の取得額(187百万円)が、減価償却による資産の減少を上回ったこと等から162百万円増加している。また、固定資産のうち基金は510百万円増加しており、要因は公共施設整備基金へ500百万円積み立てたこと等によるもので、事業用資産やインフラ資産の老朽化対策の財源として地方債を過度に増加させず、将来への負担を軽減するために計画的に積み立てを行っているものである。流動資産の基金は、地方債の繰上償還のため公債償還基金を150百万円取り崩したが、財政調整基金に230百万円積み立てを行ったため、80百万円の増加となっている。本町では地方債残高の減少に努めているため、負債は前年度と比較して955百万円(▲7.0%)の減額となった。特に固定負債の地方債は671百万円減少しており今後、大きな財源が必要な施設、インフラの老朽化対策については、基金等を活用し、負債と純資産のバランスに留意して財政運営を行うよう努めていく。全体会計で金額の変動が大きいものは負債であり、前年度と比較して1,574百万円(▲4.9%)の減少となった。これは一般会計と同様に水道事業会計や下水道事業会計においても地方債の新規借り入れよりも償還額の方が大きく、地方債残高の減少が進んでいるためである。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

一般会計等においては、純経常行政コストは11,544百万円となり、前年比539百万円(+4.9%)の増加となった。中でも金額の増加が大きい項目は国民健康保険や介護保険等他会計への繰出金が128百万円(+11.3%)増加や、自立支援給付や障害児通所給付等の社会保障給付が107百万円(+5.8%)増加となっている。いずれも年々増加傾向であり、今後も高齢化の進展等によりこの傾向は続くことが見込まれるため、事業の見直しや介護予防の推進等により経費の抑制に努めていく。また、県が実施している苅田港の整備事業負担金等の補助金等も90百万円(7.4%)増加しており、港や空港を保有している本町特有の負担金増加も経常経費の増加の要因となっている。臨時損益を加味した純行政コストは11,340百万円で、純経常行政コストとの差額は204百万円となっており、これは災害復旧費等の臨時損失8百万円に対し、資産売却益等の臨時利益が212百万円となり臨時損失額を上回ったためである。全体会計では、一般会計等に比べて、水道料金等を使用料及び手数料に計上しているため、経常収益が1,228百万円多くなっている一方、介護保険のサービス給付費等を補助金等に計上しているため移転費用が4,736百万円多くなり、純行政コストは5,444百万円多くなっている。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

一般会計等においては、税収等の財源(12,599百万円)が純行政コスト(11,340百万円)を上回ったことから、本年度差額は1,259百万円(前年度比+201百万円)となり、純資産残高は1,372百万円の増加となった。財源の増加要因は、教育費国庫補助金を受けて、普通教室空調設備設置事業や御所山古墳公有地化事業等を行ったことにより、国県等補助金が増加したことや固定資産税の増収等により前年度に比べて539百万円(+4.5%)増加したためである。全体会計では、国民健康保険特別会計、介護保険特別会計等の国民健康保険税や介護保険料が税収等に含まれることから、一般会計等と比べて税収等が2,219百万円多くなっている。純資産残高については、後期高齢者医療特別会計と下水道事業会計において、財源が純行政コストを下回っているものの、国民健康保険特別会計、介護保険特別会計が国県等補助金の増加により財源が純行政コストを上回ったため、純資産残高は44,355百万円となり前年度に比べて1,702百万円(+4.0%)増加している。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

一般会計等において、業務活動収支は1,925百万円となり、前年度に比べ48百万円(▲2.4%)減少している。これは、業務支出、業務収入ともに前年度に比べ増加しているものの、社会保障給付や他会計への繰出金等の移転費用の増加により業務支出の増加額が業務収入の増加額を上回ったためである。投資活動収支は小中学校空調設備整備事業や基金積立金支出により885百万円となっている。財務活動収支については、地方債発行額が地方債償還支出額を下回ったことから1,071百万円となっており、本年度末資金残高は前年度から30百万円減少し、789百万円となった。本年度末資金残高は減少しているが、基金積立金支出により資産は増加し、地方債償還に伴う支出により負債は減少しており、地方債発行収入に依存せずに、経常的な活動が行えている状況である。水道事業会計、下水道事業会計においても、地方債発行額が地方債償還支出額を下回ったことから財務活動収支が赤字となり、本年度資金収支が赤字となっており、全体会計では本年度末資金残高は前年度に比べ53百万円減少している。

財務書類に関する情報②(2019年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

住民一人当たりの資産額が類似団体平均を38万円下回っているのは、類似団体の中でも人口が多いことに加えて、本町は市町村合併をしておらず、合併市町村と比べて保有施設が少ないことが要因と考えられる。また、歳入額対資産比率も類似団体平均を下回っており、これは資産合計額が少なく、本町の歳入総額が多いためである。資産合計は、前年度と比べて417百万円増加しており、増加要因は基金残高の増加によるものである。有形固定資産減価償却率は、前年度と比べて1.3%上昇している。有形固定資産減価償却率は築年数の新しい町民温水プールや消防事務所棟等の施設があるため類似団体平均を下回っているが、インフラ資産や小中学校、公民館等の施設の老朽化は進んでいるため、総合管理計画、個別施設計画等に基づき計画的に長寿命化工事や修繕を行っていく。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

純資産比率は、類似団体平均を少し下回っているが、基金への積立を行っていることから資産が増加し、前年度に比べ2.1%上昇している。地方債の新規借り入れを抑制し、償還を進めていることから残高は年々減少しており、将来世代負担比率も前年度に比べ1.7%減少している。しかし、類似団体平均と比べると6.4%高くなっており、これは地方債残高が類似団体と比べ高いことが要因である。今後も過度に地方債に依存することなく、計画的に基金を積み立てる等、将来世代の負担を過度に増加させないよう努めていく。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

住民一人当たりの行政コストは類似団体を6.2万円下回っている。類似団体と比べて純行政コストは、高い水準であるが、その一方で人口も多いため、住民一人当たりに換算すると平均値を下回っている。しかし、社会保障給付の増加等により前年度に比べて1.1万円増加しており、今後も社会保障給付等は増加が見込まれることから、事業の見直しを含めて検討し、行政コストの削減に努めていく。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

住民一人当たりの負債額は、前年度と比較して2.4万円減少している。これは地方債残高が減少したことが大きな要因である。類似団体平均よりも下回っているが、3.行政コストの状況と同様に負債合計は類似団体と比べ高い水準であるが、人口も多いため一人当たりの負債額が少なくなっている。基礎的財政収支は、業務活動収支の黒字が投資活動収支の赤字を上回ったため、+1,700百万円となり、過度に地方債に依存することなく財政運営が行えている状況である。本町は集積する企業等の固定資産税や法人町民税が類似団体と比べ多K、財源が多いため類似団体平均と比較して大幅な黒字となっている。しかし、景気の動向により税収が大きく変動する特質があり、平成27年度と比較しても1,480百万円の差がある。今後、景気に大幅な変動があった場合でも、安定的に財政運営を行えるよう地方債残高や行政コストの削減等に努めていく

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

受益者負担比率は、類似団体平均と同程度であるが、前年度からは減少している。これは、経常費用が前年度から496百万円増加したためである。経常費用の増加は、社会保障給付や他会計への繰出金の増加が主な要因であり、今後も増加が見込まれているため受益者負担比率の減少要因となる。経常収益については、使用料・手数料の見直しやその他の項目の債権回収を強化するとともに、受益者負担の水準については今後も検討し、税等の負担の公平性・公正性の確保に努めていく。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,