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地方財政ダッシュボード

神奈川県秦野市の財政状況(2020年度)

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収録データの年度

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総括表

人口の推移

財政比較分析表(2020年度)

財政力指数の分析欄

単年度の財政力指数は、平成21年度に1.0を下回り、以降も税収の回復が見られず、社会保障費が増加する中で、12年続けて普通交付税交付団体となっている。令和2年度は、前年度から横ばいの0.875となっており、3年間の平均では減少が続いている。これは、消費税及び地方消費税の税率引上げによる地方消費税交付金の増(724,981千円増)により、基準財政収入額が690,308千円増加したものの、幼児教育・保育の無償化に伴う地方負担の増加による社会福祉費の増(273,503千円増)や、高齢化の進行による高齢者保健福祉費の増(152,647千円増)などにより、基準財政需要額が809,753千円増加したためである。未収金対策の強化といった短期的な取組や本市の発展につながる環境整備といった長期的な取組の両方の視点を持ち、引き続き財政基盤の強化に努める。

経常収支比率の分析欄

平成28年度から平成30年度にかけて4.0ポイント改善したものの、令和元年度から若干の悪化が続いており、令和2年度は95.7%と依然として全国平均及び類似団体内平均を上回っている。これは、地方消費税交付金が増加したことなどにより、経常一般財源等歳入額が314,025千円増加したものの、人件費や公債費等の増加により、経常経費充当一般財源等が389,375千円増加したことから、前年度と比べて0.4ポイント悪化したものである。予算の編成や執行においては、全ての事務事業の必要性や優先度、経費の内容を見直し、経常経費の削減に努める。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

令和2年度においては、前年度に引き続き全国平均、神奈川県平均及び類似団体内平均の各数値を下回っているものの、前年度と比べて7,682円の増加となった。これは、一部退職者の勤務延長に伴う退職金の増加や会計年度任用職員制度の施行により人件費が912,943千円増加したことや、小中学校のICT環境の整備に伴う備品購入費が大幅に増加したことにより、物件費が642,555千円増加したことによるものである。

ラスパイレス指数の分析欄

類似団体平均及び全国市平均との比較では、それぞれ2.1ポイント、3.2ポイント上回っているが、過去5年間では僅差で推移している。前年度と比較したラスパイレス指数の上昇要因としては、経験年数の長い高卒の職員の経験年数階層の変動によるものである。なお、人件費抑制の取組みとして、平成28年4月1日からの給与制度の総合的見直しを始め、平成29年度の住居手当の見直し(持家手当額の引下げ)や国に準じた扶養手当の見直し(平成30年度から段階的に行っており、令和2年度に制度が完成)を実施しているが、今後も引き続き給与体系の適正化に努めていく。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

平成17年度以降の技能労務職の退職者不補充を原則とする業務の民間委託化の推進により、職員数の削減を進めてきているものの、地方創生や防災対策の推進、また、新型感染症対応等の行政需要の高まりのため、近年は、やや増加傾向にある。今後は、定員管理計画に基づき、現状ベースでの職員数の維持を原則とするが、定年引上げの影響を踏まえ、やや増加の傾向となることが想定される。

実質公債費比率の分析欄

過去5年間で見ると改善傾向にあり、令和2年度は、類似団体内平均、全国平均をそれぞれ2.3ポイント、4.6ポイント下回っている。これは、令和2年度の算定から除かれる平成29年度と、新たに算定に含まれる令和2年度との単年度の比較において、下水道事業債の償還が進捗したことに伴う準元利償還金の減により、分子が減少したことに加え、普通交付税等の増加に伴い、分母を構成する標準財政規模が増加したため、前年度と比べて0.1ポイント改善したものである。

将来負担比率の分析欄

過去5年間で見ると改善傾向にあり、令和2年度は、類似団体内平均を10.4ポイント上回っているが、全国平均を7.4ポイント下回っている。これは、下水道事業債の償還の進捗に伴う公営企業債等繰入見込額の減少を、控除財源である財政調整基金などの充当可能財源の減少が上回り、分子が増加したものの、地方消費税交付金等の増加に伴い、分母を構成する標準財政規模が増加したため、前年度と比べて0.1ポイント改善したものである。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2020年度)

人件費の分析欄

令和2年度は、前年度と比べて2.2ポイント増加しており、依然として、類似団体内平均、全国平均をそれぞれ3.4ポイント、2.7ポイント上回っている。増加した要因は、一部退職者の勤務延長に伴い、退職金が385,055千円増加したことに加え、会計年度任用職員制度の施行に伴い、報酬及び期末手当が964,913千円増加したことにより、経常経費充当一般財源ベースで775,662千円増加したためである。

物件費の分析欄

令和2年度は、前年度と比べて0.8ポイント減少しており、全国平均及び神奈川県平均をそれぞれ1.2ポイント、1.0ポイント上回っているものの、類似団体内平均に対しては2.1ポイント下回っている。減少した要因は、会計年度任用職員制度の施行に伴う賃金の減少(廃止)などにより、経常経費充当一般財源ベースで177,000千円減少したためである。

扶助費の分析欄

令和2年度は、前年度と比べて0.7ポイント減少しており、全国平均を2.1ポイント上回っているものの、類似団体内平均とは同数値、神奈川県平均に対しては2.3ポイント下回っている。減少した要因は、幼児教育・保育無償化の通年化に伴い、国が設定した保育料のうち、市が保護者に代わって負担してきた部分が公費負担となり、市の負担が減少したことに加え、助成対象者の減少による小児医療費助成事業費が減少するなど、経常経費充当一般財源ベースで170,294千円減少したためである。

その他の分析欄

令和2年度は、前年度と比べて0.2ポイント増加しており、類似団体内平均、全国平均及び神奈川県平均をそれぞれ0.7ポイント、1.2ポイント、3.1ポイント上回っている。増加した要因は、国民健康保険事業特別会計における税率改定により、繰出金の増加を抑制できたものの、小中学校施設維持補修事業が増加したことに伴い、維持補修費が経常経費充当一般財源ベースで25,209千円増加したためである。

補助費等の分析欄

令和2年度は、前年度と比べて0.7ポイント減少しているものの、類似団体内平均、全国平均及び神奈川県平均をそれぞれ2.1ポイント、0.9ポイント、2.3ポイント上回っている。減少した要因は、生活保護費に係る精算額の減少により国県支出金等返納金が減少したことに加え、本市の一大行事であるたばこ祭の中止に伴い、実行委員会への補助金が減少したことなどにより、経常経費充当一般財源ベースで173,696千円減少したためである。

公債費の分析欄

平成16年度から取り組んできたプライマリーバランスの黒字化や繰上償還など、市債残高を縮減する取組により、類似団体内平均、全国平均及び神奈川県平均をそれぞれ1.7ポイント、5.5ポイント、5.2ポイント下回っている。しかし、令和2年度は、前年度と比べて0.2ポイント増加した。増加した要因は、平成29年度及び30年度に借り入れた臨時財政対策債や平成29年度以降実施した大規模事業に係る事業債の元金償還が開始されたことなどから、経常経費充当一般財源ベースで105,317千円増加したためである。臨時財政対策債の動向にもよるが、引き続き、プライマリーバランスや将来の公債費負担を考慮した適正な市債の借入れに努める。

公債費以外の分析欄

公債費を除いた令和2年度の経常収支比率は、前年度と比べて0.2ポイント悪化しており、類似団体内平均、全国平均及び神奈川県平均をそれぞれ4.1ポイント、8.1ポイント、2.6ポイント上回っている。これは、地方消費税交付金の増加により、経常一般財源歳入が290,025千円増加したものの、会計年度任用職員制度の施行により人件費が経常経費充当一般財源ベースで775,662千円の増加となったためである。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2020年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

総務費:特別定額給付金給付事業の実施により、16,125,175千円増加するとともに、一部退職者の勤務延長により職員給与費が382,345千円増加したことなどで、総務費全体では16,426,187千円増加した。住民一人当たりのコストでは、前年度と比べて102,537円増の131,141円となったが、類似団体平均、全国平均及び神奈川県平均を下回っている。衛生費:新型感染症の拡大を受け、感染症対策事業費を充実したことにより、117,728千円増加するとともに、水道料金を減免した水道事業会計に対して110,000千円の補助を行ったことなどで、衛生費全体では396,815千円増加した。住民一人当たりのコストでは、前年度と比べて2,581円増の24,694円となったが、類似団体平均、全国平均及び神奈川県平均を大きく下回っている。商工費:中小企業者等への支援として、新型コロナウイルス感染症対策利子補給基金を創設し、350,000千円を積み立てるとともに、クーポン事業等の消費者応援・地域消費喚起事業を実施したことにより283,508千円増加したことなどで、商工費全体では794,240千円増加した。住民一人当たりのコストでは、前年度と比べて4,974円増の9,831円となった。消防費:消防車両の購入により83,578千円増加、新型感染症対策としての避難所備蓄品の充実により71,353千円増加した一方で、消防署西分署の整備が完了したことにより294,894千円減少したことなどで、消防費全体では120,138千円減少した。住民一人当たりのコストでは、前年度と比べて678円減の13,869円となり、類似団体平均と同水準となっている。教育費:西中学校体育館等の整備により472,920千円増加するとともに、GIGAスクール構想に伴う無線LANの整備等、小中学校の施設改修として692,555千円、学習用の端末の購入等、ICT環境の整備として557,943千円増加したことなどにより、教育費全体では1,814,575千円増加した。住民一人当たりのコストでは、前年度と比べて11,464円増の42,788円となったが、類似団体平均、全国平均及び神奈川県平均を下回っている。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2020年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

人件費:一部退職者の勤務延長により退職金が385,055千円増加したことに加え、会計年度任用職員制度の施行により、人件費全体では912,943千円増加した。住民一人当たりのコストでは、前年度と比べて5,960円増の61,525円となり、類似団体平均を上回ることとなったが、全国平均及び神奈川県平均は大きく下回っている。扶助費:幼児教育・保育無償化の通年化により、施設型給付費等が480,987千円増加したことに加え、新型感染症の拡大に伴うひとり親世帯等への臨時特別給付金の支給により193,570千円増加したことなどで、扶助費全体では455,578千円増加した。住民一人当たりのコストでは、前年度と比べて3,277円増の93,266円となったが、類似団体平均、全国平均及び神奈川県平均のいずれも大きく下回っている。補助費等:新型感染症の拡大に伴い、特別定額給付金事業(16,052,100千円増)や消費者応援・地域消費喚起事業(283,508千円増)を実施したことなどで、補助費等全体では16,292,545千円増加した。住民一人当たりのコストでは、前年度と比べて101,716円増の132,748円と一時的な大幅増となったが、類似団体平均や神奈川県平均との比較では同水準となっている。普通建設事業費:消防署西分署の完成により294,894千円減少したものの、西中学校体育館等の整備が848,467千円増加したことに加え、無線LAN整備等の小中学校施設の改修が692,555千円増加したことなどで、普通建設事業費全体では1,295,559千円増加した。住民一人当たりのコストでは、前年度と比べて8,192円増の32,182円となった。繰出金:高齢化の進行により介護保険事業及び後期高齢者医療事業への繰出金が145,456千円増加したものの、国民健康保険税の税率改定により国民健康保険事業への繰出金が465,848千円減少したことで、繰出金全体では363,965千円減少した。住民一人当たりのコストでは、前年度と比べて2,102円減の32,403円となり、2年ぶりに類似団体平均を下回った。

実質収支比率等に係る経年分析(2020年度)

分析欄

実質収支比率は、令和2年度は、新型感染症対策に伴う財政調整基金の取崩しや地方消費税交付金の増加により、形式収支が556,648千円増加したことに加え、西中学校体育館整備等の大型工事の進捗により、翌年度に繰り越すべき財源が212,433千円減少したことにより、分子である実質収支が769,081千円増加したことで、前年度と比べて2.43ポイント上昇した。財政調整基金は、令和元年度決算で生じた剰余金を250,000千円編入したものの、新型感染症対策をはじめとする臨時的な財政需要への対応として、1,152,613千円を取り崩したため、890,901千円減少の2,346,484千円となった。この結果、標準財政規模に対する財政調整基金残高は、前年度から3.19ポイント減の7.68%となり、目安としている10%を下回った。今後も市債の借入れとのバランスを考慮しながら、適正規模の残高確保に努める。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2020年度)

分析欄

令和2年度の一般会計及び特別会計等の連結決算額は、30,554,958千円の黒字となっている。また、連結実質赤字比率は17.35%の黒字となっており、いずれの会計においても赤字は生じていない。前年度との比較では、連結決算額が972,371千円増(前年度4,330,458千円)、連結赤字比率が2.81ポイント減(同-14.54%)となっている。これは、水道事業会計で0.11ポイント減少した一方で、一般会計及び公共下水道事業会計でそれぞれ2.43ポイント、0.35ポイント増加したためである。一般会計の増加要因は、形式収支が556,648千円増加したことに加え、翌年度に繰り越すべき財源が212,433千円減少したことなどにより、実質収支が前年度と比べて769,081千円増加したためである。特別会計の実質収支額は、後期高齢者医療事業特別会計が136,091千円、介護保険事業特別会計が135,108千円、国民健康保険事業特別会計が19,765千円と、それぞれ黒字となっている。企業会計の資金不足・剰余額は、水道事業会計が2,091,440千円、公共下水道事業会計が1,165,240千円と、それぞれ剰余額が生じている。新型感染症対策の取組が続いていく中で、歳入の根幹をなす市税の増収が見込めず、福祉施策の充実や超高齢社会の到来により、扶助費等の社会保障費は伸び続けており、依然として厳しい財政状況になることが見込まれる。このような厳しい状況にあっても、事業の選択と集中を図りながら、総合計画に位置付けた事業を着実に進めていく。

実質公債費比率(分子)の構造(2020年度)

分析欄

実質公債費比率の分子は、近年減少傾向にあったが、令和2年度は、前年度と比べて220百万円増加した。これは、元利償還金等(A)が154百万円増加したことに加え、算入公債費等(B)が66百万円減少したためである。元利償還金等(A)が増加した要因は、平成29年度及び30年度に借り入れた臨時財政対策債の元金償還開始に伴う元利償還金の増加や、斎場の増築に伴い秦野市伊勢原市環境衛生組合が起こした地方債の元利償還金に対する負担金の増加によるものである。算入公債費等(B)が減少した要因は、秦野駅南部(今泉)土地区画整理事業費(都市計画事業)の進捗による事業費の増に伴い、都市計画税充当可能額が減少したためである。今後も、プライマリーバランスや将来の公債費負担を考慮した適正な市債の借入れに努める。

将来負担比率(分子)の構造(2020年度)

分析欄

財政調整基金の大幅な取崩しにより充当可能基金が減少した平成29年度以降、減少傾向にあったが、令和2年度は、前年度と比べて135百万円増加した。これは、将来負担額(A)が1,583百万円減少したものの、充当可能財源等(B)が将来負担額(A)の減少を上回る1,717百万円の減少となったためである。将来負担額(A)が減少した要因は、下水道事業債の償還進行に伴う公営企業債等繰入見込額の減少によるものである。充当可能財源等(B)が減少した要因は、新型感染症の対応に伴う財政調整基金の取崩額の増加による充当可能基金の減少や、都市計画税収の減よる充当可能特定歳入の減少などによるものである。今後も、プライマリーバランスや将来の公債費負担を考慮した適正な市債の借入れを行うとともに、適正な規模の財政調整基金残高を確保することにより、将来世代において財政の自由度を狭めない財政運営に努める。

基金残高に係る経年分析(2020年度)

基金全体

(増減理由)新型感染症の影響により事業資金の融資を受けた中小企業者等に継続した支援を行うため、地方創生臨時交付金を活用して、新型コロナウイルス感染症対策利子補給基金を設置し、350百万円を積み立てた。一方で、新型感染症対策事業等の財源として、財政調整基金から1,153百万円を取り崩したため、前年度に比べて430百万円減の3,751百万円となった。(今後の方針)財政調整基金は、災害など不測の事態への備えとして標準財政規模の10%となる約3,000百万円の確保を目安としている。今後も、適正規模の残高を確保しつつ、自然災害や新型感染症対策など、迅速な対応を要する財政需要に活用する。また、その他特定目的基金は、各基金の設置目的に沿って、適正な管理、運用に努める。

財政調整基金

(増減理由)平成30年度は、平成29年度に鶴巻温泉駅南口周辺整備や秦野駅南部(今泉)土地区画整理事業等の大規模事業の実施に伴い、不足する一般財源を補填するため、大きく取り崩したことから、残高の目安している3,000百万円を確保することができなかった。しかし、令和元年度は、市債の活用などにより、取崩額を抑制したことで3,000百万円を超える残高を確保した。令和2年度は、新型感染症対策事業等の財源として、1,153百万円を取り崩したため、残高が2,346百万円と、再び目安を下回っている。(今後の方針)災害など不測の事態への備えとして標準財政規模の10%となる約3,000百万円の確保を目安としている。今後も、適正規模の残高を確保しつつ、自然災害や新型感染症対策など、迅速な対応を要する財政需要に活用する。

減債基金

(増減理由)減債基金については該当なし(今後の方針)減債基金については該当なし

その他特定目的基金

(基金の使途)・ふるさと基金:市の発展のために全国の寄附者から寄せられた寄附金を活用し、その特性を生かしたまちづくりに役立てる。・新型コロナウイルス感染症対策利子補給基金:新型感染症の感染拡大の影響により事業資金の融資を受けた中小企業者を支援する。・公共施設整備基金:教育施設、公園その他の公用又は公共用に供する施設(公共施設)の整備を目的とする寄附金等を積み立て、公共施設の整備を図る。(増減理由)・ふるさと基金:子育ての支援・充実やスポーツ・健康増進の振興等、寄附者が指定した使途に沿った事業の財源とするため208百万円を取り崩したが、249百万円を積み立てたことにより、41百万円増加した。・新型コロナウイルス感染症対策利子補給基金:新型感染症の影響により事業資金の融資を受けた中小企業者等に継続して支援を行うため、地方創生臨時交付金を活用して、新たに新型コロナウイルス感染症対策利子補給基金を設置し、積立てを行ったことにより、350百万円増加した。・職員退職給与準備基金:取崩しを行わず、公営企業及び一部事務組合からの負担金を積み立てたことにより、41百万円増加した。(今後の方針)・ふるさと基金:寄附者が指定した使途に沿った事業を実施するため、適正に管理、運用し、事業の早期実現を図る。・新型コロナウイルス感染症対策利子補給基金:新型感染症の影響により事業資金の融資を受けた中小企業者等を支援するため、令和3年度から活用を始める(現在の制度上は、令和7年度に廃止を予定)。・職員退職給与準備基金:退職手当の支払に係る年度間の不均衡を調整するため、一定規模の確保に努める。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2020年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

当市の有形固定資産は、約半分を道路が占めており、その更新等の状況が有形固定資産減価償却率に大きく影響している。そのため、当市では、昭和40年から50年代に建設した庁舎や学校施設をはじめ、30年を経過した建物が多くあるものの、道路の計画的な更新を進めていることにより、有形固定資産減価償却率は、類似団体及び全国平均と比較して低い水準となっている。引き続き、平成29年3月に策定した「公共施設等総合管理計画」や付随する個別施設計画に基づき、施設の老朽化対策を進めていく。

債務償還比率の分析欄

債務償還比率は、類似団体及び全国平均と比較して高い水準となっているものの、公営企業債の償還が進んだことなどにより、将来負担額が減少傾向にあるため、対前年度比で13.9ポイント低下している。今後、大規模改修や建替えを行う場合には、中長期的な財政見通しを立てたうえで、将来に過度な負担を残すことのないよう計画的な市債の発行に努めていく。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

将来負担比率は、類似団体と比較して高い水準にあるものの、公営企業債の償還が進んだことなどにより、対前年度比で0.1ポイント低下している。一方で、有形固定資産減価償却率は、道路の更新を計画的に実施してきたことなどにより、類似団体よりも低くなっており、将来の財政負担を見据えながら、施設の更新を進めたことによるものと考えられる。平成29年度以降は、大規模な施設整備を実施したことにより、市債の発行額が償還額を上回ったため、将来負担比率を悪化させる要因となることから、中長期的な財政見通しを立て、財政負担を平準化しながら、「公共施設等総合管理計画」や個別施設計画に基づき、老朽化対策に取り組んでいく。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

将来負担比率は、類似団体と比較して高い水準にあるものの、実質公債費比率は低い水準となっている。二つの比率ともに、公営企業債の償還が進んだことなどにより、低下傾向にある。平成29年度以降は、市債の発行額が償還額を上回っている状態が続いているため、将来負担比率と実質公債費比率をそれぞれ悪化させる要因となることから、中長期的な財政見通しを立てたうえで、将来世代に過度な負担を残すことのないよう計画的に市債を活用するとともに、財政調整基金の一定残高を確保し、その活用を図りながら、それぞれの比率が一定の水準を保てるよう努めていく。

施設類型別ストック情報分析表①(2020年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

類似団体と比較して、特に有形固定資産減価償却率が高くなっている施設は、認定こども園・幼稚園・保育所、学校施設、児童館である。一方で、低くなっている施設は、道路、公民館である。認定こども園・幼稚園・保育所及び学校施設については、耐用年数を経過していないものの、施設の多くが昭和40年から50年代に建設されており、老朽化が進んでいることから、各施設の個別施設計画に基づき、予防保全による老朽化対策を進めていく。また、学校施設においては、令和2年度に西中学校体育館と西公民館の複合化を図る施設の建設が完了したため、比率が改善した。今後も、学校施設の大規模改修を実施する場合は、近隣施設との複合化等を検討していく。児童館については、昭和40年代に建設され、耐用年数を経過している施設が多くあることから、老朽化の状況を考慮しながら、近隣の公共施設等に児童館の機能を移転するなど、施設の再配置を進めていく。公民館については、11館のうち7館が建設から30年未満であり、本市の公共施設の中では、比較的新しい施設となっている。また、昭和47年に建設した西公民館について、令和2年度に西中学校体育館との複合化が完了したため、比率が改善した。

施設類型別ストック情報分析表②(2020年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

類似団体と比較して、特に有形固定資産減価償却率が高くなっている施設は、図書館、福祉施設(ほうらい会館)、市民会館(文化会館)、庁舎である。一方で、特に低くなっている施設は、一般廃棄物処理施設、消防施設である。図書館と市民会館(文化会館)については、耐用年数を経過していないものの、建設から約40年が経過し、老朽化が進んでいることから、各施設の個別施設計画に基づき、予防保全による老朽化対策を進めていく。福祉施設(ほうらい会館)については、建設から約40年が経過し、老朽化が進んでいるが、公民館と重複する機能が多く、他施設に比べ、優先的に更新する施設ではないため、耐用年数の満了を迎えるまでに、施設のあり方を検討していく。庁舎については、昭和44年に建設しており、老朽化が進んでいるが、平成30年度までに耐震改修を行っており、構造上の安全性は確保されている。今後は、個別施設計画に基づき、予防保全による老朽化対策を進めていく。一般廃棄物処理施設については、秦野市伊勢原市環境衛生組合において、平成25年度に新たな焼却施設である「はだのクリーンセンター」の建設が完了したことにより、減価償却率が低くなっている。消防施設については、令和元年度に消防署西分署の建替えが完了したこと、また、消防団車庫・待機室の計画的な建替えを行っていることにより、減価償却率が低くなっている。

財務書類に関する情報①(2020年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

一般会計等においては、学校給食センターの着工に伴い建物仮勘定(事業用資産)が1,972百万円増加したことなどにより、事業用資産が増加した結果、資産は前年度末から1,240百万円の増加となった。また、学校給食センターの施設整備及び運営事業の契約締結などに伴い長期未払金が5,971百万円増加したことにより、負債は前年度末から8,826百万円の増加となった。なお、有形固定資産が資産総額の96.3%を占めており、今後、施設の老朽化に伴う多額の維持管理費用等の発生が懸念されることから、引き続き公共施設の適正管理に努める。特別会計及び公営企業会計を加えた全体会計では、資産は前年度末から22百万円減少し、負債は6,477百万円増加した。一般会計等と比べて、水道管や下水道管等のインフラ資産を計上していることなどにより、資産は97,922百万円多くなっているが、そのインフラ資産の耐震化などに地方債を活用していることなどにより、負債も70,482百万円多くなっている。秦野市伊勢原市環境衛生組合などの関連団体を加えた連結会計では、資産は前年度末から105百万円増加し、負債も5,821百万円増加した。一般会計等と比べて、水道管等のインフラ資産に加え、ごみ処理施設や斎場といった資産を計上していることなどにより、資産は104,932百万円多くなっているが、その資産の耐震化や更新などに地方債を活用していることなどにより、負債も73,191百万円多くなっている。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

一般会計等においては、経常費用は64,753百万円であり、前年度に比べて18,094百万円の増加となった。これは、新型感染症対策として特別定額給付金給付事業を実施したことなどにより、移転費用が16,692百万円増加したことによる。最近5年間の傾向としては、高齢化の進行により、社会保障費や他会計への繰出金が増加しており、今後もこの傾向が続くと見込まれる。全体会計では、経常費用は96,382百万円であり、内訳は業務費用が31,209百万円、移転費用が65,173百万円となっている。一般会計等と比べて、水道料金や下水道使用料を使用料及び手数料に計上している一方で、国民健康保険、介護保険及び後期高齢者医療保険の各保険給付を補助金等に計上しているため、移転費用が23,797百万円多くなり、純行政コストは26,915百万円多くなっている。連結会計では、経常費用は109,396百万円であり、内訳は業務費用が32,897百万円、移転費用が76,499百万円となっている。一般会計等と比べて、関連団体の使用料及び手数料等を計上している一方で、後期高齢者医療広域連合による保険給付を補助金等に計上しているため、移転費用が35,123百万円多くなり、純行政コストは39,667百万円多くなっている。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

一般会計等においては、税収等の財源が純行政コストを下回ったことから、本年度差額は△940百万円となった。加えて、学校給食センターの運営事業の契約締結などの影響により、純資産残高は164,924百万円(前年度比△7,586百万円)となった。税収等の財源により純行政コストを賄えていない状況であることから、今後も未収金対策の強化やネーミングライツの拡大など、自主財源の確保に努める。全体会計では、国民健康保険税や介護保険料などが税収等に、国県からの交付金や負担金が国県等補助金に含まれることから、一般会計等と比べて財源が28,002百万円多く、本年度差額は145百万円となり、純資産残高は192,364百万円(前年度比△6,498百万円)となった。連結会計では、神奈川県後期高齢者医療広域連合への国県等補助金などが財源に含まれることから、一般会計等と比べて財源が41,265百万円多く、本年度差額は657百万円となり、純資産残高は196,665百万円(前年度比△5,716百万円)となった。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

一般会計等においては、業務活動収支は2,327百万円であり、経常的な活動に係る経費は、税収等の収入で賄えている状況である。投資活動収支は、西中学校体育館整備等の大型事業により公共施設等整備費が増加したことから、2,152百万円となっている。財務活動収支は、地方債の発行額が償還額を上回ったことから、382百万円となっている。この結果、本年度末資金残高は2,115百万円(前年度比+556百万円)となった。全体会計では、国民健康保険税や介護保険料が税収等収入に含まれること、水道料金等が使用料及び手数料に含まれることから、業務活動収支は5,486百万円となっている。投資活動収支は、インフラ資産の耐震化により公共施設等整備費が増加したことから、△3,599百万円となっている。財務活動収支は、地方債の償還額が発行額を上回ったことから△1,168百万円となっている。この結果、本年度末資産残高は5,812百万円(前年度比+719百万円)となった。連結会計では、神奈川県後期高齢者医療広域連合への国県等補助金などが業務収入に含まれることから、業務活動収支は6,493百万円となっている。投資活動収支は全体会計と同様に公共施設等整備費が増加したことから、△3,578百万円となっている。財務活動収支は、地方債の償還額が発行額をさらに上回ったことから△1,688百万円となっている。この結果、本年度末資産残高は6,636百万円(前年度比+1,221百万円)となった。

財務書類に関する情報②(2020年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

類似団体との比較では、住民一人当たり資産額が136.8万円と平均値を19.0万円下回る一方、歳入額対資産比率は3.11年で平均値とほぼ同数、有形固定資産減価償却率は58.4%と平均値より1.5ポイント低い状況である。これは、類似団体と比較して、住民一人当たりの資産形成度は低いものの、歳入との関係では、ほぼ適切な規模の公共施設を保有しており、それらの施設は、相対的には老朽化が進んでいないことを示している。今後については、施設の老朽化の進行により、多額の維持管理費用等の発生が懸念されることから、公共施設再配置計画を踏まえ、長期的な視点により、公共施設の適正な配置と効率的な運営に努める。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

純資産比率は、75.1%と類似団体平均値を3.8ポイント下回る一方、将来世代負担比率は、5.7%と類似団体平均値を5.2ポイント下回っている。これは、保有している有形固定資産等が過去及び現世代の負担により形成されており、類似団体よりも将来世代への負担が少ないことを示している。本市がこれまで本市独自のプライマリーバランス(地方債償還額-地方債発行額)の黒字を意識した地方債の借入れを行ってきた結果であり、適正な規模の借入れに努めていることを示している。新東名高速道路秦野区間の開通等により、本市を取り巻く環境が大きく変化する中で、世代間の負担の公平性を考慮しながら、本市が飛躍・発展するための機会を逸しないように必要な投資を行う。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

住民一人当たり行政コストは、新型感染症対策として特別定額給付金給付事業を実施したことなどにより、前年度から11.7万円増加したものの、類似団体平均値を2.9万円下回っている。これは、適切な定員管理や事務コストの軽減などにより行政コストを抑制しつつ、必要な行政サービスを効率よく提供したことを示している。引き続き、直営で運営している施設に指定管理者制度を導入するなど、行財政改革を進める。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

住民一人当たり負債額は、学校給食センターの施設整備及び運営事業の契約締結により、前年度から5.6万円増加し、類似団体平均値を1.1万円上回っている。また、基礎的財政収支は、投資活動収支の赤字分が業務活動収支の黒字分を上回ったため、△135百万円となっているうえ、類似団体との比較では、平均値を大きく下回り、政策的経費を税収等で賄えていないことを示している。引き続き、住民一人当たり負債額並びに基礎的財政収支に注視しつつも、本市が飛躍・発展するために必要な投資を行う。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

受益者負担比率は、新型感染症対策として特別定額給付金給付事業を実施したことなどにより、前年度から1.2ポイント減少した1.8%となった。類似団体と比較すると、平均値を1.7ポイント下回っており、受益者の負担割合が相対的に低いことを示している。本市では、受益者負担の適正化を図るため、平成29年10月に公共施設使用料の改定を実施したが、施設の稼働率の低下などにより、目標としていた収益が確保できていない状況にある。今後は、新型感染症の影響を注視しつつ、公共施設再配置計画を踏まえ、長期的な視点により、公共施設の適正な配置と効率的な運営に努める。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,